PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Nikon 1 Nikkor VR 30-110mm f/3.8-5.6
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
中望遠から望遠域までをカバーする、ニコンのミラーレスカメラ用ズームレンズ。35mm判換算すると81mm相当の画角からスタートとなるので、ポートレートや風景撮影にと重宝します。開放絞り値をみると明るいレンズではありませんが、手ブレ補正(VR)を備えており、カメラ側の高感度特性を持ってすれば、実用上はほとんど問題になるということはありません。キットレンズとしても供されており、入門レンズ的な位置づけながら描写性能もしっかりとしており、もう一歩先の焦点距離をリーズナブルに手に入れたいとお考えの方にはおすすめの1本です。手元の操作だけで297mm相当まで簡単に引き寄せられるのですからとても便利ですし、何より作例カットをご覧いただければ、切り取る画の面白さにもお気づきいただけることでしょう。さあ、気軽な望遠スナップを楽しみください。
( Photography : T.Takahashi / Text : KIMURAX )
テレ端で絞りをほんの少し絞り込むと、画面全体にまでシャープさが行き渡ります。もちろん開放から比べればシャープさは増すのですが、その差はさほど大きくは無いというのが正直なところ。つまり、絞り開放からなかなかしっかりとした画を描き込んでくれるレンズなのです。
何を見せたい画なのかと聞かれてしまうと困るのですが、いろんな要素をギュギュッと凝縮してみたかったのです(笑)。もちろんカメラ側の性能に負うところもありますが、フレームインしたものひとつひとつを的確に捉えています。少々大き目に前ボケをいれてみましたが、うるさくなるようなことは無く、被写体の原型がそれなりに判りますよね。こういった雰囲気みたいなものが失われないことも大切だと思うのです。
カメラが判断した適正露出よりマイナスに。比較的に光りが回っていたフサフサの紫だけが残るように撮影してみました。無彩色の世界に紫の差し色。上手くはまったと思うのですが、いかがですか?最短撮影距離はズーム全域で1m。ちょっとしたテレマクロ的な撮影もできます。被写体を大きくフレームインして、いつもとは違った世界を捉まえるのも楽しいものです。
なかなか寄りにくいシーンでも労せず被写体にアクセスできるのはありがたいことです。ボケ味のよさもさることながら、ピント面で捉えた葉のディテールの再現もいいですね。
テレ端での撮影による圧縮感と奥行き。シャドーエリアが黒く潰れるくらいまで露出をマイナスに振ったことで、ハイライトをより鮮明に際立てることができました。センサーサイズを考えれば、まずまずの解像力といえるのではないでしょうか。
遠くのシーンをその場から引き寄せて画面を整理できるのも望遠ズームの利点。足音と息遣いまでもが伝わってきそうです。
望遠独特の圧縮感や画面構成は、撮っていて実に楽しいものです。そして仕上がりを眺めてみると、切り取られた周辺の広がりにまでイマジネーションが及ぶ。望遠ズームレンズをカメラに付けると、いつもとは違う新鮮な気分で撮影ができそうな気がしてきませんか?いや、実際そうなのです。まずはこのレンズから、じっくりとお楽しみください。
( 2014.08.20 )
ニコン1マウントのスタンダードな望遠ズームレンズ。コンパクトな鏡胴ながら、3.6倍と十分なズーム比で手ブレ補正も内蔵しています。
キットレンズにも採用されたフルサイズ換算で81-297mm相当となる望遠レンズ。ボディーカラーに合わせてお選びください。