PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 19mm F2.8 DN | Art
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
マイクロフォーサーズマウントでは、35mm判換算で38mm相当になります。広角と標準のちょうど狭間となる画角。なんだか中途半端だなぁと思う向きもありますが、その昔、フィルム時代のコンパクトカメラではこの辺りの焦点距離のものが結構ありました。ある時は広角レンズとして、またある時には標準レンズとして使うことができるとあって、なかなか使い勝手のいい画角(焦点距離)だったという側面もあったのでしょう。そんなちょっと欲張りというか便利なレンズですから、キットズームレンズからのステップアップにはもってこいの一本。描写はキリッとシャープでありながらも、あまり硬くなりすぎないちょうどいい塩梅の仕上がり。開放F値は明るく、AFもスピーディに小気味よく決まるので、街撮りスナップなどにも重宝しそうですよ。
( Photography : T.Nakanishi / Text : KIMURAX )
まずは少々絞ったカットから。大変気持ちのいいクリアな解像感ですね。中間のトーンもよく出ています。
拡大して見ると、雪のきらめきまで確認できるほどの描き込み。ちょっと発色が良過ぎるんじゃない?と感じられた方もいるかも知れませんが、ほとんど見たままの色合いと言っていいほどなのです。
開放から十分にシャープですが、どことなく柔らかさを感じさせてくれる描写。降りしきる雪の中、たたずむ時計台をそっと捉えるにはぴったりだと思うのです。多少枝にはフリンジが出ていますが、拡大して見ればというレベルですから通常の鑑賞サイズであればまったく問題ないでしょう。画面周辺を見ても乱れることはなく、しっかりと描き込んでいます。
スーパーマルチレイヤーコートを施しているとあって、逆光でもコントラストがしっかりと保たれています。
開放から1段しか絞っていませんが十分にキレを感じますね。ガラスの色合い、艶感も忠実に再現しています。
ハイライトとシャドーのコントラスト表現も上々。他の場面での撮影も気づいたのですが、コントラストが極端にならないのです。
F2.8と明るいレンズですからクローズアップすれば、背景をぼかすこともできます。前後ともに自然なボケ味ですね。最短撮影距離は20cmとなっています。
ここまで見てきましたが、シグマのArtラインの単焦点レンズとあってさすがの高画質ですよね。びしっとシャープな像を結び、逆光のシチュエーションだっていとわない。実に頼もしい一本の実写レビューとなりました。基本中の基本ですが自分の足で前後すれば、広角的・標準的にフレームができる楽しさがありますし、ぐっと被写体に寄ればボケ味を添えることだってできます。初めての単焦点レンズとしては申し分ない実力ですし、気軽にいつでも持ち歩けるレンズとして相当活躍してくれるはずです。
( 2015.09.09 )