PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

LEICA SUMMILUX-M f1.4/50mm

ライカのクラシックレンズシリーズに新たに追加された「ズミルックス 50mm F1.4」。1962年から2004年に販売された2代目のリバイバルです。ズミルックスの系譜については、世の中に数多の文献が存在するため詳しくはそちらをご参照いただきたいのですが、私の記憶だとCarl Zeiss Sonnar 5cm F1.5の登場によって、当時のライツがシュナイダー製のXenon 5cm F1.5を登場させたのが起源だったのではないかと思います。そこからSummarit 5cm F1.5、SUMMILUX 50mm F1.4(初代)と連なります。Xenonから始まったこのダブルガウス型の系譜は、前述の通り2代目のズミルックスが長きに渡り生産されバトンを握ってきました。その後、非球面レンズが投入され、レンズ構成もガラッと変わったモデルへとチェンジ、現行型はそこからさらに最短撮影距離が40cmとなったモデルとなっています。今回、クラシックレンズシリーズにズミルックス50mmが加わるということで、私はてっきり初代のリバイバルかと思っていましたが、2代目なのですね。それも納得で、ゾナー型に対抗して登場したダブルガウス型の初期の頃は未だコーティング技術などの周辺技術がいまひとつだったため、ゾナー型に比べてゴーストやフレアが多かったように感じます。私も初代を使っていましたが、なかなかの暴れ方をすることがありました。2代目は初代の発展型となりますが、随分と扱いやすくなったのではないかと感じます。このあたり、ご興味のある方はぜひ色々と調べてみてください。さて、ライカが展開する一連のリバイバルシリーズについて「やはりオリジナルが欲しいよな」と、少々モヤッとしたものを感じる人も多いかもしれません。ただ、ライカのビンテージレンズはこの15年程度でなかなかの高騰ぶりで、物によっては15年前より10倍以上になっていたりします。多くの人手に渡り、数多の環境で使われ、整備履歴のよくわからない中古品を手に入れるのは、経験上「なかなかのギャンブル」です。それでも昔はまだなんとか手に入れられる価格帯でしたが、現状の価格だと何本も買い試すことは難しいわけです。そう考えると、無条件に新品のコンディションで当時の描写を手に入れられるのは、やはり1つの価値ではないかなと感じます。早速、作例とともにこのレンズの魅力を掘り下げていきたいと思います。

( Photography & Text : K )

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

現代レンズの描写と何が違うのか

周辺は・・落ちます、流れます、ピント甘いです、ぐるぐる巻きます。後ろは顕著に二線ボケ。樽に歪みます。これが「リバイバル」「クラシック」などの枕詞が付かずにリリースされると、笛吹きケトルのように一旦SNSなどでヒュ〜っと沸騰を知らせそうです(笑)ピントを置いた前後は「美味しく」ヴェールを纏い、なんとも言い表し難い色気を感じさせます。画面中にスパン!と光が強烈に差し込む箇所には華やかなフレアが画作りを助けてくれます(笑)なるほど、オリジナルの描写に実によく似ています。ピントを置いたあたりはキチッと解像し、その他の「緩さとの対比」があれば画的に美味しいし、真ん中に被写体を置いて絞り開放で撮れば、それなりに画が成立しやすいので気楽です。レンジファインダーカメラはそもそも画面中央でしか測距が行えないため必然的にそんな画になりがちなのですが。オリジナルとの比較は、どの要素も1段階上のまとまりを感じさせます。つまるところ、現代のレンズで撮影するよりある意味で気楽であり、また別の意味で工夫がいろいろと必要だろうと思います。このあたりを性能というよりは特性と捉えて、それをどう活かすか。道具を使う遊びの1つの楽しみ方だろうと思います。

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

2代目の最後期あたりのズミルックスを長く愛用してきました。現行型も持ち合わせていますが、今でもよく用いるレンズです。結構力強い描写で、後ろボケは少し固め。ポートレートなどで使うならバックとその距離を少し考えて撮影するのが基本となりますが、ドキュメンタリー的に捉えるならむしろ面白いレンズであると思います。私が使っていたオリジナルの純度を少し上げたような描写で、このあたりがリバイバル版レンズの美味しいところですね。

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

逆に前ボケは柔らかいため、被写体の前に何かを置いて撮るのが面白いレンズです。レンジファインダーカメラだとファインダーを覗いて仕上がりが見えずにパララックスもあるため、仕上がりの想像力がかなり問われますが、お遊びお遊び。まだデジタルになったからよいものの、フィルム時代は毎回「イマ5!」と物足りなさを感じるスリーブを量産。そこがまた次の撮影のモチベーションを掻き立ててくれるという副次的な効果もありますが。

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

歪曲補正については優秀なほうだと思いますが、若干樽型に歪みます。ただし単純な歪みのため、現像ソフト等で真っ直ぐに簡単に補正可能。あまり目くじらを立てるほどではないと感じます。


LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

あらためて感じる、基本性能の高さ

ダブルガウス型はレンジファインダーカメラが下火となり一眼レフカメラの興隆とともに長きに渡って使われてきた型だけあって、当時はなかなかの先進性が感じられたのではないかと思います。描写自体は自然に感じられるもので、ピントを置いたポイントの描写の繊細さなど、個人的には大変好みです。今回このレンズを使って感じたのが、ボディ側の距離計の精度や連動精度なども含めて、全体的な工作精度が上がってるんだなということ。上のカットもそうですが、目の衰えを考えると少し絞りたくなるシーン。若かった当時でもバンバンに外すので、あまり開放では撮らなかったと思います。逆に、当時から被写体までこの程度の距離があってあからさまにピントが外れたことがわかる、ピントピークの描写性能があったということに他なりません。

