PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA M11-P, SUMMICRON-M f2/35mm ASPH. Photo by TA

LEICA M11-P / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

ここ最近のデジタルM型は、いわゆる「素」のモデルが出た後に、マイナーチェンジとも捉えられるプロフェッショナル版の「P」が出るというのが慣例となっているようですが、M11も同様にM11-Pが登場しました。センサーその他キーデバイス、いわゆるカメラの基本スペックは変更がありません。M11-Pでアップデートされたものをピックすると、まず背面液晶がM11ではゴリラガラスを使用していましたが、M11-Pではサファイアガラスに変更されています。次に内蔵ストレージが、M11の64GBに対してM11-Pでは256GBに。スチル専用機のため、もはやSDカードは必要ないかもしれない嬉しいアップデートです。なお、新たに実装された機能として「コンテンツ認証機能」を搭載。コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)の規格に基づき、暗号化したメタデータを付与する機能で、撮影した画像にCAI準拠の証明書に基づくデジタル署名が付与されます。最後にお約束で、軍艦に往年のライカロゴが載り、前面のライカ赤バッジが外されています。ルックスの好みは人それぞれで、私は素のM11の意匠のほうが好きですが、ライカといえばM11-Pのほうがそれらしいのかもしれません。すっかりEVFに慣れきって、仕上がりの画を見ながら撮影していると、久々のレンジファインダーでの撮影はなかなか痺れます。早速、作例とともにご紹介したいと思います。

( Photography : PY編集部 / Text : K )

LEICA M11-P, SUMMILUX-M f1.4/35mm ASPH. Photo by K

完熟の写り

デジタル初代のLEICA M8から、「.2」だとか「-P」だとかのマイチェン版はともかく、各世代のデジタルM型ライカを使ってきました。振り返ってみれば恐ろしい・・家は買えないにしてもなかなか惚ける散財です。しかもボディだけじゃありませんから。話を元に戻して、、世代を分けると、CCD世代のM8/M8.2/M9、CMOS2400万画素時代のM(Typ240)/M10、高画素化したM11(含むM11-P)となります。ファンにとってはボディが薄型化したM10/M11(M11-P)という分け方もあるかもしれません(笑)話がややこしくなるので、ここでは画の話だけに絞ります。面白いもので、M8の時代はカラーネガ的、M9でカラーポジ的、MとM10でM9までの危ういピーキーなところが無くなって深みが増し、M11世代で歴代の画作りが全てマージされて細密化した印象です。大変深みのある画を作り、PCの大きなモニタで見るのが楽しいカメラです。またレンズのラインアップも随分整備され、キャラの立った描写でありながらも基本的な性能も大変高く、6000万画素を超えるこのカメラとセットで使うと思わず頬が緩んでしまいます。まさに、完熟の域に達していると言えるでしょう。

LEICA M11-P, SUMMILUX-M f1.4/28mm ASPH. Photo by A.Inden

高画素化してからの高感度特性を試すべく、ISO800にて撮影。2400万画素クラスに比べると仔細に見ればS/Nは落ちるように感じますが、ISO 800程度ではまったく問題がありません。わざわざ往年のレンズをリバイバルで出すようなメーカーですから、ノイズを画に活かすアプローチもご想像つくかと思います。

LEICA M11-P, APO-SUMMICRON-M f2/50mm ASPH. Photo by K

APO-SUMMICRON-M f2/50mm ASPH.が登場した際、初代のM-Monochromでテストしました。レンズ開発者の方が、M-Monochromが出て、ようやくこのレンズのアイデアを具現化できたと語っていました。つまり、作っても活かせるボディがないということです(当時)。確かにカラー機で使ってもいまいちピンと来なかったレンズですが、M11/M11-PではM-Monochromで使った際のインパクトが感じられました。この距離にF2でピンを置いて、被写体が明瞭に前後で分離するのですから、いやはや大したものです。付け加えると、いわゆるオールドレンズにも高画素化は効きます。それまで写らなかった(よく見えなかった)、そのレンズの特徴が写ります。たとえば、8枚玉のズミクロンらしい描写が、フィルムのときの印象のように写ります。

LEICA M11-P, APO-SUMMICRON-M f2/50mm ASPH. Photo by K

駅のエスカレーターで、思いついてシャッターを落としたカット。かなり切り詰めた露出選定で、階調の豊かなカメラでなければ仕上げが難しいと思います。現像時に特別なことをしているわけではありません。床面が黒く落ちるように少しだけディープシャドーを締めました。


