PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

GIZMON Utulens

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

GIZMON(ギズモン)Utulens(ウツレンズ)は、熊本にある光学機器やカメラ関連グッズを作る合同会社ギズモンが送り出すパンケーキレンズです。焦点距離32mm、絞りF16固定。光学系はプラスチックレンズの1枚構成。このレンズ、フィルムカメラの「写ルンです」の使用済みレンズを再利用しているとのこと。今どきのSDGsなレンズとでも申しましょうか、目のつけどころがいいですね。ミラーレス一眼カメラで写ルンですの写りを(本来はフィルムである感材がシビアなセンサーに置き換わり、画像処理エンジンの味付けにより完全再現とはいかないでしょうが)思い起こしつつ、楽しめるというわけです。ある意味、撮影枚数を気にせず、撮影内容もすぐに確認できる気軽さもある。重さはなんと46gですから、キャップをしたミラーレス一眼を軽々持ち歩くというイメージでしょうか。今回はニコンZマウント用をニコンZ 7に装着。写ルンですの写真ってどうだったかなと、曖昧な記憶をたどりつつ渋谷でふらっとスナップしてきましたので、作例とともにご覧ください。

( Photography & Text : KIMURAX )

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

絞りは固定のF16。暗い、とにかく暗いレンズです。とはいえ今は何かと便利なデジタルの時代。高感度特性の恩恵に預かれば、そんなことは心配ご無用なわけです。でも常用感度で折角スローシャッターになるのなら利用しない手はないと、行き交う人に流れてもらいました。手持ちでシャッタースピード1/3秒とは少々無謀でしたが、ピントは甘めですから僅かな手ブレなら気にならないかと。スローシャッターついでに流し撮りをしてみたのが冒頭のクルマのカットです。止まっているような、止まっていないような(笑)。解像力をさほど気にしなくていい、おおらかさのあるレンズですから、いつでも気軽にシャッターが切れます。

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

さすがに逆光ではフレアやゴーストが出ていますが、画が破綻するようなことはありません。実はもっと盛大なのを予想というより密かに期待をしていたのですが、ちょっぴり肩透かしです。

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

なにげなく、ふと見つめているようにも感じる写り。キリッと写らないからこその味わいでしょうか。ピントを置くのは撮り手の意思でもありますが、キリッとフォーカスしない(できない)からこそ、写真を見る側がどう感じるのかに大きく左右されるように思います。


Nikon

朱色の発色がいいですね。僅かにフレアが出てますが、眩しさが写真的にちゃんと表現されていて雰囲気があります。実際に撮影するまではクラシカルな色味をイメージしていたのですが、全カットを通して彩度は低めですが、これはこれで味のあるいい写りです。「写ルンです」の写りってどうだったっけ?なんて思い起こしてみましたが、いまいちはっきりしませんでした。トイカメラのような写りではなかったことは確かですが。

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

ここまでご覧いただきもう既にお気づきかと思いますが、周辺減光のスパイスがよく効いたレンズです。正々堂々と日の丸構図しばりで撮り歩くのもいでしょう。

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

本レンズは金属製のマントアダプタと、ねじ込み式の樹脂製レンズユニットで構成。フォーカスレンジは1m~∞となっています。つまり被写体から1m離れる必要があるのですが、レンズユニットのネジを緩めると50~60cm程度まで近づくことができます(レンズユニットを緩め過ぎて脱落しないように注意してください。との注記がメーカーHPに掲載)。こちらのカットは拡大画面でピントを確認しながら被写体とカメラの距離を調整しながら撮影したものですが、なかなかの解像感です。こんな使い方が手軽にできるのもデジタルカメラならではですね。


Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

実際の色味よりも彩度が少々低い印象ですが、そんなことに目くじらを立てる必要はないでしょう。

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX

32mmの広角レンズですが、歪曲はご覧の通り糸巻き型。カメラ側とのデータのやり取りはないので、歪曲補正(自動ゆがみ補正)には非対応です。しかしここまではっきり出ると、むしろ活かしたくなります。ソフトで後処理というのも、本レンズを使う意味が少々薄れてしまいそうな気もしますしね。パパっと撮った後は、JPEG撮って出しでハイ一丁上がり!が潔いですね。

Nikon Z 7, GIZMON Utulens, Photo by KIMURAX


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何だか気軽に、撮れるんです。

いかがでしたでしょう、デジタルな「写ルンです」の写りは?フィルムでの経験のある方は“あぁ、こうだったなぁ”と思う一方で、“えっ、こんなんだったっけ?”と感じられたかも知れません。それもそのはず、すでに触れましたが感材をはじめとしてレンズ以外の条件がまったく異なりますからね。構成レンズは1枚ですからレンズ自体の性能に違いはなくても、アウトプットが変わってきても何ら不思議ではありません。写真の印象を左右しやすい色味はセンサーや画像処理エンジンの影響を受けますし、変わらないのは解像力ぐらいではないでしょうか。しかし、雰囲気を味わうことは十分できますし、自分のデジタル一眼カメラから出てきたものこそが「Utulens」の写りなのだと、いっそ楽しんでしまえばよいのではと思うのです。46gというビックリの軽さと薄さですから、レンズキャップ代わりに付けっぱなしにしてもいいでしょう。ピントの甘さ(1m~∞のフォーカスレンジで、サービスプリントサイズを想定したレンズなのですから仕方ありません)は否めないものの、かえって力まずにスナップできるのではないかと。キャップ代わりに、あるいは遊びにちょっと、という軽いノリでも買えてしまうお値段。どうぞお試しください。

( 2024.07.04 )

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解像感を求めないと、なんだかおおらかな気持ちでスナップできるから不思議なものです。とにかく身軽ですからZマウントユーザーの方はぜひ一本、いや一枚どうぞ。

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1986年の登場から第7世代となる“シンプルエース”。大変人気なんです。

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コダックもありますレンズ付きフィルム。こちらは明るいISO 800。

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こちらはモノクロフィルムになります。

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