PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA Q3 43, Photo by K

LEICA Q3 43 / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

新機種のテストは時間に限りがあることが多く、なかなか存分に撮ることが難しいのですが、今回少し余裕を持って再度テストすることができたため「ライカQ3 43」続編をお届け。初回にお届けした通りまあともかくよく写ります。可愛気がないほどに。日頃ホワッホワなオールドレンズで手遊びしているような私にとって、頭の中身をガラッと切り替えないと何をどうしてよいのかわからなくなります。そうですねえ、同じライカだとM Monochromにカラー機から持ち替える感じでしょうか。なにせ写りに「緩さ」が一切ないため、「なんとなく」では見栄えしない画ばかり量産して、撮影中テンションが上ってこないのです。そんなわけで、目の前の景色に真っ直ぐ、ちょっとアプローチを変えて街に繰り出してみるのです。

( Photography & Text : K )

LEICA Q3 43, Photo by K

襟を正して付き合いたい、至高の描写力

突き抜けた描写力を誇るレンズは少々逆説的なのですが、厳しい条件であるほどその力を感じやすいと思います。早朝の喫茶店でさほど光量のない中での一枚で、晩秋に向かいつつあるこの季節独特の角度のついた光、肩口でそれが減衰していく様をリニアに描く力は大したもので、髪の毛の描写を見ても画素の多さを存分に活かしきった高い解像力が感じられます。視力の低い私には肉眼でここまで見えていませんでした。撮影画像を表示してこのカメラとの向き合い方のコツが少し見えた感じがしました。なんの気なしに撮ってもよいのです。もちろん。M型ライカなどに比べれば取っつきやすく扱いやすいのが、このQシリーズのウリなわけですから。ただそこから先の世界がこのカメラ・レンズにはあると思います。一発気合を入れて行こう。そんな心持ちにさせられます。

LEICA Q3 43, Photo by K

写真を撮る人なら、おそらくこんなシーンに思わずレンズを向けてしまうと思います。やはり画素数の多さが効いていて、線と色の緻密なキャプチャが立体的に感じさせてくれます。

LEICA Q3 43, Photo by K

150mm相当でのクロップ撮影。M型ライカでお馴染みのブライトフレームのように、43mmの持つ画角で映し出された景色の中に小さな150mmのフレームが浮かび上がります。正直なところアイコニックな「くすぐり」はおいといて、ピント確認の確実さを考えればクロップ表示してくれればと思いますが(笑)画素数は相当に目減りしますが、特大サイズでプリントするのならともかく、十分実用的だと感じられます。ちなみに1000万画素程度のライカM8でB0サイズのプリントを出したことがありますが十分でした。それを考えれば実態的なことも含めてクロップによる画素数の目減りはあまり気にすることもないのかなと個人的に思います。

LEICA Q3 43, Photo by K

ライカQ3やライカM11でも感じたことですが、ハイライトの描写が美しいと感じます。


LEICA Q3 43, Photo by K

LEICAの考える色と戯れる

仕事柄「DNG+JPEG」で記録を行いますが、DNGとJPEGの色調および階調再現の違いに驚きました。選択するカラーモードにもよりますが、これまでのライカを思えば、JPEGの画はかなり大胆に感じます。対してDNGのほうは拍子抜けするほど素材性を重視した渋い色調で軟調な階調再現となります。Vol.1のレポートの際にDNGファイルの現像を行っていて、気づけばJPEGファイルの色調と階調に寄せていました。フィルムライクな画作りで魅力を感じるのでしょう。上のカットはバスの車内で撮影したものですが、女性の綺麗なシルバーの髪が光の乏しい車内でとても魅力的に感じてシャッターを切ったのですが、ポジフィルムのように蛍光灯被りによるグリーン転び、同時にマゼンタも載る感じが懐かしい。高い解像力が髪の質感をありありと伝え、少しゾワッとさせられる写り。

LEICA Q3 43, Photo by K

信号待ちでの、なんてことのないカット。なんというか、ネガフィルムばかり使っていて初めてポジフィルムの画を見たときを思い出すような感覚です。しかしパキッと・・まあ、よく写ります。

LEICA Q3 43, Photo by K

マクロモードに切り替えて、水滴にピントを置き、ディスプレイの絵もある程度輪郭が欲しいので絞り込みます。F2から1段ずつ絞っていくのですが、結局F11に。いわゆるコンパクトデジタルカメラのそれよりは大きなボディですが、それでもレンズ交換式の一眼タイプなどのカメラに比べれば十二分にコンパクト。ついフルサイズのセンサーが搭載されていることを忘れてしまいます。F2とはいえ、近接においてのピント面は薄いのです。高感度になればそれなりにノイズも載りますが、画作りに上手く活かされていて個人的には全く気になりません。

LEICA Q3 43, Photo by K

60mm相当にクロップして最短付近で撮影。近接でもピント面に甘さは皆無。M型ライカでは撮ることのできない画です。例外的なレンズは存在しますが背面液晶のお世話にならないと撮影は難しい。

LEICA Q3 43, Photo by K


  • PHOTO YODOBASHIマクロモードで料理を撮ってみました。ほぼ最短付近での撮影です。
  • PHOTO YODOBASHI150mm相当でのクロップ撮影。目が痛い。

PHOTO YODOBASHI

この1台と添い遂げる

万能なのは28mmレンズを搭載するライカQ3かもしれません。43mmレンズを搭載するライカQ3 43は、撮りたいもの(イメージ)が明確な人が手にするのが望ましいでしょう。はじめてM型ライカを手にしたときを思い返すと、ボディと50mmレンズ1本を手に入れるだけで家計的に臨死体験を味わいました。動悸を感じるほどに興奮して買ったわけですから、その組み合わせだけでとにかく毎日取り憑かれたかのように撮影しました。プロダクトとしてそれだけ「入れ込む」ものを感じたし、写りにも感じ入るものがありました。このセットだけで全てを撮ってやろう、そんな風に思ったものです。それこそテーブルフォトでもM型ライカで。最短が1mと遠く、テーブルからのけぞるようにして撮影するのです。ライカQ3 43ならMACROと書かれたリングを回すだけなのですが。室内で光量もなく、感度もせいぜいISO400、ストラップを手にぐるぐる巻き、腋を閉め、接眼レンズを目に押し当てて息を吐きながらシャッターボタンを押すのです。なんのことはない、それでもブレますけどね(笑)いま思えば、この組み合わせだけで何でも撮ったし、何でも撮れました。ライカQ3 43のこの写りには、当時のように入れ込める何かを感じます。レンズが交換できるということは機能の1つであり、それを必要としない人にとってM型ライカは不要でしょう。そしてこのカメラを選択して、M型ライカを手にしないこと。そのことで後悔することはないでしょう。説得力のある画を叩き出すカメラです。余談ですが、この1台に留めておけば泥沼にハマることもないでしょう。レンズ交換できませんから。泥沼の住人である私がそんなことを言ってもまったく説得力がないのですが。ただ、この写り。他は要らないでしょう、本当に。1台と添い遂げる。趣味人として、そんな憧れの生活をぜひスタートさせてください。

( 2024.11.05 )

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同じフルサイズセンサーを搭載したQ3のズミルックスの28mmとは異なる世界を描く、43mmのアポズミクロン。どちらを買うか、両方買うか。悩ましい問題であります。

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検討用にライカQ3も並べておきます。

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純正バッテリーは多めに用意しておきましょう。

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カメラのホールド性が高まるサムレスト。親指がより落ち着きます。

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