PHOTO YODOBASHI

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LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

LEICA M11 Monochrom / SHOOTING REPORT

ライカから最新のモノクロ専用デジタルカメラ、「LEICA M11 Monochrom」が登場しました。前モデルであるM10 Monochromから39ヶ月、M11から14ヶ月での発売となりました。従来同様、前面の赤いロゴを省略した(M11-P相当の)控えめなスタイリングを先取りし、M11と比べても、内蔵メモリーを64GBから256GBへ、背面ディスプレイのカバーガラスがゴリラガラス5からサファイアガラスへなるなど、より高品位なモデルとしてアップグレードされています。カラーフィルターの有無が影響しているのか、L-DNGでの有効画素数も6030万画素(9528×6328px)から6040万画素(9536×6336px)へ僅かながら増加しています。

ベースになったM11についてもおさらいしましょう。一世代前のM10と外観こそほぼ同一ですが、真鍮だったヘッドカバーはアルミ合金を採用して約100gの軽量化と低重心化を図り(ブラックボディのみ)、M型ライカの伝統だったベースプレート(底蓋)を廃してダイレクトに挿入可能なバッテリーの採用、USB Type-Cコネクターによる高速な有線通信と本体充電を可能とし、電子シャッターへの対応と撮像センサーによる測光を採用するなど、アーキテクチャを大幅に刷新し、M8から始まったライカMデジタルの中でも最も大きな変化を遂げています。

そのM11をベースとしたM11 Monochromは、これまでのMモノクロームと同様に、撮像センサーの前に配置されたカラーフィルターを廃したモノクロ撮影専用のカメラとして誕生しました。そもそも一般的なデジタルカメラに採用されている「ベイヤー配列」といわれる撮像センサーは、Mモノクロームのセンサーと同様に光の明るさだけを記録する(モノクロの)センサーであり、そのセンサーの前にカラーフィルターを配置することで、RGB各色に分離された明度の情報(カラー画像)を得る仕組みとなっています。よって1画素で得られるのはあくまでも1色。RGGBの4画素を1組とし、映像エンジンが周辺の画素から得られる情報を加味して各画素でRGB3色の情報へとデモザイク(補完)処理を行うものでした。Mモノクロームでは、そのカラーフィルターを取り払うことで補完処理をキャンセルし、センサーが受光した信号をダイレクトに出力することから、撮影した画像は他の同画素数のデジタルカメラよりも解像感とキレがあるといわれてきました。今回はM11 Monochromとほぼ同時発売となった第5世代のズミルックス50となる「SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH.」をマウントして撮影を行いました。早速ご覧ください。

( Photography & Text : Naz )

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

人物がシルエットとして黒く潰れてしまわない露出で撮影しました。丸みを帯びた肩や背中、ズボンの形状がわかるでしょうか。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

画面の多くが黒で占められていますが、こういった写真を撮るのがとにかく楽しい。簡単に潰れてしまわず、多彩な黒を表現できるからこそ、ここまで露出を切り詰めても画が成立するのです。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

壁面へ写り込む陽射しに露出を合わせました。カラーで撮るなら壁の木材が黒く落ちず、窓の外の木々に新緑を感じられる、もう少し明るい露出を選んだと思います。そういう意味では、カラーとモノクロでは撮り手の意図も異なり、結果として露出も変わってきます。カラーのように色彩ではなく、光と影を写すにはこれ以上ないカメラだと思います。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

シャドウとなった背景と人物の“黒”の違いをしっかりと描き分けてくれています。ギリギリまで追い込んだため、ご覧いただくモニターを選ぶかもしれません。


歴代Mモノクロームを振り返る

余談ではありますが、PYでも先日レビューをお届けした「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」の登場までライカの独壇場であった「モノクロ専用デジタルカメラ」を振り返ってみましょう。初代M Monochromの誕生は11年前。当初は特別なモデルとして、ベースモデルのM9と異なる、専用のボックスやモノクロームプリントが付属するなど凝ったパッケージとなっていましたが、想定以上の人気を呼んだからなのでしょうか、M Typ240以降「M Monochrom」がレギュラー化され、M11 Monochromへと繫がってきます。

  • LEICA M Monochrom(2012年)
    ライカM9-Pをベースとした世界初のモノクローム専用デジタルカメラ。18MPの全ての画素から補完処理なくダイレクトに描き出す画の鋭さに多くのユーザーが魅了されました。シリーズで唯一のCCDセンサーです。
  • LEICA M Monochrom (Typ246)(2015年)
    24MPのCMOSセンサーが採用されたライカM-P(Typ240)をベースに誕生。このモデルからレギュラー的な扱いとなりました。Mモノクロームの中では唯一動画撮影が行えるボディです。
  • LEICA M10 Monochrom(2020年)
    M10-Pをベースにし、より高画素化されたM10-Rのセンサーを先行して採用。24MPから40MPへ高画素化が図られました。M10ベースの「薄いボディ」と、飛躍的にアップした高感度性能から、M11モノクロームが登場しても色褪せない性能を持っています。
  • LEICA Q2 Monochrom(2020年)
    番外となりますが、Mモノクロームシリーズへの高い評価と人気から、より気軽に扱えるライカQシリーズにもモノクロームが登場しました。発売当時はM型を超えた47MPのフルサイズセンサーを採用しているモデルです。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

