PHOTO YODOBASHI
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TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD Model F004
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
中望遠のマクロレンズと言えばTAMRON 90mmと名が上がるほどの伝統ある銘玉。その長い歴史のなかで着々と改良が加えられてきた本モデルは、ニコンFマウント対応のフルサイズ(FXフォーマット)レンズ。手ブレ補正機構を備えるだけではなく、描写性能に更なる磨きをかけるべく光学系にも手を入れてきたとのこと。特殊硝材を惜しみなくつぎ込みながら、最新のコーティングにより耐逆光性能も高められています。また、ピント合わせのときにレンズが繰り出さないインナーフォーカス方式を採用したことで、マクロ撮影時に被写体との距離感をさほど気にする必要もなくなりました。超音波モーターによるAFも俊敏で、手ブレ補正の効きもすこぶる良好。等倍マクロ撮影をガッチリとサポートしてくれます。使い勝手の向上のみならず、どのような描写を見せてくれるのかが大変気になるところです。
( Photography : M.Ito / Text : KIMURAX )
こういった被写体ではしっかり寄って、マクロレンズらしいアプローチを試みたくなるところですが。。。そんなはやる気持ちをぐっと抑えて、少し引いたところからの撮影で。予想通りといいますか、絞り開放からビシッと解像しています。画面中央の花弁のみならず、右上の花弁辺りもしっかりと整っていますね。これだけ光が強い場面では、フェンスの縁にフリンジが現れてもおかしくないものですが、まったくといっていいほど有りません。奥行きのあるシーンですから、ピント面からの距離によって、ボケがうるさくなるところが散見できます。とはいえ、いすれも悪目立ちするようなことはなく、画全体の中でいいアクセントになっているというか、どことなく動きを感じさせてくれるのです。生命の躍動感と言ったら、なんだか大げさかもしれませんが(笑)。なんでも柔らかくボケればいいというもんじゃないんだよなぁと思うわけです。背景との距離感をいろいろと変えてみると、ボケの表情も変わってきます。被写体を前にいろいろと工夫していると、写真は単にシーンを切り取るだけの行為ではないと、ふと気づかされたりするのですよね。
前のカットと同じシチュエーションではありませんが、絞り込んでいくことでボケのカタチが整っていくことはお分かりいただけるかと思います。つい今しがたまで飛び回っていた蝶が、じっと静かに蜜を吸う。前のカットとは異なり、このカットには背景の躍動感は不要なわけです。ボケを巧くコントロールすれば、作画のバリエーションも自ずと増えてくることでしょう。なんだか、ワクワクしてきますよね。
家族の写真に、自転車の前ボケってちょっとベタですかね(笑)。でもこれだけ大きくわかりやすいモノをインサートしてきても、意外と邪魔にならないと思うのです。自然な柔らかさをもったボケ味だからでしょうか。さり気ないのです。
きれいに色分けされていると思いきや、意外とバラバラですね。よく見るとペン先は金属製のシャープペンシルだけど、握り手は木でできた鉛筆のよう。プラスチックケース越しですが金属と木の質感がよく出ています。色合いもグッド。
さすがはマクロレンズ。被写体にしっかり寄り切ったときのボケ味はまさにフワッと柔らか。リンゴに犬の置物って一体どういう取り合わせ?!っていうシチュエーションですが、余白がない分、いろいろと想像を掻き立てるというか、謎は深まるばかり(笑)。フレームの妙というヤツですね。
90mmマクロの進化は止まらない。
熟成の域に入ったといいましょうか、やはり定評のあるタムロンの90mmマクロレンズですから、これでもかと進化いや深化してくるわけで。待望の手ブレ補正機能と超音波モーターの搭載。さらには、描写の核心部分でもある光学系を一新するという大胆なテコ入れは、メーカーのチャレンジ精神の何ものでもないと思うのです。ホント頭が下がります。作例カットをここまでご覧いただいてきましたが、描写としてはどれも納得のいくものばかりではないでしょうか。先代も十分に素晴らしい画を紡いでくれましたが、それにも増して一皮向けたというか、ヌケ感がさらにアップしたように感じました。中望マクロが欲しくなったら、まずタムロンを。そう言わせてしまう実力とリーズナブルさを兼ね備えた貴重な存在に感謝!
( 2015.07.03 )
タムロンの看板レンズとなる90mmマクロも新世代へとアップグレードしました。信頼の1本、ぜひお試しください。
フィルターもレンズと同様、光学製品です。超低反射率と撥水・防汚機能を兼ね備えた保護フィルターをどうぞ。