PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA D-LUX 8, 1/1600, F1.7, ISO 100, Photo by TAK

LEICA D-LUX 8 / SHOOTING REPORT

「ライカ」と聞くと、カメラに詳しい方でなくても「赤くて丸いバッジ」「高級」といったイメージをお持ちかもしれません。実際お安くはないものがほとんどで、例えば最新のM型のレンジファインダーカメラ「M11-P」もボディのみで150万円を超えます(2024年7月時点)。今回ご紹介するコンパクトカメラ「D-LUX 8」のヨドバシ価格はその5分の1ほどです。冷静に考えればこれとて「お安い!」とは申し上げにくいのですが、それでもお求めになるお客さまが世界中におられます。理由は至極単純で、「ライカだから」です。どれほど合理的な説明を並べても、結局はこの事実に帰結するのです。

( Photography & Text : TAK )

PHOTO YODOBASHI

機能美という概念を物で説明するなら、スッとライカを見せるだけで十分です。M型やQシリーズと同じ流れを汲む、上面がフラットになったシンプルなデザイン。絞りリング、シャッターダイヤルを見れば、自分の意思で直感的に露出をコントロールできるカメラであることがわかります。ライカ社は常に「本質」を追求してきたメーカーです。説明書を見なくても意のままに操り、撮影に集中できるカメラを作り続けてきました。また、エレガントであることも同社が重視してきた要素です。直線と曲線の融合、左右対称形のボディ、操作パーツの形状や配置、丸みを持たせたエッジ部の丁寧な処理、人口皮革のテクスチャなど、見ても触っても惚れてしまうのがライカというカメラです。それがデスクにちょこんと置いてあれば、ちょっと出掛けてみたくなるのは必然。長辺130cmとポケットに入ってしまうほどコンパクトですが、小さすぎることもなくしっかりと構えることができます。とにかく美しくて使いやすい。これがライカであり、ラインアップ全体に共通するDNAです。

LEICA D-LUX 8,  1/2500, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

写真を見ていきましょう。ズームの望遠端の75mm相当、開放ですが、コンパクトと侮るなかれ。長きにわたって採用されてきた24-75mm相当のズームレンズと有効画素数1700万画素のセンサー(4/3型)の組み合わせにより、目の覚めるようなシャープな写真を撮ることができます。階調、コントラスト、質感、色再現、どれをとってもライカクオリティです。

LEICA D-LUX 8, 1/400, F8, ISO 100, Photo by TAK

田畑、集落と人の営みがリズミカルに広がる遠景を収めてみました。遠くまでくっきりと捉えられ、中央上部にはトンボさんまでしっかりと写っております。最広角24mmから32mm相当までズームインして構図を整理していますが、この構図の自由度がズームレンズ最大の利点です。「ライカ=単焦点」という原理主義も認めるところですが、このコンパクトカメラの立ち位置は異なります。肩肘を張らず気軽に歩き回るような撮影をしてもライカの画作りが得られる。それがこのカメラの真骨頂でしょう。重量もバッテリー込みでたったの397gです。この日の最高気温は37度越え。階段もあったのでこの軽さは本当に助かりました。

LEICA D-LUX 8, 1/2000, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

ハイライトからシャドウまでの階調再現もお見事。気だるささえ感じるほどの湿度も伝わってくるようです。焦点距離66mm相当にて構図を整えています。24-75mmという大き過ぎないズーム比はリラックスした状態でも理解の追いつく範囲に収まっていて、気ままな散策にもうってつけなのです。


LEICA D-LUX 8, 1/50, F1.7, ISO 100, Photo by TAK

D-LUX 8には「フラッシュCF D」という外付けフラッシュユニットが、標準で付属しています。おすすめは日中シンクロ撮影。この写真の場合、フラッシュなしで背景を同じ明るさで撮影すると、前景の花は暗く写ってしまいます。そこで日中シンクロでフラッシュを焚くと、フラッシュが到達する距離まで明るく写り、遠景は元の明るさで写ってくれます。他にもポートレートなどで影を減らすなど、様々な場面で重宝します。とにかく小さいユニットなので、常時携帯しておくと表現の幅が増えますよ。

LEICA D-LUX 8, 1/2000, F5, ISO 100, Photo by TAK

周囲には他の要素もありましたが、75mm端までズームインして瓦屋根の連なりと夏空だけの構図にまとめました。75mmでも立派な望遠ですから、こういった切り取る表現も可能です。少し絞ってみましたが不要だったかもしれません。実によく切れるレンズです。

LEICA D-LUX 8, 1/1000, F5.6, ISO 100, Photo by TAK

カラフルでも、派手すぎて軽薄になることは決してありません。質感や重みも伝わってくる色使いもまた、ライカの証なのです。


LEICA D-LUX 8, 1/1250, F1.7, ISO 100, Photo by TAK

5つのカラーモードの中から「BW High Contrast」をチョイスし、硬めのモノクロ仕上げにしてみました。RAWデータに比べるとハイライトが飛び気味になり、主役の枯れた花びらの脈がより印象的に写し出されています。こういったカラーモードの仕上げ方にもライカのポリシーが反映されていて、それが設定一つで呼び出されるのですから、随分お得じゃないかなと思うのです。そしてこのレンズ、マクロモードも備えておりまして、広角端で3cmまで寄ることができます(望遠端で30cm)。もちろんそこまで寄る前にこの写真が撮れてしまったのですが、表現がガラリと変わるので積極的に使っていきたい機能ですね。

