PHOTO YODOBASHI
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OLYMPUS OM-D E-M10 Mark III / SHOOTING REPORT
OM-Dシリーズの入門機ながらも、上級機に迫る性能で人気のE-M10に第三世代となる「OM-D E-M10 Mark III」が登場しました。マイクロフォーサーズ機らしいコンパクトで軽快なボディサイズはそのままに、グリップ形状などを見直し手の大きな男性や大口径レンズの使用時でも安定しやすくなっています。スペックとしては、1605万画素のLive MOSセンサーや強力な5軸手ブレ補正などは前モデルE-M10 Mark IIから据え置かれていますが、最上位機となるE-M1 Mark IIと同じ映像エンジン「TruePic VIII」が採用され、4K動画や1280x720px・120fpsのハイスピード動画にも対応。AF速距点も81点から121点へと1.5倍増になるなど、よりキビキビと動作するモデルに仕上がっています。今回は日常と夜のスナップをテーマにA.Indenが撮影を行いました。早速ご覧いただきましょう。
夏…残り画
小型化≠操作性?
持ち歩いて気楽に撮るカメラは小さいに越したことはない。撮り疲れて「もういいや」と思ったらそのまま小さなカバンに入れてしまえばOK。カメラを持っていることを意識することはない。スマートフォンで写真を撮る人が多くなってきたのは、画質が上がってきたからでなく、案外、カメラを持っているON/OFFがつけやすいからかなと推理してしまう。
小さいカメラは持ち歩きには最高。でも困ったことに私のように手が大きく指が太い人には扱いにくい。部品が小さいと一々確認しないと操作がうまくできず、小さいボディはしっかりホールドできないのだ。「何も考えずにカメラ任せで撮るのならそれでいいか」とは思うが、それじゃあカメラの面白みは半減してしまう。
「OLYMPUS OM-D E-M10 Mark III」は、"II"より少し大きくなって発売された。どこが変わったのかなと2台のシルエットを重ねてみると、グリップと操作ダイヤルが大きくなっていることに気づく。私のような悩みを抱えている撮り手のことを「わかってくれてるな」と感心しながら、夏の残り画を探しに行ってきた。(A.Inden)
人工光を愛でる
小型化≒ブレやすい?
デジタルカメラの性能が上がって喜ばしいことは、高感度に強くなったことと、強力なブレ補正がカメラ内部に組み込まれたこと。それによってほとんどの条件で三脚も使わずに気楽に撮ることができるようになった。要するに、たいして準備もしないで一日中写真が撮れるようになり、記録できるシーンが室内、夜と広がっていったことだ。
人工光、それも普通に生活している中で使われている光が好きだ。昼間の太陽光は一色だが、人工光には様々な色がある。写真を撮る時、その色を考えながら構図を決めシャッターを押す。写真全体に被ってくる色によって、写真に特別な意味が付加されることを祈って。人工光で撮る時は、目立たず、静かに、すばやく撮ることを心がける。理由は、何らかの意図を持って作られた空間の雰囲気を壊さないため。
小さなカメラはブレやすいそんな固定観念を持っていました。でも今はそんなことないのですね。古い教会に入った時、床に写っている祭壇の光が美しく、とっさにシャッターを押していました。室内に入ったことを忘れISO 200のまま。シャッタースピードは1/10、焦点距離60mm(35mm換算)。「しまった」と思ったのですが、パソコンで100%に拡大してもしっかり板の目まで写っていました。機材に助けられたなんて、カメラマン失格ですね。(A.Inden)
- 建物に入ったところにある階段。窓から入ってくる光に使い込まれた手すりの木目が、美しく浮き立っていました。逆光でフレアが出やすく、コントラストが低くなりがちな条件ですが、黒がしっかりと締まった描写をしています。他にも逆光で撮ってみましたが、色もクリアでほとんどフレアが出ないことに「どうなってるの」と妙に感心してしまいました。
