どした？ いきなり

さあ、ご一緒に！

えっ？

♪さーかいつらぬるくににして  そびゆるやーまはいやたかく
これこれ。何をぼーっとしてるでござるか、一緒に歌うでござる。

えっ？ えっ？ えっ？

♪ながるるかーわはいやとおし  まつもといーなーさくぜんこーうーじ

♪ぜ、ぜんこーうーじー

ほれ、やれば出来るでござる。

あなたに褒められるのって、まあまあの屈辱ね。で、私は何を歌わされたの？

これは「信濃の国」という長野県の県歌、県民の歌でござる。

県歌？ どの都道府県にもそれぞれの歌があるでしょうに。（編集部注：実際には大阪、兵庫、広島、大分には存在しないようです）

ここに「雑学 日本一だよ！長野県」という本（長野毎日新聞社刊・加瀬清志著）があってでござるな、このコーナーのネタ探しにたびたび参照するのでござるが、この本でもいちばん最初に出てくるのが「信濃の国」の話なんでござるよ。そういう位置付け。

だからその「信濃の国」がどうした？ って聞いてんの。

いや、歌えない。どんな歌かも知らない。聞いたことない。

しかも、これを事あるごとにみんなで歌うらしいでござるな。結婚式、同窓会、忘年会や新年会、とにかく長野県民が集まったら、最後にみんなでこれを歌わないと終わらない・・・と先の本にもあるでござるが、それはマコトでござるか？

へーえ。もちろん他の県でも県民に親しまれている県歌はあるでしょうけど、すごくステキな話だと思う。

ところが、でござる。

ところが？

長野県の県歌なのに、しかも6番まである長い歌なのに、「長野」という言葉が一度も出てこないのでござる。

えー？ ぜんぶ「われらーが長野ぉ～」みたいに終わるんじゃないの？ それは変ね。何かキナ臭いわ。

なるほどお。そのへんの「それぞれの郷土愛」への配慮から、あえて「長野」という言葉を使わなかったのかしらね。みんな地元への愛が強いもんなあ、北村さん見てても思うけど。

そう言えば、この連載の最初の方で、北村殿のセリフ中に「長野愛」と書いたら、「信州愛」と直されて返ってきたことがあったでござるな。

確かに「ご出身はどちらですか」と訊いて「長野です」と言われるより、「信州です」と言われた方が、ぱっと景色が浮かぶ気がする。