PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA Q3 43, Photo by K

LEICA Q3 43 / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

歴代のライカQシリーズに初めて標準域のレンズが搭載された「LEICA Q3 43」。しかも搭載されるのは43mm F2、銘はAPO-SUMMICRONときました。まず43mmという焦点距離は、人が特に意識せずスッと見つめる範囲が写るのでしょう。昔からこのあたりの画角が標準であるという説はいろいろと見聞きしてきましたが、ファインダーを覗くと確かに35mmや50mmに感じるモゾモゾっとした感がありません。35mmは「広いな」、50mmは「狭いな」という、あのどっちつかずな「モゾモゾ」です。これはなかなかな意欲作。そして、M型ライカにご興味のある方ならよくご存知のAPO-SUMMICRONです。レンズ開発者の方が、レンズの解像力を活かすためにはデモザイクの必要がないモノクロセンサーが出るまで世に出せなかったと言わしめた「APO-SUMMICRON-M f2/50mm ASPH.」を想像すれば、、テストする気が重い。しかもLEICA M11と同等の有効画素数6030万画素のセンサーです。写るに決まってるわけで、まあともかく撮りに行ってみましょう。

( Photography & Text : K )

LEICA Q3 43, Photo by K

文句なしの写り

LEICA M11とAPO-SUMMICRON-M f2/50mm ASPH.を所有していますが、この組み合わせより解像力の高さを感じます。やはりレンズの設計年次の違いが現れるのでしょうか。M型ライカのアポズミクロン50mmにはもう少し描写に丸さを感じます。レンジファインダーとレンズフィックスのカメラではプラットフォームがまったく違うため並べて論じるのは難しいのですが、共通するのは「無慈悲さ」。そう、撮り手の絵心と腕で勝負して下さい。レンズの癖に頼るなんてことは期待できません。M型のほうが周辺が落ちたり、まだファンタジーがそこにあります。私はそれに頼りたいし、なんなら寄りかかってズブズブの関係でありたいですが。そんなことはさておいて、裏を返せば撮り手の要求に厳密に答えてくれます。そして緻密な写りを常に叩き出してくれます。

LEICA Q3 43, Photo by K

マクロモードが搭載されているのは、その他歴代のQシリーズ同様です。標準域まで焦点距離が伸びたこともあり本格的な寄った画を撮ることができます。目を見張る解像力を湛えるわりにはボケ味も嫌味がありません。素直なボケ味だと感じます。寄った際の描写も解像力が落ちるようなことはありません。ちなみに、一番上のカットはQシリーズおなじみの「クロップ」を使っていますが、画素数が6000万を超えるため歴代のモデルに比べてさらに有用になったと言えるでしょう。

LEICA Q3 43, Photo by K

しかしよくもまあスカッと写るものです。画面隅々まで先鋭であるのに瑞々しさを感じます。高画素機+高解像力レンズの組み合わせ特有の写りです。RAWでの撮影ではハイエストライトにも存分にトーンは収められていて、飛んでいる場所を寝かすのも簡単です。ただ、目で見て飛んでいる場所は飛ばしてしまう方が自然な描写だろうと思います。

LEICA Q3 43, Photo by K

不思議なのがJPEGではもう少し彩度が高く、DNGファイルをAdobe Lightroomで読みこむと途端に色味が渋くなります。カメラのプロファイルが見当たらないので、Adobeのデフォルトのプロファイルを当てていますが。しかしこの解像力の高さは尋常じゃないですね。


LEICA Q3 43, Photo by K

43mmの扱いやすさ

なんの気なしに構えて、さほどジタバタせずに済む。このナチュラルさはなんだろう。文をしたためるという行為は大したもので、回答は書き出しの通り。なるほど「なんの気なし」だからです。「あ、ちょっと撮ろう」という時に実にナチュラルに馴染む画角です。そうやって撮った一枚の写りが説得力溢れる描写であり、結果として「スゴ!」「・・ちょっと撮りに行くか」となり、持ち歩くことに繋がっていく気がします。カメラで自分の撮る画が変わるというのは実際ありますからね。

LEICA Q3 43, Photo by K

これだけ画力があるとどっしりと構えて撮るのもよいのですが、そこはライカ、主戦場である街撮りに出てみましょう。35mmであれば、多くの場合その場から2歩ほど寄り、50mmであれば1歩下がることが自分は多くなります。これは主観と客観の関係でそうなるのです。35mmであれば寄ると客観的に、50mmはそもそも主観的に写りやすいので、その場から引くという自分なりの方法論です。具体的にその理由を解説せよと言われると大変難しいのですが、よかったら試してみて下さい。そして、この43mmレンズを搭載したライカQ3 43は撮っていてとても心地よいです。想像通りというか、撮るフラグが頭の中で立ってからシャッターボタンを押すまでのタイムラグが大変少ない。アレコレと試す必要がないというか。見たものを真っ直ぐ撮るという気にさせてくれます。

