PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
シグマContemporaryラインに属する高倍率ズーム、SIGMA18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM(キヤノンEFマウント用)のレビューをお届けします。APS-Cサイズセンサー対応でなんと16.6倍のズームですから、35mm判換算で28.8mm〜480mm相当の画角をカバーすることになります。このところ高倍率ズームの高画質化が飛躍的に進んだ印象ですが、本レンズもその流れにしっかりと乗っています。蛍石と同等の性質を有するFLDガラスを4枚採用するなど、光学性能にただならぬ拘りを持ったレンズ設計が施され、極めて高い画質を実現。それでいて大きさは一般的な標準ズームとさほど変わらないサイズに収められており、高倍率ズームに求められるコンパクトネスはしっかりとキープしています。利便性も画質も妥協したくない、そんなリクエストへのシグマ社の回答。どうぞご覧ください。
( Photography : T.Nakanishi, Z II / Text : T.Nakanishi )
開放F値は決して明るいとは言えませんが、カメラ側の感度を少しアップすれば、あとは新設計された手ブレ補正機構がしっかりと威力を発揮してくれるのでご安心を。高倍率ズームでこんなシーンが撮れるようになったなんて、凄いことです。
MACROと名乗るだけのことはあり、寄った撮影もお手の物。細やかな部分までしっかりと描き込んでいます。
次第に凍りゆく水辺に浮かぶ睡蓮の葉。これから雪に閉ざされていく季節の移ろいを感じるシーンです。シャーベット状になった水のリアルな描写が、そんな冷たい空気感を伝えてくれます。
絞り込んだ画をもう一枚。吹雪のあと、木の幹にびっしりと雪が積もった立体感をうまく表現しています。また木の樹皮など細やかな部分の描き方も秀逸で、F11まで絞っても解像感の低下はほとんど見られません。
F11まで絞っても問題ありませんでしたが、どうやらF8前後が最も緻密な画を紡ぐようです。吹雪の中での撮影で、もっと霞んだように写るかと想像していたのですが、細かい枝の描き方をみると、これが高倍率ズームなの?と疑いたくなるほどの画質に正直驚きました。
開放の撮影では、カリッカリとはいかないまでもピントピークはしっかりとシャープ。安心して絞りを開けることが出来ます。
出合った被写体までの距離が多少遠くても大丈夫。480mm相当までズーム出来ますから、グイッと引き寄せることができます。
親子で動物園へお出かけ、なんてシーンにも使いやすいでしょう。ワイド端で我が子を狙い、テレ端で動物を狙うなんて欲張りなこともこれ一本でこなせちゃいます。
オオカミをテレ端で狙うことで動物園らしさがなくなり、まるで野性のワンシーンのようにも見えてきますね。
利便性と高画質の両立。なんとも難しいことに真正面から向き合い、しっかりと答えを示してくれるシグマ社に敬意を表したいと思います。あらゆるシーンをたった一本でこなしたいと思うのは、カメラ歴に関係なく当然のことですよね。レンズ交換の煩わしさから開放してくれる高倍率ズームが、こうしてどんどん高画質になっていくのは我々ユーザーにとっては非常に歓迎すべきことで、この先どこまで進んでいくのだろうと更なる期待も膨らみます。感じた瞬間に撮る、というシンプルな撮影スタイルを実現してくれる頼もしい一本。ぜひお試しください。
( 2015.03.11 )
FLDガラスを4枚・SLDガラスを1枚採用した贅沢な高倍率ズームレンズ。15倍を超えるズーム比ながらも、徹底的に拘ったレンズが持つ光学性能は侮れません。APS-C専用です。
高性能なレンズには高性能なフィルターを。撥水・帯電防止・超薄枠の純正プロテクトフィルターです。