PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Samsung Galaxy Z Fold4
- フォルタブルボディ
- デュアル・120Hzディスプレイ
- 3眼アウトカメラ
最高レベルの性能に、他にはない折りたたみディスプレイを備えたサムスンの「Galaxy Z Fold4」をご紹介します。カメラ性能は同社のハイエンドモデルである「Galaxy S22 Ultra」にも肩を並べるレベル。日本ではdocomoから「SC-55C」として、auから「SCG16」として発売されています。日本国内で流通している折りたたみスマートフォンとしては唯一の存在となりますが、既に第4世代となり、製品としても完成度の高い仕上がりとなっています。SoCには8コアのSnapdragon 8+ Gen1 3.1GHz + 2.0GHzを搭載し、12GBのRAMに256GBの内部ストレージ(microSDカードスロットはありません)と現行スマートフォンの中でもトップレベル。加えてIPX8相当の防水にも対応し、バッテリーは4400mAh、重量も263gとiPhone 14 Pro Max(240g)より少々重い程度に抑えられています。折りたたみ時の厚みは最大15.8mm、幅も67.1mmとスリムな仕上がり。もはや特殊な端末というよりも、より便利に使える普通の端末と言っていいでしょう。なお、日本語版はFelicaにも対応し、マイクロSIMとeSIMのデュアルSIM仕様。大画面のタブレット端末にも最適化された「Android 12L」をいち早く採用したことでも話題となっています。カメラについては、3アウトカメラに、インカメラ、そしてカバーディスプレイにもカメラを備えた5カメラ構成。メインディスプレイの40MPカメラはアンダーディスプレイカメラとなり、未使用時には有機ELディスプレイの下に隠れます。また各センサーはすべて裏面照射型のCMOSセンサーを採用しているとのこと。サムスンの折りたたみモデルは「Galaxy Z Fold」シリーズのほかに、より携帯性を重視した「Galaxy Z Flip」シリーズもありますが、「Fold4」は小型のタブレット端末にも迫る大きなメインディスプレイだけでなく、閉じた状態でも一般的なスマートフォンと同様に使えてしまうサブディスプレイも備えたモデル。そのサブディスプレイも6.2インチと大型のため、わざわざ開かなくてもほとんどのことはできてしまう便利さがあります。前置きが長くなりました、それでは作例をご覧ください。
アウトカメラ | 超広角(画角 123°) | 1200万画素(1/3インチ) / F2.2 / OIS | |
広角(画角 85°) |
5000万画素(1/1.5インチ)/ F1.8 / OIS |
||
3倍望遠ズーム(画角 36°) | 1000万画素(1/3.9インチ) / 光学ズーム(1〜3倍) / F2.4 / OIS | ||
インカメラ(メインディスプレイ) | 400万画素(1/3.1インチ) / F1.8 / パンフォーカス | ||
カバーカメラ(カバーディスプレイ) | 1000万画素(1/3.2インチ) / F2.2 / パンフォーカス | ||
ディスプレイ |
メインディスプレイ:7.6インチ(2176×1812px) / 有機EL / 120Hz カバーディスプレイ:6.2インチ(2316×904px) / 有機EL / 120Hz |
メインとなる3眼のアウトカメラとカバーディスプレイ。シンプルでシックなデザイン・カラーです。アウトカメラしたにはQiのほか、日本版にはFelicaも搭載。
ヒンジはより薄型化を進めながら強度もアップしました。これで防水対応しているのだからすごいですね。閉じるとスリムになるため、持った時に意外と厚みは感じません。
Photo Gallery
超広角カメラ
まずは12MPの超広角カメラから。眼前の光景をすべて取り込める123度の画角。甘さが残る四隅以外の描写力は目を見張るものがあります。額のように画面の端に直線が入ると歪みが気になるかもしれませんが、そこは撮り手の腕でカバーしましょう。ミラーレスカメラに比べてコントラストが高いこともあり、メリハリのある一枚を手にすることができます。
超広角レンズはコンパクトカメラでもほとんど採用されなかっただけに、常時携行できるスマートフォンに搭載されていると超広角スナップが捗りますね。
広角カメラ
メインとなる広角カメラは50MPと先代までの12MPから大幅アップ。ハイエンドスマートフォンとしてライバル機種にも遜色のないレベルになりました。85度の画角は、35mm換算で23mm相当とスマートフォンのメインカメラの中ではやや広角寄り。iPhoneの28mm相当に馴れていると広く感じます。光の溢れるよい条件では、スマートフォンのカメラであることを忘れてしまいそうなほど緻密かつシャープに描いてくれます。
センサーサイズが拡大され、画素数を増やしながらも画素ピッチが2マイクロメートルに大型化。高感度にも強くなりました。ノイズが目立ちにくい被写体ではあるものの、ISO 400は劣化を気にせず使える感度になったように感じます。なお、最高感度は静止画でISO 5000、動画はISO 6000(マニュアル設定では静止画・動画ともにISO 3200)。