LEICA Q3 43, Photo by KライカQ2も持っていますが(泥沼)、AFの精度とスピードが上がったなと思います。窓の向こうの男性が着るシャツにピントを置いていますが、こんなもの迷う要素だらけです。一発でビシッと合焦。感心しました。

LEICA Q3 43, Photo by K標準らしいフレーミングの画。M型ライカで毎日のようにスナップ撮影に出かけていた頃を思い出します。単焦点レンズで広いなと感じれば、まずは縦位置を試すということをやります。ライカQ3 43では、クロップ耐性のある画素数を持つわけでクロップして画角を狭めるということができます。ただし瞬時にFnボタンを押して切り替えられればの話ですが。むしろ最初からクロップしたフレームで通しで撮るという使い方もおすすめしたいですね。目減りする画素数はそもそもその画素数だと割り切って。その方が画が活きてくる気がします。

LEICA Q3 43, Photo by K

最後に馴染みのバーのマスターをパチリ。手の描写にAPO-SUMMICRON-M f2/50mm ASPH.の紛うことなき血統を感じます。これはモノクロ専用センサーでの描写を見てみたい。ベイヤーセンサーでは活かせないほどのポテンシャルがあるのではないかと感じます。


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普段使いにファーストクラスを

M型ライカとレンズが目を見張る金額まで高騰し、M11と同等のセンサーととびきりのレンズを搭載しているのであればひょっとしてボーナス価格なのではないかとお考えの方、素敵なバグり方です。物を買うというのは何時だって言い訳が必要なのです。ちなみに言い訳の中身は何でもよいのです。そして言い訳してるにも関わらず結局買う。物を買うということはそういうことです。・・そんな話はさておき、こんなカメラを普段遣いするのはとても素晴らしいと思います。35mmフルサイズセンサーを搭載するカメラとしてはレンズまで含めたパッケージとして考えればサイズもウエイトもミニマムな部類ですし、写りはともかく一級品。寄れて、手ぶれ補正や、チルト液晶などが搭載される今どきのカメラとして必要なものが存分に搭載されています。ライカも心得たもので、M型ライカを持つ人だって欲しくなるパッケージに実に上手くまとめ上げているとおもいます。M型ライカを常に持ち歩くのはハードルはそれなりに高め。レンジファインダーはショックで狂うこともままあり、重量もそれなりにあります。対してライカQ3 43であれば、M型ライカでできないことはほぼ満たされるでしょう。それぞれのカメラで撮る意味がそれぞれにあると思います。普段遣いにこんなカメラを持ち歩けると嬉しいですね。そうそう、私なんかはライカが出してきた43mmというレンズを買うつもりで、このカメラが欲しいです(ボディは無視かい!)。買い物には突き抜けた理由も必要です。ちょっとだけ本音です。43mmは心地よい画角でした。

  • PHOTO YODOBASHIシンプルかつソリッドな外観は従来のQ3を踏襲しています。鏡胴の被写界深度表示の横には焦点距離を表す「43」の文字が入ります。
  • PHOTO YODOBASHIQ3で実装されたチルト液晶により、ハイアングル・ローアングルの撮影を行いやすくなりました。動画撮影時にもありがたい機能です。
  • PHOTO YODOBASHIレンズ鏡胴基部のリングを回して「MACRO」へ切り替えることで、0.6mより近接での撮影が可能となります。なお最短撮影距離は0.265m。

( 2024.10.07 )

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フルサイズに標準域のレンズを固定した「ライカQ3 43」。これを待っていたという方も多いのではないでしょうか。

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バッテリーはSL系と共用いただけます。撮影に没入するためにも鞄に予備を忍ばせておきましょう。

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右手のホールド性を高められるサムレスト。親指が覚えている方に。

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よりしっかりと構えたい方は専用グリップをお使いください。別売りのワイヤレスチャージャーにも対応しています。

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ボディ下部を保護してくれるボトムケース。他の色もございます。

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よりやさしくシャッターを落とせます。

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28mmのライカQ3と併用いただける金属製のフードです。

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本機は内蔵のUSB Type-Cポートにて充電を行えますが、バッテリーを複数本をまとめて充電したい方にはこちらも。

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