PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

駅を降りたら
vol.03 目白

写真を趣味にしていても時には、なんとなく撮りたいものがないな〜とか、なにを撮っていいのかわからなくなる時もあるでしょう。我々もそんな事はしょっちゅうあります。そんな時おすすめなのが「降りたことない駅に行ってみよう」というもの。理由づけはなんでもよいのですが、とにかく用事を作って行ってみることがコツです。考えるよりも行動してみるといい。どこかで聞いたことありますよね?まさにそれです。

さて、今回目指すのは山手線の「目白駅」。関東地方に住み始めて数十年ですが、目白駅に降りるのは初。まずは下調べで目白という街の歴史を紐解いてみました。「目白」の地名の由来は諸説ありますが江戸時代、徳川家光の頃に目白不動が祀られているお寺があり、そこから目白と呼ばれるようになったのが通説とのことです。目黒不動は有名ですが目白不動が存在していたのは初耳でした。ところが、さらに調べてみると東京都内には江戸五色不動なるものがあり、他に目赤、目黄、目青のお不動様が祀られたお寺があるそうです。機会があれば全て回って御朱印をいただくのも面白そうですね。まあ、とりあえず地名の由来となったであろう「目白不動」を拝みに行くという用事が見つかったのでした。

( Photography & Text : Z II )

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今回のお供:
Canon EOS R8 + RF 28mm F2.8 STM

今回のお供はEOS R8。キヤノンEOSRシリーズのフルサイズセンサー搭載機の中でも、とりわけ軽量でコンパクトなため散歩カメラには持ってこいの1台。レンズもコンパクトなRF 28mm F2.8 STMをセレクトしました。28mmはスマホカメラと近い画角で親しみやすく、気軽に撮るもよし、じっくりと構図を決めて撮るのもよいでしょう。


Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

山手線の歴史

東京都内を走る有名な「JR山手線(やまのてせん)」。こちらも歴史が古く、1885年(明治18年)に北は赤羽駅から南の品川駅までを結ぶ鉄道が開通したのが始まりです。当時の正式名称は「品川線」でした。でも当初から愛称は「やまのてせん」と呼んでいたそうです。なぜ「やまのてせん」と呼んだのかというと、東京の下町に対して高台のことを「山の手」と呼んだことから、江戸の西側の高台を走る電車ということでそう呼ばれたようです。その後、路線が拡張し1925年(大正14年)に公式に「山手線」となりました。途中「やまてせん」と呼ばれたりしましたが、神奈川県にあるJR根岸線の「山手駅」(やまてえき)と混同することを避け「やまのてせん」という呼び名が定着しました。写真からも分かるとおり目白駅は台地を切り崩した谷のような地形に線路を通したため、幅が狭く他路線との乗り換えや複数のホームを作ることができませんでした。そのため目白駅は山手線の電車しか停まらない稀な駅なのです(もうひとつは新大久保駅)。

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目白駅は開業当時、線路と同じ高さの地上駅でした。その後、地形的な要素や利便性を高めるために日本初の橋上駅舎に建て替えられました。橋上駅舎とは、線路やホームの上を跨ぐようにして架けられた橋のような構造の駅舎です。現在の駅舎は珍しい山型の切妻屋根と尖頭アーチ窓で趣があり、それだけで絵になりますね。

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改札を出てすぐ右手にある、有名な学習院大学。その他にも有名な学校が多数あり、なんとなくインテリジェンスな雰囲気が漂う街です。反対側の左手の線路沿いの道を南下すると高田馬場へ続きます。目白駅周辺までが高台になっていて南側が急激に低くなっているため激坂が至る所にあるのもこの街の特徴です。


Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

目白のルーツをめぐる

駅名の由来となった目白不動は思ったより駅から遠く徒歩で15分ほど。どちらかといえば東京メトロ副都心線の雑司ヶ谷駅もしくは都電荒川線の学習院下停留所からが近い位置関係です。しかし目白駅から目白不動を目指すことに意味があると思い景色を楽しみながら坂道を下りそしてまた登りました。舗装路にあるリング状のくぼみは激坂の証。今でこそ電動アシスト付き自転車が普及していますが、ひと昔前ならキツかったことでしょう。

Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

目白通りと明治通りにかかる千登世橋。完成した1932年(昭和7年)当時は日本初の道路の立体交差といわれています。

Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

神霊山 金乗院の境内にひっそりと佇む目白不動でお参りし、とりあえずの目的を果たしました。近くには小学校があり、子どもの下校を見守るシニアの方がいるなど静かな下町といった雰囲気。古くからあると思われるカラフルな洋服屋さんがいい味を出していました。特に何かを期待をしなくとも、初めて通る道や街並みは新鮮でそれだけで来てよかった気持ちになれます。

Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

駅前を通る目白通りから一本裏手の道を歩くと静かな住宅街になっています。少し昭和の雰囲気を残した広い敷地の立派なお宅が多く並んでいます。魅力的な建物を探訪できるのも目白散策の楽しみといっていいでしょう。

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目白駅は地形的な要因で山手線しか停まらず、他に乗り入れする地下鉄や私鉄路線がないために出入りした人は限られたことでしょう。つまり駅前の大規模な商業施設など開発がされず、昔ながらの面影を残すことにつながっているのだと思います。それゆえに静かで住みやすいのかもしれませんね。

Canon EOS R8, RF 28mm F2.8 STM, Photo by Z II

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さて、歩いた距離はさほど無いですが坂道があちこちにあり、ちょっと休憩したくなりました。駅からほど近い和菓子屋「志むら」さんへ寄らせてもらい、2階と3階にある喫茶スペースでお茶とお団子をいただきました。お土産に買った椿の形をした最中も洒落ていますね。


山の手の地形により昔ながらの雰囲気が残る街

今や、ネットでいろいろ調べられる時代ですから、わざわざ行かずともある程度はわかると思います。でもネットで見て知った気になっているのと実際に行くのとでは大きな違いがあります。実際に行ってみて五感で感じる空気感、坂の傾斜や距離感は歩いてみないとわからないものです。もちろんネットにより過去の情報を得られるメリットはあります。しかし今の姿を誰かに話したりSNSで発信したりする際、最も説得力があるのは自らの体験や発見による驚きや感動、または失敗談ではないでしょうか。さらに、そこに想いを込めた解像度の高い写真たちが並ぶことで、その街の魅力を際立たせられ、その場の空気が伝わるのだと思います。

( 2025.05.29 )

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写りとサイズにもこだわるなら、コンパクトなフルサイズ機のキヤノンEOS R8がおすすめです。

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昔の地図から当時の景色や人々の生活を想像してみるのも面白いでしょう。

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坂の多い街には必須の乗り物になりました。比較的お求めやすいモデルです。

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