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

AFレンズとは違い、無限はヘリコイドの「行き止まり」。開放での撮影にも関わらず、原寸で見ても見事に解像しているレンズ性能にも驚きますが、何より距離がバチッと合ってることに感心。レンジファインダーカメラをお使いの方なら「へ〜」となるのだろうと思いますが、お使いでない方は何に感心しているのかよくわかりませんよね(笑)前述の通り、レンズ&ボディの工作精度は飛躍的に高くなっているのだなと感じます。むしろ、当時はレンズのポテンシャルを完全に引き出せてなかったのかなと感じさせられる次第です。ライカ社の名誉のために記しますが、機械式な連動には限界ありますから。※原寸画像を掲載しています。クリックでご覧いただけます。

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

久しぶりに50mmレンズを使いましたが、時に広角のように、時に望遠のように。そんな潰しの効く画角で、相変わらず楽しいなと感じます。テーブルの上の水の入ったボトルにピントを置いてますが、椅子のエッジといい、なかなか切れ味を感じる描写です。

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

クセがなければ日頃こんな画は撮りませんが、生け垣越しに撮影。

LEICA M11, SUMMILUX-M f1.4/50, Photo by K

周辺の描写の具合がよくわかるフレーム。子どもの腕のあたりや、左下部の像の流れをご覧ください。「走ってる感」を補強してくれます(笑)


  • PHOTO YODOBASHI上のカットと同じ場所ですが、被写体の置く場所で描写はガラッと変わります。像の立ち方がいいですね。
  • PHOTO YODOBASHI画面四隅やボケ味などのご確認にどうぞ。
  • PHOTO YODOBASHIおまけ。本レンズと現行レンズの比較。こちらは本レンズ。
  • PHOTO YODOBASHIこちらは現行レンズ。構成はまるで違いますが、描写の傾向を引き継ぎつつ正常進化的な写りに感心。

PHOTO YODOBASHI

やらねばならぬことを増やして、楽しみも増える

EVFで仕上がりを直に見ながら撮影するのではなく、距離を測り、フレームを決め、露出を決め、レンズの特性を踏まえて微調整し、パララックスを脳内で補正しながらボケ量も踏まえて画を想像し、コサイン誤差を考えてピントリングの送り量を調整し、フォーカスブラケットを行いつつシャッターを切る。いやあ、面倒くさい。ボケもファインダーで見えないために、前と後のボケの特性を把握しておいて、画を想像しながら、バックを選び、フレア等々の計算も含めて光の回し方に気を配る・・書ききったかと思いきや、まだありました(笑)この操作の積み重ねは、1枚の画の仕上がりとは本質的には関係のない単なるプロセスです。しかし楽しいんじゃないですかね。そんな思いみたいなものを積み上げていくのも、また写真の仕上がりにつながっていくと思います。現代のレンズに比べれば弱点も多々あり、クセもある。しかし50mmにレンジファインダーという組み合わせ、レンズとボディのこの意匠、操作感、ついでにお値段。何と比較するものでもないし、貴方だけの時間を過ごしてください。このクラシカルな描写と、このシステムでの撮影は、いろいろと引き出しを豊かにしてくれるんじゃないかなと思います。私はレンジファインダーカメラと50mmレンズの組み合わせでの撮影経験で、活かせてるかはともかく、たくさんのことを教えられた気がします。


  • PHOTO YODOBASHI立派な金属製のスリットフードが付属します。造りもよく、このフードだけでもかなりの価値がありそうです。
  • PHOTO YODOBASHI左が本製品。右が現行のズミルックス。ご覧の通り全長が約45mmと短くなっています(現行は約59.3mm)。一方で重量は現行の337gに対し417gとやや重め(フード着用時は450g)。

( 2025.03.28 )

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最新の工作精度とベストなコンディションのいいとこ取りをしたクラシックシリーズの1本。デジタルでも不安なくお使いいただけます。

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保護フィルターとしてもお使いいただけるライカ純正のUVフィルター。シルバー鏡胴に合わせてシルバー枠となっています。ご一緒にどうぞ。

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M11シリーズのプロフェッショナルモデルとなるM11-P、クラシックシリーズのレンズと見た目の相性もバッチリです。ぜひご一緒に。

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非球面となった前モデルを改良し、より高い光学性能に加えて最短撮影距離が 0.4mへと短くなりました。「現行」のズミルックスはこちらです。

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ライカは50mmレンズが選び放題です。数多ある50mmレンズでも最高レベルの光学性能を誇るアポズミクロン。シルバーもお選びいただけます。

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現行のF0.95のノクチルックスにもシルバーが。極薄のピントととろけるボケをお楽しみください。

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クラシックシリーズの50mmのもう1本はこちら。たいへん希少なF1.2のノクチルックスを復刻した1本です 。

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こちらは現行のズミクロン。他の50mmレンズの個性が強いため、存在感がやや薄く思われるかもしれません。でも使ってみると「基本」のようなレンズだと感じていただけるでしょう。コンパクトで手頃なライカレンズとしておすすめの50mmレンズです。

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