PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
35mm判換算600mm相当の画角で、狙ったシーンをズバッと切り取るM.ZUIKOレンズ。気の向くままに撮影でもしようとしたらフレーミングすら手こずってしまいそうな画角ですよね。メインユースはスポーツシーンや野鳥撮影などでしょうが、最短撮影距離が1.4mということもあってクローズアップ撮影にも活躍します。三脚座を取り外した時の重量1270g、フード収納時の全長227mmというのですから600mm相当のレンズとしてはかなりコンパクト。もちろん、頼れるレンズ内手ぶれ補正機構(4段分)も搭載しています。また、カメラ側が「5軸シンクロ手ぶれ補正」に対応した機種であれば、手ぶれ補正効果はなんと驚愕の6段分を発揮するとのこと。機動性に優れたマイクロフォーサーズシステムの超望遠レンズを、手持ちでビシバシと射抜いていく快感。防塵・防滴・耐低温性能を備え、過酷な状況でも臆することなく切り込んでいける信頼感。さすがは"PRO"をその名に冠するハイスペック仕様です。絞り開放から実にシャープな像を結び、ボケ味は前後共に滑らかで美しく、まったくと言っていいほど隙を見せません。まあ、前置きは程々にして、撮りためてきた作例カットを早速ご覧くださいませ。
( Photography : Z II / Text : KIMURAX )
では、解像感やボケ味といったレンズ性能がわかりやすい作例からご覧いただきましょう。蜂のふわふわとした毛に、うっすらと花粉がかかっているのがわかるほどにビシッと解像しています。花びらや蕾の表面の質感もよく捉えていますね。そのピントピークとは対照的に、大きくぼけて色と化した背景。花びらの輪郭のボケ味も大変スムーズです。
平坦のように見える青バックから、すっと立ち上がってくる立体感。きめ細かな羽の様子まで見て取れます。前後のボケも実に自然です。
F8まで絞り込んで切り取った山の中腹部。霜化粧した木々それぞれの姿がきちんと見てとれますし、シャドー部のねばりもなかなかのものだと思います。ちょっと手の込んだジオラマを目の前にしているかのような、距離をあまり感じさせない描き込みです。
ボディ側との連動で手ぶれ補正は6段分。600mm相当なので手ぶれ限界を「1/焦点距離分=1/600」として考えると、手持ちで1/10秒ぐらいのシャッターが切れる計算になります。普通、超望遠レンズでスナップ撮影という発想にはなかなかなりませんが、とにかく手ぶれ補正がめちゃめちゃ効くので全然行けちゃいます(笑)。それなりに距離はあるものの、ボードにあしらわれたデザインまでビシッと描いていますからね。撮りたい時に、さっと手持ちで狙える超望遠レンズ。これはもう写真表現のスゴイ武器です。
明け方の強い日差しに照らし出された、きらめく波しぶきの表情がはっきりとわかります。(画像をクリックで倍のサイズを表示します)
タイル周辺の雨染みによるクスミまでも丁寧に描き込んでいます。被写体的に一応開放から1段絞っていますが、開放でもなんら問題はなかったような・・・。ま、とにかく解像力の高いレンズなのであります。
普段はなかなか近寄ることのできない所にも、簡単にアクセスできるのは楽しいものです。拡大してみたら、トレーラーの運転席上部に立っている無線用アンテナまできっちりと捉えているではありませんか。望遠鏡代わりになっちゃいます(笑)。
オリンパスといえばZEROコーティングでしたが、本レンズのコーティングはその上を行く「Zコーティングナノ」が採用されているとのこと。フレアやゴーストが出にくく、シャドーエリアもスッキリ。ちなみに右手の建物は撮影場所から約6km、富士山までは100km程の距離があります。しかもガラス越しでの撮影。かなりよく写っていますよね。
メーカーが「史上最高レベルの解像力」と謳っているだけあって、目を見張る気持ちのいい撮像を見せてくれました。オリンパスでは初の2000万画素オーバーとなる「PEN-F」のLive MOSセンサーへ光をしっかり導いている証と言えるでしょう。そして、その描写をより確かなものにしてくれる強力な手ぶれ補正。初めて体感したときの驚き(いや衝撃?)も束の間、レンズを向ける先々でビタッと止まるものですから、気づけばいつのまにやら口元が緩んでしまっているわけです。しかも600mm相当となる超望遠の世界。特定の目的がある方で無ければなかなか体験できない領域なだけに、このレンズを手にしたら最後、面白いようにのめり込んでしまうかもしれません(笑)。遠くにある物や景色がよく見え、そこをスパッと切り取る。背景を大きくぼかして被写体を浮き上がらせたり、圧縮効果を利用する。望遠効果のさらに上を行く“超”望遠の表現を、気張らずに手持ちで楽しめてしまうという贅沢。撮影しながらニヤニヤ。データチェックしてニヤニヤ。身構えてしまいそうな焦点距離ですが、撮り始めてしまえば何てことはない、ただひたすら楽しいレンズなのであります。
( 2016.04.06 )
軽快に振り回せちゃう、フルサイズ換算600mm相当のハイスペック超望遠。もちろん防塵・防滴のPRO仕様です。
手ブレ補正の能力をフルに発揮させるなら、このカメラとの組み合わせがベストです。