PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
風景写真の撮影場所、どうやって探してる?
Vol.6 - Text by Serow
バイク乗りが愛用する地図がある。
正直なところ、写真撮影の場所を探すというより「次のツーリングはどこに行こうかな」というのがバイク乗りの感覚です。何より大切になるのは走っていて気持ちのいい道かどうかということ。くねくねした峠道だったり、交通量の少ないワインディングロードだったり、木漏れ日の中を駆け抜けるような道だったり、はたまた普通は踏み入らない林道だったり。こうした情報をどうやって手に入れたらいいかというと、バイク乗りなら知らない人はいない、昭文社のツーリングマップルという地図があります。これが、撮影旅行のお供にも、結構いいと思うのです。
中身をご紹介しましょう。紫色に縁取られた道がツーリングの目的となりうるオススメルートです。これを手がかりにして、今回はどの道を走ってみようかななんて、地図を見ながら計画していくわけです。たとえばこのページで狙いたくなるのは山梨県と長野県を走る川上牧丘林道。大弛峠(おおだるみとうげ)がチェックポイントになりそうですが、長野県側の道にはオレンジの縞々が見えますね。これは約9kmのロングダート、すなわち舗装されていない道が続くということ。注意が必要な道ですが、オフロードバイクであればこれもワクワクポイントになります。「日本のヨセミテといわれる渓谷美」なんていう記載も気になりますね。
北側に抜けたあとは、どこを走って帰ってきましょう。ページをめくれば、まだまだ良さそうな道が続いています。三国峠から中津川渓谷を抜けて秩父へ向かうルートを選べば、ダート道もたっぷりあって、しっかりライディングを楽しめそうですね。
おそらくこのぐらいの情報量がちょうど良いのだと思います。バイクに乗る楽しみは、実際にその場所に行くこと。その土地の空気を肌に感じて、その目で確かめることにあるのですから。写真だって同じではないでしょうか。
さて実際に行ってきました。大弛峠へ登る道は交通量も少なく、木々に囲まれながら軽快に走っていくことができます。ただし見晴らしのいい場所は見つからず、1枚撮ったカットはこんな具合。
ずいぶんと標高もあがって、ようやく視界が開けました。こんな風景に出会ったら、一度バイクを停めてしばし休憩タイムです。缶コーヒーでも飲んで過ごすちょっとの時間が、何よりのご褒美。
大弛峠を超えて下りのダート道は、走ることに集中していて写真がありません。ほとんど下りて道が緩やかになり、ほっと一息ついた頃の一枚。大自然の懐に入れば、どこを見回してもなんらかの被写体がありますね。
峠のダート道の後では、中津川林道はのんびり走れる気持ちの良いコースでした。開けた場所で撮影した一枚、似たような画ではありますが、やはり標高の違いを感じますよね。まだらに色づいた紅葉の中、砂利道をバイクで駆け抜けていく。夢のような一日だったと記憶しています。
( 2020.07.06 )
記事の一覧
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地図と想像力で場所探し。敢えて非効率、不確実を楽しむ。 - Vol.2 - Text by Rica
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雑誌の情報を元にして臨機応変にロケ場所を決める - Vol.4 - Text by TAK
目指すは人のいないところ。地図と本で探す。 - Vol.5 - Text by TA
まだ見ぬ景色との出会いを期待して、ひたすらに彷徨う - Vol.6 - Text by Serow
バイク乗りなら知っている地図がある。 - Vol.7 - Text by KIMURAX
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どう撮るかを考えながら、常日頃から足を使いつつネットも活用 - Vol.9 - Text by K
自家製シムシティから始まったウロチョロ癖 - Vol.10 - Text by Naz
ロケハンで得たものは写真人生の大きな財産 〜 自分だけの撮影スポットを探して
関東甲信越地方 2020年版です。ツーリングマップル好きは、何冊も買い増すものです。
北海道は雄大。何日も休みをとって、心置きなく旅したいですね。表紙はセローです。
東北はいい温泉の宝庫です。海もいいけど山もいい。
本州の中心。日本海側から太平洋側まで、幅広くカバー。
関西を拠点にする方ならこちら。都市部からも、海と山に近いのが羨ましい。
山陰もいい。うどん巡りもいい。あーツーリングに行きたい。
阿蘇は最高でした。表紙がモトグッツィというのが渋い。