- ブレないと思えば試したくなります。流れている水を白い糸状に見せるテクニック。さすがにここまでシャッタースピードが遅いと(0.4秒)成功確率30%ぐらいでしたが、思った表現の画が撮れました。旅先で偶然出会った美しい滝を、三脚なしでプロのような表現で撮れるということですね。高感度もISO 1600まではノイズを感じませんでした。
- 台風の後、ヨットハーバーにぎっしりと並んだヨットを圧縮効果を狙ってキットレンズのテレ端で撮影。小さなキットレンズですが、パソコンで100%まで拡大したらヨットの細いロープまでしっかりと描写されていることが確認できました。カメラとレンズの相性がいいのか1605万画素のセンサーの性能をギリギリまで引き出している印象です。
- 同じ画素数ならセンサーのサイズは大きいほどダイナミックレンジが広くなります。センサーサイズの差をカバーするのが画像処理エンジン。OM-D E-M10 Mark IIIにはOM-D E-M1 Mark IIと同じ最新の「TruePic VIII」が搭載されています。レースのカーテンの繊維の立体感、周りの空気感が見事に表現されています。柔らかでしっとりとした写りはまさにフラッグシップ級ですね。
(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)
日常に寄り添うカメラこそ、こだわりの1台を
いかがでしたか。キットズームとなる「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 EZ」の写りも感心しますが、そのレンズに応える本機の画作りもなかなかですよね。メリハリのある写りの中にもしっとりとした描写がちゃんと残っています。実際にカメラを手にして感心したのは、背面液晶や液晶ファインダー(EVF)の見栄えのよさと全体的な造りのよさ。各部のスイッチ形状や操作の感触も良好で、エントリー機に時々感じる頼りなさは皆無と言っていいでしょう。リーズナブルなモデルとはいえ所有欲もしっかりと満たしてくれるのは嬉しいところですよね。
単純にセンサーサイズだけを比べれば、フルサイズの約1/4、APS-Cの約半分というマイクロフォーサーズですが、センサーサイズと比例してそのまま画質まで劣るかといえば、そうはならないのがマイクロフォーサーズシステムの素晴らしいところ。詳しくは先日特集しました「E-M1 Mark IIで到達した世界」を参考にしていただきたいと思いますが、コンパクトなシステムサイズにこだわりの性能・画質を詰め込んだ「E-M10 Mark III」。日常に寄り添いどんな場所へも連れ出してあげられる1台だからこそ、このカメラを選ぶべきなのかもしれません。
( 2017.09.27 )
難しいことは一切なし。気負いなく撮影でき、高画質。しかも小型軽量。さまざまなシーンで手ぶれを抑えてくれるオリンパスのお家芸5軸手ぶれ補正も搭載した、OM-D E-M10シリーズの最新モデルです。
小型軽量なだけでなく、速いAF、4つのカメラシストモードも搭載し、家族写真から、作品撮りまで、さまざまなシーンで活躍するOM-D E-M10 Mark III。交換レンズも豊富で誰もが撮影を楽しめる一台です。
35mm版換算28-82mm相当の標準ズーム、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZと、80-300mmをカバーするM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 Rの2本がセットになったダブルズームキットです。
標準ズームレンズと望遠ズームレンズがセットになったダブルズームキットなら、購入してすぐに撮影を始められます。もちろん、高い描写力も折り紙付き。初めてのマイクロフォーサーズ機なら、ぜひこちらをどうぞ。
長時間の撮影や、旅先での撮影には、ぜひ予備バッテリーをどうぞ。「BLS-5」と同じ形状のまま、バッテリー容量が1210mAhにアップしており、「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」使用時で約350枚の撮影が可能です。
同梱されている充電器ですが、予備バッテリーと併せて充電器も持っていると何かと便利です。リチウムイオン充電池BLS-5を約3.5時間で充電できます。定格入力電圧100-240Vですから、海外での使用も可能です。