LEICA M11-P, NOCTILUX-M f0.95/50mm ASPH. Photo by K

撮らされるのではなく、「撮る」カメラ。

外付けでEVFが用意されていますが(オプション)、純粋に光学レンジファインダーだけで撮影。開放F値の大きいNOCTILUXなどは、背面液晶で厳密に合わせたくなりますが、それでもファインダー窓を覗いて撮影しました。いや、やっぱり楽しいんですよね。光学ファインダーって。随分緻密になったブライトフレームも、レンズと被写体、ファインダーと被写体のアングル差は補正できませんし、ボケ量もわかりません。EVFではないので、当然スルー画にWBや露出が掛けられての仕上がりの画を見ることはできません。わからないからこそ、ファインダーを覗く時点で否応なしに脳みそフル回転です。「いい画だから撮る」ではなく、ともかくシャッターを切る。ムダ打ちも増えます。しかしシャッターを切らないと写らない。趣味ですから、楽しさが最大化するのが一番。楽しさは人それぞれですが、私に限った話として、わりと日頃撮らされてるんだなあと感じさせられました。こんなことを考えさせられるのが、楽しいのです。

LEICA M11-P, APO-SUMMICRON-M f2/35mm ASPH. Photo by A.Inden

近接だと、撮影者による「ピントブラケット」をわりとライカ使いの人たちはやっていたと思います。現行レンズなせいもあるのかもしれませんが、距離計の精度が随分良くなったなあという印象です。ただし、ボディの連動コロとレンズのカムで距離計を動かす以上、厳密に言えば、ボディ1台とレンズ1本できっちり調整するのが本質の仕組みであることに変わりはありません。そんなことをしなくとも、いろんなオールドレンズでも試してみましたが、よい具合でした。

LEICA M11-P, NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH. Photo by K

50mm版と同じく、ライカの大口径レンズはこれぐらいの距離で撮るのが美味しいですね。

LEICA M11-P, NOCTILUX-M f0.95/50mm ASPH. Photo by K

NOCTILUX-M f0.95/50mm ASPH.も登場から随分時間が経って、画素数の低い時代よりも少し粗が写るようになりました。このレンズも絞り値でいろいろと表情の変わるレンズであり、考えてみれば無理目な開放F値ですからそれもそのはず。使う側はいろいろとにやにやしながら撮影できて面白いのです。現代における、少しだけオールドなレンズ。

LEICA M11-P, SUMMILUX-M f1.4/35mm, Photo by K


PHOTO YODOBASHI

「ライカ」という世界を再び愉しむために

作例紹介の際にも触れましたが、各世代のボディを同じオールドレンズで撮影してみて、M11/M11-Pが最もフィルム時代に感じたレンズの印象を再現してくれたように思います。フィルムよりよほど扱いやすく「こんな面白くて良いレンズだっけ?」なんてことも多々ありました。これはひとえに高画素化が効いていると考えられます。つまり画素数の多さで特性が細密に再現されるということです。あれこれレンズを引っ張り出して、まあ、とっかえひっかえが楽しい。今回の記事では現行レンズでまとめましたが、緻密にバチッとキャプチャする力は大変高いものがあり、根源的な性能がバランスよく高いのです。しかし没個性とはならず、描写のキャラが立っているのが面白い。これは、「ちょっともう一度ライカで遊びたい」と、36回払の書類にサインしてM11を買ってしまいました。毎回「-P」を買う機会がありません。いままさに欲しい方、ヴェッツラー刻印のM11-Pをぜひ。光学ファインダーを覗き、距離を測る。フレームを決める際に自分との一呼吸の対話がある。全てはそこに手間が存在するから考える機会が否応なく生まれます。「見えないから」面白い。あらためてカメラの楽しさを感じさせられたテストでした。

( 2023.11.09 )

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人気があるのはブラックでしょうか。アルミ製のヘッドカバーを採用し、530gと軽量なブラック。M11-Monochromとも異なり、M11-Pにはヘッドカバーに刻印が入ります。

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よりクラシカルな見た目となるシルバーボディ。従来のM型ライカと同様に真鍮製のヘッドカバーを採用し、重厚感と手に触れたときの温度がブラックと異なります。オールドレンズとの相性もいいですね。

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ブラックボディ向けのM11用バッテリー。
※※ボディカラーによりバッテリーも異なるため、購入の際はご注意ください

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シルバーボディ向けのM11用バッテリー。
※※ボディカラーによりバッテリーも異なるため、購入の際はご注意ください

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M11-P専用のチャージャー。

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マクロ撮影や大口径レンズを開放で使いたい方に必須のEVFです。

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サムレストでより確実なグリップ感を得られます。フィルムライカのグリップ感を親指が覚えている方に。

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