PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
3回目となりましたPYメシ撮り道場の次なるお題は「肉」。数ある食材の中でも視覚的インパクトはピカイチ。「肉」というものは視覚から唾液腺や嗅覚、胃袋までも刺激してしまう、最も脳に響く食材と言っても過言ではありません。皆さまも当然チャレンジしたことがあると思いますが、肉を撮るのは実はかなり難しいのです。まず、生で撮るか調理されたものを撮るか、厚みを見せるか表面を見せるか、その時の直感が試されます。さて編集部員も頭をひねりながら真剣に挑戦してくれました。
( Text by Z II )
お題「肉」
#1 - iPhone 7 Plus
まずは「調理された肉」ハンバーグです。ポイントは焦げめとタレですが、目につくのはど真ん中に配置したポテトの飛行機ですね。ハンバーグといえば誰もが子供の頃に大喜びしたご馳走ですから、一緒に食べてにきている息子さんも横目に「いいなぁ〜」と羨ましがったのではないでしょうか。そんなほのぼのしたシーンが想像できる一枚です。
#2 - iPhone SE
こちらもハンバーグ。分厚い肉塊を割って、内側を鉄板に押し付けている大事な場面です。ポイントは鉄板の上で煮えるソース。このお店のハンバーグを知っている人であれば、肉がお好みの状態になるのを待つ期待感、あるいは焦らされ感を思い浮かべることでしょう。(とはいえ、知らない人には伝わりにくいかもしれません)
#3 - iPhone 8 Plus
こちらは「調理前の肉」そのもの。これがこの後どうなったのかの想像を掻き立てる一枚ですね。素材そのものが強いので小細工は必要なく、光の方向性だけ注意してど直球で勝負したのが良いと思います。ポイントはこの肉のベストアングルを探し、そのアングルで見たときに室内光で肉の質感とつやがイメージ通りに出る場所に被写体を置いたところです。さらっと見えて実は計算された一枚です。
#4 - ASUS ZenFone5
こちらはしゃぶしゃぶ。日本の肉料理は焼くだけでなく煮たり焼いたり蒸したりと、多種多様で面白いですね。さて写真ですが、下1/3に火を通して、生の状態と煮えた状態を両方見せるという作戦です。ポイントはグッと寄ったトリミングと肉の状態の見せ方。せっかくの面白いアイデア、カメラ性能の限界もあるでしょうが、生の部分がもう少し生らしく見えると良かったと思います。たぶん手前方向から光が肉をなめるようにすれば、生肉部分にキラッと反射が入ってエッジが際立ち、表情が出たでしょう。(そろそろ脂身の多い肉が苦手になってくる撮影者の年齢までも写真から見て取れるのも面白いですね。)
#5 - iPhone 6S
さて「肉」と言えばステーキ。肉のデカさを際立たせるトリミングと焼き目の美しさも申し分なし。ポイントは光源の位置を意識して肉の質感が最も出る位置にカメラを構えているところです。悩むところは焼き目を見せるか厚みを見せるかですが、少し薄いせいかここでは焼き目を取りましたね。
#6 - iPhone 6S
いい表情をしていますね〜。光の方向性、焼き目、厚み、湯気、タレのグツグツ感のどれもよく出ています。きっとこのお題のために数ヶ月ぶりのステーキで、口の中がよだれでいっぱいの状態で撮影していることでしょう。これを見た人が今夜「肉」にする?と言わしめる一枚です。
#7 - iPhone 6
こちらは自然光で撮っています。脇役の皮付きのポテト、人参のグラッセ、ローズマリーが主役の肉を引き立てています。肉のジューシーさはありますが、少しもったいないのは熱々の感じが足りないところですね。料理はできたてが一番いい状態です。運ばれてきたタイミングに一発で撮れる準備をしておくことが大事です。
#8 - iPhone 6S
肉? 元をたどれば肉ですね(笑)。よしとしましょう。バーベキューシーンの写真では欠かせないのが煙ですが、この写真ではなぜかすごく出ていますね。撮影者によるとチーズインソーセージのチーズが溶け出したとのこと。ポイントはソーセージの色と質感が出るように光を計算して並べてあること、被写体にかなり寄って撮ったことに、プラスαで煙です。「肉」をテーマにした映える写真として、敢えてソーセージを選んだチャレンジに拍手です。
#9 - iPhone 7 Plus
こちらは焼肉。しかもホルモンです。ライト付きの排煙ダクトがいい具合にスポットライトになってまるで肉のミュージカルのようです。ポイントは大事に焼いている感じを出すために肉をほぼ均等に並べ余白も均等にしました。そして網に対して水平にカメラを構え焼き加減と湧き上がる煙を見計らって一撃で仕留めたことです。iPhoneのポートレートモードを使用して背景をぼかし浮き上がるように撮ることができました。せっかく熱々なので、もっと寄ればいい表情が狙えたかもしれません。
表情を読む。
肉は状態によって撮り方を見極めなければならない、非常に難しい食材です。例えば生の状態、調理したての状態、少し時間の経った状態など、表情は刻々と変わります。料理としては出来たてがベストな状態ですので、そのタイミングでグッと寄って撮れば熱々の感じが出ます。運ばれてきた肉の状態を予測しテーブルの上の光の方向を計算、さらに背景も整理しておくのも良いでしょう。そして肉と対面した時にその表情を見ることが大事です。その肉の魅力はどこにあるでしょうか。被写体の良さを見つけ、その良さをどう伝えるかを、瞬時に判断して一発で撮る。このスピード感も重要です。せっかく出された料理を前に何枚もパチリパチリと撮っているのは、美しい姿とは言えません。一発で撮れるように準備をして待っていましょう。被写体の良さを見つける目を養いましょう。これはポートレート撮影でも同じことです。
被写体の魅力を見つけよう。
( 2019.01.23 )
お家でお肉を焼くならこんなグリルパンはいかが?
熱をしっかり伝える鉄器で、焼き目もきれいに仕上がります。
食卓までそのまま出せてしまうプレートもあります。焼き加減は食べる人にあわせて。
お肉を鮮やかに切り分ける道具はこれ。肉に対する真剣さがあるなら、道具を甘く見ることはないでしょう。
専用の道具というのは専用であるだけの意味がある。熱伝導のいい銅製の理由は、言うまでもありません。
美味しいラムも出回る時代になりました。ご家庭でジンギスカン・・・どうぞ煙にご注意を。
お肉ならワイン。一生使えるソムリエナイフの傑作をぜひお手元に。
感動的なステーキを実現するウェーバーの大型バーベキューコンロ。問題はお値段ではなく置き場所でしょうか。
アウトドアにも十分持ち出せる、コンパクトなウェーバーグリドルはこちら。週末のバーベキューが待ち遠しくなります。