Voigtlander Heliar-Hyper Wide 10mm F5.6 Aspherical

回廊
with LEICA M11

はてさて。10mmなんてレンズを手渡されて何を撮ればよいのか、皆目見当がつきません。スマートフォンに搭載されるレンズはたいてい28mm相当（水平画角75度程度）。この画角がいわゆる「記録」における一般的なコンセンサスと捉えてよいでしょう。倍とまではいかないにしても、130度なんて広い範囲が写るわけで・・案ずるより産むが易し、まずは街に繰り出してみます。LEICA M11は、最早単なる暗箱。ファインダーは当然役に立たず、ひたすら背面液晶を覗きながら撮影することになります。画面にはウジャウジャと物事が寿司詰めの如く入り込んできます。強烈に主張してくるパースに、整理できない画面。こりゃ面白え、だったら「何も気にせず撮っちゃえ」と感じるがままに撮影を楽しみました。自宅でカットを確認してみると、人口2万人に満たない街で生まれ育った見事な「お上りさん感」が、バッチリ写り込んでいました。いろいろ見上げて撮って感じるのは、万物・万事・流点。まるで回廊みたいなもんですねえ。振り回しようのないこの画角、振り回されっぱなしの「上がり」、挑み甲斐があって面白いです。

( 2022.12.08 )