PHOTO YODOBASHI
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彼はその出来ばえに満足したでしょう。ニンマリしながらレコード棚に戻したに違いありません。なにしろそれは、数十年後に12,000kmも離れたアジアの島国で、ひとりのオッサンのコレクションに加わるほどの傑作だったのです。
正直、この女性の絵が描かれていなかったら、私はこれを買わなかったはずです。裸の女性を描いた理由は、もちろんローズさんがストリッパーであったことからの着想でしょう。しかし彼はこの絵を、何かを参考にしながら描いたのではありません。ジプシー・ローズ・リー本人に似せるという努力もしていません。ただ「自分の頭の中にある、イコンとしての女性像」を、そのままそこへ吐き出した。ためらいのない伸びやかな筆致が、腰のくびれのあり得ないほど鋭いカーブが、それを物語っています。誰かに見せるために描いたのではない、その「絵としての純粋さ」は、もはやラスコー洞窟の壁画と同等に語られるべきなんじゃないかと、私は思うのであります。
と同時に、この絵はどこか物哀しく、切ない。両腕は脱力しきっているにもかかわらず不自然に持ち上げられ、もうどこにも行けないと分かっているのに、必死に羽ばたこうとしている。漁村でたまに見かける、タコを金具に嵌めて干したもののようにも見えます。
もはやその必要性を感じませんが、このレコードの内容について触れておくと、音楽をバックに長々とセリフを喋ったかと思うと突然歌い始めたりして、どうやらステージでの出し物をそのままスタジオで再現したもののようです。しかしこの2022年に、日本で生まれ育ったフツーのオッサンがこれを聴いて楽しんだり、感動できるかというと、残念ながらそういう感じではない。
オリジナルのジャケットについては、さらにどうでもよいですね。もちろん悪くはない。それどころか、素敵なジャケットだと思います。でも私が勝手に期待している「ウェストミンスター的味わい」からは大きく外れていますし、何よりこの手描きのジャケットが放つ破壊力の前では、どんなジャケットだって太刀打ちできっこないのです。
ジプシー・ローズ・リーご本人については、日本語のウィキペディアがありました。やはり波瀾万丈な人生を送られた方のようです。
それにしても、この絵を描いた彼は今頃どうしているのでしょう。会ってみたいです。そしてこのジャケットを一緒に眺めながらバドワイザーで乾杯したい。彼には訊きたいことがたくさんあります。
よぉブラザー、まずはバドで乾杯しようじゃないか。(飲酒は大人になってから)
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ジャケットは大事 + でも紙だから痛みやすい = これ買うね。
洞窟壁画についての本。これを読めば「彼の絵」への理解がさらに深まるかも?