PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

LEICA LEICA SL3-S / SHOOTING REPORT

高画素に振ったSL3に対して、SL3-Sは画素数を約2400万画素とし、連続撮影能力、AF性能、動画撮影機能等を向上させた、いわば汎用ミラーレス一眼と言えるでしょう。2400万画素が「スタンダード」と呼ばれる理由は、何よりもパッケージングが絶妙だからです。十二分な解像性能を保ちながらも、階調や処理速度などの面ではむしろ有利であり、データの扱いやすさも手伝って多方面でとにかく使い勝手が良いのですね。SL3-Sの連続撮影能力は最大で30fpsでAFも追従してくれますし、そのAFは位相差検出、物体認識、コントラスト検出のAF方式を組み合わせたハイブリッドAFシステムとなっており速度、測距点数ともにSL3を凌ぐとのこと。早速ご覧ください。

( Photography & Text : TAK )

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

逆光に照らされた噴水とシャドウにはかなりの明暗差がありますが、やはりダイナミックレンジの広さが効いていますね。噴水のハイエストライトからディープシャドウまで、しっかりと手中に収めています。これほどの包容力があれば、より多くのシチュエーションでの撮影を可能にしてくれることでしょう。

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

とにかく階調をよく拾ってくれるのでこんなシーンもお手のもの。浅瀬で深度もそれほどない中でも立体感がありますね。ご想像通りAFでは狙ったところにピントが合いにくいケースなのでMFで追い込んだのですが、高解像576万画素のEVFでピントの山がはっきりと判りました。このファインダー、本当に見やすいです。

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

床面重視の露出で流石に窓の外の風景は白飛びしていますが、こういう画が撮れればもう十分でしょう。フルサイズで2400万画素のメリットを感じます。


LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

AF、確かに速いです。SL3も速かったのですが、より速くなった印象で咄嗟のフレーミングにも食らいついてくれます。まあ最速クラスのミラーレス一眼の感覚で撮っていると合焦途中のようなカットも出てくるので、ほんの少しだけ待ってあげると確実性が増すでしょう。ともかくこのスピードであれば、スナップ撮影も楽しくなります。

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

最速の30fps連写、AF-Cで動体を狙ってみます。30fps時は色深度が12 bitになるのですが、白い機体に太陽光が当たっても全く問題ありません。AFの喰らい付きも良好で、手ブレ補正も流し撮りをスマートにサポートしてくれます。

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

その手ブレ補正力は最大5段。1/8秒なんぞ余裕です。色再現も流石の出来栄え。コントラストも文句なしでございます。


LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

SL3-Sは、4800万画素および9600万画素相当での超高画素撮影を可能とした「マルチショットモード」を搭載しています。画像をクリックすると、9600万画素相当で撮影した画像の一部を等倍でご覧いただけます。手ブレ補正とLEICA MAESTRO IV画像処理エンジンのおかげで、手持ちでもブレのない撮像を迅速に得ることができます。実は意地悪として歩きながら撮影してもみたのですが、被写体が動き過ぎるとちゃんとエラー表示が出て撮影すらできないようになっています。親切ですね。

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

最大ISO感度はISO 200000。無論「これを常用しなさい」と言うよりは、「実用感度幅が向上した」という意味合いで捉えるべきでしょう。私個人の感覚ですが、一定水準の色合いや階調や画素の分離が担保できる感度は、こちらのISO 12500あたりでしょうか。もちろん使用シーンによって変わってくる部分ではありますが、この高感度でここまで写ってくれれば御の字です。

LEICA SL3-S, SUMMICRON-SL f2/50mm ASPH., Photo by TAK

ここまで色んな白が写ります。「白は200色」が紛れもない真理であることを、SL3-Sは教えてくれます。


PHOTO YODOBASHI

最もおりこうさんなライカ

スタンダードパッケージがもたらす画質とハンドリングの絶妙なバランス、レンズ交換式ミラーレスの万能性、シンプルで機能的なデザイン。SL3-Sはもっともスマートで扱いやすいライカに仕上がっているなと感じました。2400万画素に抑えたことによる高い階調性能や高感度耐性、また連続撮影能力やAF性能の向上により、最新ミラーレスカメラに求められる要件を高い次元でクリアしています。動画機能も充実しており、特にセンサー面積をフルに活用したオープンゲート撮影では3:2比率での6K撮影が可能で、編集時にトリミングをしても4K画質を担保することができます。コンピュテーショナルな要素も取り入れ、マルチショットモードでは最大でほぼ1億画素の超高画素撮影を手持ちで行えます。要するにSL3-Sは、全方面で昨今の需要をしっかりと汲み取った「全部載せ」カメラであり、良い意味で「ライカ」であることを意識しなくとも、様々な撮影をすんなりとこなせるカメラだと言えるでしょう。あらゆるシーンでマルチに使いたい方には筆頭候補ですね。

レンジファインダーはまだしも、ミラーレスとなるともっとお財布に優しい製品も含め、選択肢は多岐に渡ります。その中からライカを選び取る理由に、美意識があるでしょう。ライカはそれ自体が工芸品であり、美への探究心やインスピレーションを掻き立ててくれます。芸術活動などに携わる方は特にこういった点も重視されるのではないでしょうか。「いや、芸術なんて大層なものじゃないんだけど」という方も、眺めているだけで微笑んでしまう品物が手元にあるとやっぱり嬉しくなりますよね。理屈とは違って数値化できないのが感情です。そこも性能としてカウントすると、ライカがリストに残ります。シルバーが良いアクセントになっているシャッターボタン、ストラップ取り付け部のドイツらしい造形に至るまで、全く手抜きなし。いや、ライカの美意識を貫くと自然とこうなるのです。

  • PHOTO YODOBASHI操作パーツ数も相当絞ってあります。シンプルに扱える上、何よりも美しい。個人的にはEVFの丸窓と視度調整メモリのデザインがツボです。記録媒体は、SD/SDHC/SDXCメモリーカードとCFexpressカード Type-Bのダブルスロットとなっています。
  • PHOTO YODOBASHIバッテリーは「BP-SCL6」を採用。SL3はもちろん、SL2シリーズ、Q2/Q3シリーズとも共用できます。ちなみにバッテリー室は蓋なし設計で、バッテリー自体が蓋も兼ねるというスマートさ。流石です。

( 2025.01.28 )

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ご存知「LEICA」の黒ロゴ。そこだけ艶があります。白の上に黒を塗るのと黒一色の製造ラインを作るのとどちらがコストがかかるかはわかりませんが、ライカのことですから理由は「Paint it in black. It's more beautiful.」なのでしょう。目立たなくてズルいほどにカッコいいです。

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当然USB充電もできますが、予備があった方がすぐに撮影を再開できます。

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縦位置グリップもこれまた素敵。取り付けた姿はもはや構造物のような出で立ちです。

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今回の撮影で使用した標準レンズ。古今東西、ズミクロンに間違いはありません。

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