PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
不定期の連載でストップしたままになっておりました「メシ撮り道場」がなんと再開する運びとなりました。これも一重に見ていただいている皆様のおかげです。ありがとうございます。さて、めっきりと寒くなり熱々の「肉まん、あんまん、中華まん」などが食べたくなる季節ですね。その「〜まん」をスマートフォンでどう撮るかが今回のお題です。そのもの全体像なのか、具を見せる工夫なのか、何をどう伝えるかがポイントになってきます。さぁ今までのお題から得られたヒントを思い起こしてLet’s challenge!
( Text by Z II )
お題「肉まん」
#1 - ASUS Zenfone5
なんと最初から変わり種のピザまんです。光の捉え方や色や質感、中身の見せ方はとても良いなと感じました。しかし、もう一歩踏み込んで欲しかったですね。せっかく背景を暗くして湯気が見えやすいシチュエーションですが、全く見えずであったり、チーズがびよーんと伸びていれば、もっと熱々のピザまんを伝えられたのかなと思います。何を伝えたいかを撮る前の準備から決めておくことがポイントですね。
#2 - iPhone X
こちらは定番の肉まんです。人の手を借り両手で割って中を見せるのはうまく工夫しましたね。また着ている服が濃い色であることで湯気を効果的に見せることができるので熱々な感じが伝わってきます。シンプルですがいろいろ工夫を感じました。
#3 - iPhone XS
これはまた大胆に白地に白の日の丸写真ですね。じっと見てフォースを使って肉まんを感じろ!と言われているようなそうでもないような謎の写真です。
#4 - iPad Pro
蒸し上がったばかりの出来立て感を前面に押し出していますね。熱そう!という感じは一番です。家族3人であっつ!とか言いながら食べる姿までも想像できますね。
#5 - iPhone 6
今度はあんまんです。難しいのは白いパン生地に漆黒のあんをどう両立させて表現するかです。パン生地のふわっとした感じや色は良いですが、あんの部分は黒く落ちすぎましたね。ここがスマートフォンの限界か?きっといろいろ悩んだ挙句の一枚でしょうか。
#6 - iPhone XS
同じくあんまんです。あんのねっとりとした質感が存分に出ていますね。白と黒のコントラストがありながらここまで質感を両立させるのは相当難しいのですが、条件を揃えてうまく再現できています。片手で持っているのでしょうか、若干不自然な指が気になりますがあんの表情は完璧ですね。
#7 - iPhone SE
一風変わったおそらく最後のひと口のシーンです。具とパン生地のバランスがなんとも絶妙ですね。最後のひと口で肉饅を食すという一連の流れが綺麗に完結したような、美学めいたものがこの一枚から伝わります。あとからじわじわくる写真ですね。また冬を感じさせる光や影と背景もナイスです。
#8 - iPhone 7 Plus
一方こちらは最初のひと口。こだわったのはひと噛みをしたところから具が見えて「肉まん」であることがわかること、熱々の湯気を感じさせるために直射が当たりつつも背景が暗いシチュエーションを選んだことです。やはりここでも条件を揃えることが伝える写真に近づく工夫ですね。
#9 - iPhone 6s
抑えるべき色、質感、形状はしっかり見せていますが、独特な世界観、いや宇宙観とも言える撮り方です。これどこ?何?と、見た人は思うかもしれません。撮影者の狙いがそこなら大成功と言えるでしょう。
お題に撮らされるな
お題があり、それに沿って撮ってきていただきながら、「お題に撮らされるな」とはどういうことかと言うと、きれいな写真、上手い写真は真似できます、しかしただ真似して撮ってもそれを見た人にその時の心情は伝わりにくいと言うことですね。伝わっていないと言うことは何も写っていないに等しいのです。その時の心までは真似できませんからその時に思いついた見せたい要素を1個でもいいので盛り込めると良いのかなと思います。それこそが撮り手の「撮りたいと思う心」なのです。写真に正解なんてないのですから、そこにいかに心、つまり意図を込めるかなのです。
見せたい要素を決め、映えて写る条件を揃えてあげよう。
( 2019.12.26 )
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