50MPのセンサーは通常時は12.4MP(4080x3060px)として動作し、アスペクト比設定で「4:3 50MP」を選択することで約4993万画素のハイレゾモードで撮影が行えます。Galaxy S22 Ultraでは更に倍となる1億画素にも対応していましたが、数字のインパクトよりも実用性能としての高画素を目指したようです。さすがと言うべきか、スマートフォンで一般的な12MPのセンサーと比べて、とても緻密に描いてくれます。(画像のクリックで原寸画像を表示します。8160x6120、22MB)
シンプルな被写体ですが、カメラの表現力が求められる被写体です。ISO 400というスマートフォンのカメラとしては厳しい条件ながらも、50MPの情報量の多さが豊富なトーンとディテールに寄与していると思います。
画面全体に垂直線が並びます。子細に見れば複雑な歪みが柱や窓の桟に出ていますが、よく補正され許容範囲ではないでしょうか。
ナイトグラフィーでも撮影してみました。暗部のノイズの少なさは素晴らしいレベル。ただノイズを塗りつぶしたようになるのではなく、被写体のディテールもより緻密に描き出してくれます。一方サムネイルはノーマルモードで撮影したもの。こちらはISO 640ということを踏まえれば優秀ですが、ナイトグラフィーの撮影結果と比べてしまうと歴然とした差がありますね。
空気が澄んでイルミネーションの美しい時期が近づいてきました。F1.8の明るいレンズと強力な手ブレ補正により、夜のスナップでも臆することなく挑めます。
望遠カメラ(光学式3倍ズーム)
1〜3倍のズームを搭載した望遠カメラ。最大倍率はFold3までの2倍から3倍へとアップしました。パースを抑えながらテーブルフォトを撮るような場面では、丁度いいワーキングディスタンスとなる2倍あたりが便利でしたが、望遠カメラとして遠くの被写体を引き寄せたい場合に少々役不足でした。望遠カメラの光学ズームでは、メインカメラの約3倍となる35mm判換算66mm相当となり、想像以上に被写体へ大きく迫ることができます。このカットではグラスの水滴にピントを合わせてみましたが、ご覧の通りとてもシャープな写り。またアウトフォーカスとなった背景のボケ量も大きく、美しいものとなりました。
動画(UHD 8K 24fps)
動画性能も優秀。4K動画はもちろんのこと、より高画質なUHD 8K(7680x4320)24fpsまで対応しています。こちらは東京駅に入線する新幹線を8Kで撮影。8Kとなると再生環境もハイスペックが求められますね。線路の敷石や遠景にビル等の描写もご覧ください。
Top Feature
なんといっても50MPとなったメインカメラでしょう。23mmと超広角にも迫る画角のため、風景を余すことなく取り込める頼もしさがあります。(画像のクリックで原寸画像を表示します - 8160x6120、18.4MB)。
User Interface
一番使用頻度の高いカバーディスプレイとアウトカメラでの表示。ユーザーインターフェイスはAndroid標準に近い、シンプルで扱いやすいものになっています。
写真、ポートレート、動画等のモードの他、ナイトグラフィーやパノラマ、プロ等の撮影モードは任意のものを選んで並べることができます。撮影時の切り替えは画面をスワイプするのみ。
こちらはカメラ設定画面の一部。画像のクリックで全体を表示します。RAW撮影や保存形式(JPEG/HEIF)の選択、フレーミングガイドの表示、位置情報の付加等細かな設定を行えます。
メインディスプレイをファインダーとして使うと、大判カメラのファインダースクリーンを覗いているような大迫力。ピントも確認しやすいです。この状態では片手では保持しにくいこともあり、結果として両手でしっかりと構えることで好結果に繋がります。
画面左上に表示される「キャプチャ表示」をタップするか、ディスプレイを少し折り曲げると、カメラ画面が分割され、縦位置では左側に撮影した画像が複数枚表示されます。直前のカットと見比べながら撮影できるため、撮影結果を踏まえながらよりよい1枚を狙うような撮影では便利です。
横位置で折り曲げると、端末をテーブル等に置いて撮影するのに向いた表示へ切り替わります。上下方向にカメラの角度調節も可能。直前の撮影結果も表示され、その横にはシャッターボタンや設定アイコン等が並びます。記念写真や動画の撮影に便利です。
これらに加えて、アウトカメラとカバーディスプレイを組み合わせた「自分撮り」モードもサポート。高画質なアウトカメラでセルフィーができるスマーフォトンは貴重です。
異次元の情報量が得られるディスプレイにハイエンドなカメラが融合
高コストな折りたたみディスプレイを採用したハイエンドスマートフォンという位置づけもあり、高性能なパソコンにさえ手が届いてしまう価格に躊躇する方も多いと思います。感覚としては性能のよいハイエンドスマートフォンとタブレット端末を一緒に購入したイメージに近いでしょうか。実際に使う感覚も実はそれに近いもの。iPad miniに近いサイズのディスプレイを持ったタブレット端末がズボンのポケットにスッと入ってしまう様は、この端末でしか得られない大きな価値です。加えてご紹介したとおりの高性能なカメラと多彩な撮影スタイルが融合し、本機にしかできない提案は実に見事。筆者はそれらに価値を感じ、初代「Galaxy Fold」、2代目の「Galaxy Z Fold2」のユーザーとなりました。使ってわかったことは、修理代が高くつきそうなデュアルディスプレイも開いた状態では両手でしっかりホールドしますし、閉じた状態では一般的なスマートフォンと比べてもスリムになることもあり(ガッチリ掴めます)、手を滑らせて落下してしまうようなことは普通のスマートフォンより少ないと感じました。とはいえ高額な端末にはなりますので、購入時に補償サービスに加入しておくことをおすすめしておきます。