長い年月を経て重厚感が増した蔵の窓の分厚い扉。カラーでは撮りにくい題材ですよね。色彩が限定的で、日中は被写体が白飛び・黒つぶれしやすい日本の古い建造物とモノクロは相性がいいように感じます。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

年300日開催される、盛岡・神子田の朝市。5月初旬といえどもまだまだ朝は冷え込みます。地元の農家が育てた、野菜や果物、花、そして苗等が並びます。斜光が軒の奥まで射し込んでいました。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

一眼レフカメラやミラーレスカメラでピントを合わせるのとは勝手が異なるレンジファインダー。得手不得手はあるでしょうが、ファインダー中心にある距離計で二重像を合わせる方法から、マニュアルフォーカスながらも速写性が高く、フレームの外まで見える素通しのファインダーも相まってシャッターチャンスを掴みやすい仕組みといわれています。M11 Monochromでは処理速度が高速化された映像エンジン「MAESTRO III」と3GBの大容量バッファメモリーにより、4.5コマ/秒の高速撮影と、RAW(DNG)で15枚、JPEGで100枚以上の連続撮影も行え、よりシャッターチャンスに強いカメラとなりました。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

日没後の薄暗い竹林。高感度域では多少のザラつきも出てきますが、暗部の再現性が高いこともあり、それを感じるのは等倍レベルで表示した時ぐらい。極端な高感度でない限り観賞サイズではノイズを感じることはありませんでした。M10 Monochromで高感度が飛躍的に高まった印象でしたが、M11 Monochromでは新たに採用された裏面照射型(BSI)センサーにより、フルサイズでも最高クラスとなる60MPの高画素機でありながら、M10 Monochromと同様に高感度域を躊躇なく使えるレベルに感じます。なお、最高感度はM10 MonochromのISO 100000に対し、M11 MonochromではISO 200000へ拡張されました。高感度とモノクロが合わさった夜を楽しめるカメラです。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

軒先に立てかけられた竹箒。新しいズミルックスM 50mm F1.4 ASPH.では、0.7mの距離計連動範囲を超えて0.45mまで近接撮影が可能です。フォーカスリングを回すと0.7mを跨ぐ際にクリックストップがあり、そこから先はライブビューでのフォーカスとなります。開放での近接はややホワっとした描写となるため、少し絞るとよさそうです。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

60MPの緻密な情報量と豊富な階調表現により、色を失っても質感をここまで再現してくれます。暖簾の固く乾いた生地の手触り、イメージできますでしょうか。


LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

夜間や室内等の限られた光量の下でも、このカメラならわずかに射し込む光を利用して、写真を成立させることができます。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz

並べられたワイングラスをガラス越しに。硬質なガラスの被写体ですが、硬さを感じる質感を残しながらも、描写にはズミルックスらしい繊細な柔らかさも感じ取れます。「50mm F1.4」といえばダブルガウス構成が当たり前だった時代に、昨今の高性能標準レンズの先駆けとなったのが、2006年に誕生した第4世代のズミルックス50。その第4世代をベースにデジタル撮影に最適化し、近接撮影をプラスしたのが新たに登場した第5世代となります。その最新ズミルックス50の描写もM11 Monochromが持つ高い解像力なら余すことなく活かしてくれます。

LEICA M11 Monochrom, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Photo by Naz


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このカメラにしか描けない画がある。

元来モノクロ写真とは、カラー写真が生まれる前の古い技術だったわけですが、カラー写真が登場した後も廃れることなく、現代においても写真表現のひとつとして多くの支持を得ています。写真を撮る時、よりシンプルな構図に、被写体を浮かび上がらせて…と引き算で組み立てていく中で、色さえも省略してしまうというという大胆な手法は写真表現ならではのもの。カラー写真が「色彩を撮るもの」だとすれば、モノクロ写真は「光と影を撮るもの」といったことになるのでしょうか。

