PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
映り込みフェティシズム
vol.2 with Water
機材レビューのために撮影をしていると、毎度の如くいつのまにかガラスや水面への“映り込み”を撮ってしまっているのです。まるでふと引き寄せられているかのように。そんな傍から見らどうでもいいような私の癖による産物をお見せしている「映り込みフェティシズム」の第2回目になります。
( Photography & Text : KIMURAX )
今回お届けするのは題して“with Water”。「水辺」での映り込み写真です。遥か昔の人々は水面を鏡として日常で使っていたそうで、後に種々の金属やガラスといった素材を用いるという長い歴史を経て、今の形ある鏡が誕生したことはご存知の通り。広い意味で「映して見る」という行為のルーツである水辺の映り込み、ご覧いただきましょう。
穏やかな水面ほど、スッキリとクリアに周囲が映り込みます。こちらは多摩川の支流部。僅かにですが流れがあるので像が揺らいでいますが、180度回転してもちょっと雰囲気のある風景写真になりそうな雲の表情です。
こちらも同じく多摩川にて。惜しくも右側が水面ではないので、完全な上下反転にはならなかったのですが、、、自然の姿が相手ですからね。アクセスしやすい身近なロケーションで撮影した割には、これはこれでそれなりにいい雰囲気が出ているなと感じているのは私だけでしょうか。
おいおい、水面じゃなくて柱じゃない。そんなツッコミが出てきそうな一枚ですが、撮影時はメラメラと炎が燃え上がっているかのように、目まぐるしく表情を変えていました。この柱、日本橋川沿いを走る首都高速道路を支えている一本。揺らめく水面による太陽の反射光でメラメラしているように見えていたのです。もはや映り込みではなく、単なる反射光が描き出した世界ですが。水辺の風景としては、ちょっと面白いかなと。
雨上がりでもなければ、わざわざ撮影しようとは思わないシチュエーションではないでしょうか。しかも、何かすごいものが映り込んでいるわけでもありません。しかし、思わずレンズを向けてしまっているのです。
雨上がりの太陽。あらゆるものがきらめき出す時です。
雲がひとつもない、写真に撮る空の表情としては少々面白みに欠ける日。でも空色はちゃんと写り込んでいました。
昨年の秋に撮影した公園を通り抜ける水路。10m程のトンネル状の所ですが、光が差し込むだけでなかなか絵になるものです。
( 2022.07.14 )