PHOTO YODOBASHI
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Panasonic LUMIX DMC-FZ300 / SHOOTING REPORT
優れた描写性能と使い勝手の良さを両立させ、人気の高かったLUMIX DMC-FZ200。特にセンサーと相性のよいレンズに魅了された方が多かったようです。35mm判換算25〜600mm相当という守備範囲の広い画角と全域でF2.8の開放値を備えながら、ライカの厳しい光学基準をクリアしDC VARIO-ELMARITという銘を冠したズームレンズだったのですから、それも頷けますよね。市場から姿を消してもなお人気の衰えなかったFZ200の後継機として登場したのがFZ300。同等のレンズを搭載したのはもちろん、EVFや背面モニターの視認性は大幅にアップ、その背面モニターは待望のタッチパネル化するなど操作性も大きく向上しています。さらに4K対応や、パナソニックの誇る空間認識AFを搭載していたりと機動力も増強され、先代の高評価を大きく塗り替えてくれそうな魅力溢れるボディに仕上がっています。高倍率ズームと併せ高い機動力を獲得した本機の実力をじっくりとご覧ください。
( Photography : Z II / Text : 4beats )
暑い中、立ち止まってジッとスマホに見入っているところをパチリ。もっと広い範囲を伸びやかに捉えたカットもありましたが、周囲の状況と人物をバランス良く中望遠域で捉えたこちらをセレクトしました。反応のよいパワーズームのおかげで画角の調整は大変スムーズです。
35mm判換算でおおよそ200mm相当までズームを伸ばしてのカット。このあたりまでなら一眼レフなどでもよく見かける焦点域です。服のシワ、エスカレーターやガラス、さらには乏しい光でも丸みをしっかりと感じさせてくれる柱など、被写体の質感やその場の雰囲気をありのままに再現してくれる見事な描写。1/2.3インチのセンサーでこれだけ写るのですから頼もしい限りです。
さらに倍!400mm弱に相当する画角です。縦横無尽にズームできるって、本当に楽しいですね。ここまでくると圧縮効果を利用した表現が活きてきます。背面モニターはタッチパネル搭載ですから、指先でフォーカスエリアを移動可能。人物が画面の中央にいなくても簡単に捕捉できるのです。また、ピンチイン/ピンチアウトでフォーカスエリアのサイズ変更も思いのまま。被写体に応じた設定の変更が素早くできます。
残念ながら空はどんよりという悪条件の下で撮影したカットですがこの通り。モノレールやバスの立体感といい、遠く東京湾の対岸まで水平線が徐々に霞んでゆくさまといい、肌にまとわりつく湿った空気や耳に残る騒音まで蘇ってくるリアイティある描写に、大変好感が持てます。縮小前の画像では標識の文字をしっかりと読むことができたことも付け加えておきます、念のため。
まっすぐに伸びる直線。空を映し込んだグラデーション。気持ちの良い描写ですね。
お食事どきに、失礼して皆で見学。ゴツゴツとした足や年輪のような甲羅など、質感がよく伝わってきます。
被写体はくっきりとシャープに、ボケは大きくなだらかに。もちろん一眼カメラにはかないませんが、これだけの描写を見せられれば満足のいく画が撮れることがお分かりいただけると思います。上位機種のFZ1000で採用された非球面レンズの製造技術が活かされているのでしょうか。ボケ玉が大変綺麗ですね。
表現力も機動力もギュッとこの1台に。
望遠側での撮影が多くなってしまいました。描写力の高い高倍率ズームレンズですから、ついつい。FZシリーズは、いわゆる"ネオ一眼"に分類されるレンズ一体型コンパクトデジタルカメラです。画質にも配慮しながら広いズーム域をカバーする大きめのレンズ、EVFとホールディングの良いグリップによって可能となるレンズ交換式カメラさながらの撮影スタイルなどが特徴となっています。今回ご紹介したFZ300は軍幹部の他にレンズ側面にもダイヤルを装備、様々な機能を割り当てられるので、撮影時の快適さは段違い。特にマニュアルフォーカス時の繊細なピント合わせも左手の親指一本で可能となり、より厳密にピントを合わせたいときに大変重宝します。とは言え、そもそも空間認識AFやタッチパネルでのピント操作がとても優れているので、オートフォーカスだけでほぼOKなのですが。いずれにせよDC VARIO-ELMARITの描写力を存分に活かせるのですから満足度の高い画を多く残せるでしょう。
パナソニックユーザーにはすっかりお馴染みとなった4K PHOTO機能や防塵防滴性能まで備え、このカメラに撮れないものはないのではないか?とすら思ってしまうFZ300。1/2.3型高感度MOSセンサーとヴィーナスエンジン、そしてライカお墨付きのレンズとの組み合わせにより得られる豊かな表現力が、一つの小さなパッケージに詰まっているのです。この1台に全てが入っていて、ほとんどの被写体はこなせてしまう。大切な瞬間を捉えるための1台に。もう考える必要はありません。
( 2015.07.10 )
いずれは一眼カメラを、とお考えの方の入門機にもいいかもしれません。とにかく快適、よく写る、なんでも撮れるオールラウンダーです。
楽しくてたくさん撮ってしまいそうなので、予備のバッテリーを。一つあるだけで、安心感が違います。