モノクロフィルムをM型ライカに詰めて写真を楽しんできた者として、初代から歴代のMモノクロームを好んで愛用してきましたが、このモノクロ専用カメラには「多彩な黒を描き分けられる」という他のカメラにはない特長があります。これは一般的なデジタルカメラで撮影したカラー画像をモノクロ化するのとは明らかに違う画がMモノクロームから得られるということ。その画は一見すると眠いように感じてしまうのですが、実際には中間トーンがとにかく豊富であることから感じてしまうものであり、我々が普段見慣れているカラーの画って実はコントラストが高いんですね。カラーポジフィルムをモノクロ化してもモノクロフィルムの画にはならないのと同様です(カラーポジの中でKodachromeだけはモノクロ化に耐える豊かなトーンを持っていました)。その豊かな階調こそがMモノクロームが生み出す「リアリティある画」に繫がっているように思います。だからこそ、ライカMモノクロームを手にした方の多くは、カラーのM型ライカでモノクロ写真を撮らなくなるのでしょう。M11をベースとしたことにより、JPEGだけでなく、RAWでも60/36/18MPのネイティブな画像が得られるトリプルレゾシューションテクノロジーも採用されました。尖ったキャラクター故どんなシーンでも使えるカメラではありません。でもモノクロ写真を好む方になら、他では得られない価値をこのカメラに感じることでしょう。


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歴代のMモノクロームと同様に、各部の刻印には色が入らず、アクセントカラーもグレーになるなど、より控えめな外観となっています。カバーガラスに硬度の高いサファイヤガラスが採用された背面ディスプレイは、2.95インチ(233万ドット)とより高精細に。メニュー画面はSL2やQ2と同じデザインのものへアップグレード。もちろんタッチ操作も可能です。

  • PHOTO YODOBASHIボディ底面のベースプレート(底蓋)が廃され、ダイレクトに挿入可能となったバッテリー。ライカSLシリーズやQシリーズと同様に、レバーを引いてバッテリーの頭を出し、ワンプッシュすると取り外せます。バッテリーを取り外すことでアクセス可能なSDXCカードスロットは、推奨はUHS-II、2TBまでの大容量メディアに対応。M11から採用された内蔵メモリーは256GBと大容量となり、USBケーブルでPCまたはMacへマウントすることで読み出しが可能です。
  • PHOTO YODOBASHIM10ではライブビュー時のピント拡大ボタンが割り当てられていた前面のボタン(M2のリワインドボタンの位置に配置されたボタン)がM11では省略され、よりすっきりした印象になりました。ライブビュー時のピント拡大にはシャッターボタン横のボタンを使います。余談になりますが、写真のズミルックスM 50mm F1.4 ASPH.は、最短の0.45mまでフォーカスリングを回した状態。第4世代と比べ繰り出す量が増えたため、鏡胴の形状もスリムなものから太さがあるものへと変わりました。
  • PHOTO YODOBASHI手前はM11 Monochrom、奥がM10 Monochrom。ベース感度はISO 160からISO 125へとより低感度に。M10と数少ない外観の相違点として、背面のボタン周囲が貼り革となりました。塗装は従来のブラッククロームではなく、ザラつきがあり手垢によるテカりが目立ちにくいマットブラックとなっています。
  • PHOTO YODOBASHI内蔵露出計はフィルム時代のM6からM10まで続いたシャッター幕の反射光を測光する方式から、センサー面で測光する方式へ改められたことにより、マウント内部の空間が広がり、すっきりしました。測光方式もスポット、中央重点、多点と多彩なものに。
  • PHOTO YODOBASHIシルバーのM11と並べて見ました。M11 MonochromはM11のブラックと同様にヘッドカバーにアルミ合金を採用し約100gの軽量化が図られています。またカラーフィルターを廃したことにより、ベース感度はISO 64からISO 125へ。

( 2023.05.31 )

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歴代Mモノクロームで最高性能を誇るM11 Monochrom。他のカメラでは代替の効かない唯一無二のカメラをどうぞ手にしてみてください。

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近接対応の最新ズミルックス。前モデルはまだフィルム時代の2006年登場ですから、17年ぶりのモデルチェンジとなります。ボディと組み合わせておおよそ200万円、丁度ポイントでビゾフレックスが手にできそうです。

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M11が持つ60MPの解像力は伊達ではありません。高性能レンズの解像力を存分に発揮し原寸観賞で満足を得るには、レンジファインダーカメラの距離計の精度を超えた精密なピント合わせが必要となります。その時頼りになるのが、このビゾフレックス。

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M-PやMモノクロームで採用されてきたサファイヤガラスは硬度が高く、保護ガラスの必要性は感じませんでしたが、そうはいっても高価なカメラですから傷の心配は尽きません。そんな方には、クリアな保護ガラスの装着をおすすめです。

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M10と比べ大容量化されたことにより、撮影時にバッテリー不足を感じることはほとんどなくなりました。とはいえ、時には充電忘れもありますよね。スペアがあると安心です。

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ボディ単体でもUSB Type-Cコネクターから充電を行えますが、バッテリーが複数本ある場合には充電器は必須となります。

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