LEICA D-LUX 8, 1/6, F16, ISO 100, Photo by TAK

最初、窓の向こうの空が白飛びしているように見えたのですが、露出を下げたらしっかり空の表情が現れたので、その点を調整しています。底力のあるセンサーですね。シャッター速度は1/6秒とスローでしたが、手ブレ補正もバッチリ効いています。このボディ形状も実際持ってみると手に馴染んでホールディングが安定するのです(専用のハンドグリップもオプションでご用意しております)。人間工学という概念が出てくる以前から、ライカは基本的にずっとこの形です。デザインと機能における最適解を常に導き出し、それを貫き通す。そんなメーカーはおそらくライカだけでしょう。

LEICA D-LUX 8, 1/12800, F1.7, ISO 100, Photo by TAK

これだけ空に表情があると、他のカメラでもそれなりに写ってくれます。それでも、このシリアスな色表現はやはりライカならではと言わざるを得ません。光も文化も違う国で作られたカメラというだけでも、ロマンがありますよね。


  • LEICA D-LUX 8, 1/2000, F2.8, ISO 100, Photo by TAK75mm望遠端、開放でのボケ味もご確認ください。このサイズのカメラでここまでの表現が得られれば十分でしょう。ピントの合った部分の質感表現もいいですねえ。
  • LEICA D-LUX 8, 1/640, F2.8, ISO 3200, Photo by TAKISO 3200まで感度を上げてみました。フルサイズセンサーの描写に比べるとノイズが目についてきますが、うるさく感じるようなレベルではありません。ピント面がノイズで埋もれることもないので、多少の高感度でも積極的にシャッターを切っていけます。

PHOTO YODOBASHI

小さくたって、まごうことなきライカ。

少しでもカメラに興味がある方であれば、「カメラには二種類しかない。ライカかそれ以外かだ。」というようなフレーズを、どこかで聞いたことがあるかもしれません。もちろん実際はメーカーの数だけ素晴らしいカメラが存在しますが、このフレーズの真意は「ライカは他とはちょっと違う」ということです。その最たるものが、普遍性でしょう。形、操作系統、画質の考え方などが一貫していて、世代ごとにコロコロ変わったりすることは稀です。言ってしまえば、バルナックライカの1920年代からまったくブレていません。そしてD-LUX 8で特に感心したのは、先代の操作系統をほぼ受け継ぎながらも、見た目や操作パーツがM型やQシリーズにより近づいており、ライカファミリーの中でほぼ同じ感覚で使えるようになったこと。つまり今回は歴代モデル間という縦方向の統一だけではなく、現ラインアップ上の横方向での統一も図られたのです。そのため、M型やQシリーズをお使いの方が本機をスムーズにお使いいただけるだけでなく、本機でライカの世界に入ってこられた方も違和感なくM型やQシリーズにステップアップできるのです。コンセプトや機能によってカメラのデザインが変わるのは理解できることですが、それを簡単には許さないのがライカというメーカーです。余程の信念と哲学がなければ成し得ないことで、それが故にライカと名の付くカメラは時が経っても陳腐化することがなく、長きにわたる信頼と名声を勝ち取ってきたのです。この商品写真では付属品の「フラッシュCF D」と「リストストラップ」を装着していますが、どちらもボディと見事に調和したデザインです。特に感動したのはこのストラップ。普通、黒一色ですよね。こちら、白黒のストライプですよ。さりげないけど洒落てて、しかも可愛いじゃないですか。違うんですよね、こういうところも。

D-LUX8はライカとしてはリーズナブルで位置付けもエントリークラスではありますが、それでも正真正銘のライカであり、やっぱりライカは違うなあと感じました。そんな特別なカメラを使っていると当然ながら気持ちが良く、ふらっと旅にも出たくなります。目的地を決めた「ねばならない旅」ではなく、当日の朝に決めた行き当たりばったりの、旅先の不都合さえ楽しんでしまうような余裕を持った旅です。機能面において、このカメラを上回るものは他にも存在します。下手をすればもっと安いものが見つかるかもしれません。ただ問題は初めからそこではないのです。単純なスペック比較とは違うステージに立つカメラ。それが、ライカなのです。

  • PHOTO YODOBASHI背面のボタン類もほぼQ3ですね。メニュー表示も他のモデルと同様になりました。階層もわかりやすく、しかも多すぎないのが素晴らしい。236万ドットの高精細EVFも見やすいですよ。
  • PHOTO YODOBASHI右側面にはUSB Type-C端子とHDMI Type D端子を搭載しています。シャッターボタンにはアナログのレリーズケーブルが装着可能なのも嬉しいポイント。レリーズボタン、どれにしましょうかね。
  • PHOTO YODOBASHIバッテリーは先代と同様「BP-DC15」を使用します。
  • PHOTO YODOBASHI箱の段階から、もうとにかく違うんです。一流の料理もプレゼンテーションからして違うじゃないですか。それと同じです(食べたことありませんけど)。

( 2024.07.25 )

Loading..
Loading..

このカメラで、心のままにシャッターを切る。ライカで撮るということ自体、かけがえのない、人生の一部になるのです。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

バッテリーの持ちは予想以上に良いですが、予備があると安心です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

小指が余る包容力豊かな方、どうぞ。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

本革のプロテクター。ブラックとオリーブグリーンもございます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

電源オンでレンズが伸びると自動的に押し出されて開き、電源オフでは自動的に閉まるという、楽しいカラクリの便利なレンズキャップです。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ボディ全体を守るケースもご用意。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

なんておしゃれな色なんでしょう。他にカメラにもつけたくなります。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ブラックもございますが、こんな素敵な色まで展開するのもライカです。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

軽快なハンドストラップ。すぐに構えられます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

こちらに限らず、レリーズボタンを選ぶ楽しみもありますね。知らぬ間にネジが緩んで紛失することも多々ありますので、時々「増し締め」をよろしくお願いいたします。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..