PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
富士フイルムXマウント用レンズ「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」を紹介いたします。画角はフルサイズ換算で122mm相当、最大撮影倍率は1倍の中望遠マクロレンズです。本レンズはマクロ域での撮影をサポートするための様々な技術が搭載されています。まず手ぶれへの対応は加速度センサーによりシフトぶれの検出も可能にし約5段の手ぶれ補正効果を発揮。レンズでの手ぶれ補正は撮影時のファインダーのブレも抑えるためマクロ域での微妙なピント合わせも確実におこなえます。そしてマクロ域の撮影において移動量が大きくなるフォーカスは、2つのフォーカス群にリニアモーターを搭載しフロントとリヤを別駆動させるボールスライドシステムを採用し素早くスムーズに。またインナーフォーカス方式により前玉と被写体との距離が変わず、安心してフォーカスできます。描写は、6群9枚のレンズ構成(異常部分分散ガラス3枚を含む)のアポクロマート設計により、軸上色収差及び倍率色収差を徹底的に抑制し開放から高解像度を実現とのこと。もちろん防塵・防滴、−10度の耐低温、前玉に施したフッ素コーティングによる撥水・防汚機能により、様々な条件での撮影もサポートしています。最大撮影倍率1倍の世界から遠景まで、その描写をじっくりと試してきました。
( Photography & Text : A.Inden )
バラのドライフラワーをガラスの一輪挿しに置いて撮影しました。開放での描写はエッジを立たせたものではなく、トーンを大事にして丁寧に描いていくイメージでしょうか。豊富な階調が見せるしっとりとした描写に写欲が掻き立てられます。
逆光でも適度なコントラストがあり淡い色調の世界を立体感たっぷりに写し出しています。開放から解像力は高く稲の細かな毛も1本1本数えられそうです。稲の束を撮影したためかなり複雑な背景でしたが、前後のボケも自然で好感が持てます。
猫の目の虹彩にピントを合わせて撮影。マクロ域でもAFは迷うことなくスムーズに合焦し振り向いた瞬間に捉えることができました。とろけるようなボケ味で目の縁の毛が浮き立つように見えます。
シャッタースピード1/8秒で手持ち撮影。マクロ域でも約5段の手ぶれ補正がしっかりと効いています。F8まで絞っても柔らかいボケ味が美しいです。
F5.6で三脚につけて撮影(手ぶれ補正はOFF)。ストップウォッチの蛍光塗料の質感までしっかりと再現している解像度の高さに驚かされます。(※画像のクリックでJPEG撮って出し原寸画像をご覧いただけます)
トップの写真の撮影風景です。最短撮影距離25cmで撮影倍率は1倍になります。マクロレンズは最大倍率での被写体との距離が気になるところですが、付属している約8cmの長いフードを付けてもある程度距離をとることができ、被写体の前方から光を当てることが可能です。そしてマクロ撮影での絞りによるボケ味、解像度の変化を確認するため、ピントピークを固定して絞りを変えて撮影しました(トップの写真は絞りF5.6)。
- 開放F2.8。ピントピークはキリキリとした描写ではありませんが、羽根の細かなテクスチャーを見事に再現しています。柔らかなボケが美しいです。
- 最小絞りF22。絞りによる色の変化は感じられません。解像感はF5.6と比べると若干落ちるようです(200%拡大時)。
適度なコントラストがあり影が印象的に感じられる力強い描写です。影をキリッと描こうとF5.6まで絞り、画面全体を被写界深度の範囲に収めました。マクロ域でも感じましたが、少し絞ることで解像度はもう一段上がったように感じます。
AFはしっかりと被写体を追従し、ピントを気にすることなく撮影に集中できました。明暗さがある条件ですがシャドーも潰れずに階調が残っています。
マクロ域以外でも綺麗なボケは変わりません。焦点距離80mm、開放値F2.8の中望遠レンズとして幅広い使い方ができそうです。
開放での遠景撮影も周辺まで高解像度な描写です。
撮影スキルを問わないマクロレンズ
マクロ域から遠景までスッと合うAF。そして撮影距離で変化しないレンズの全長。レンズの繰り出し量が多いマクロレンズがここまで快適に使えるようになったのかと感慨深いものがありました。少し前まではクローズアップ撮影の際、鏡胴を握って手首でグッと回転させてレンズをビューと伸ばしていたのですから。正確な描写がキモのマクロレンズで高解像度が大事なのはもちろんですが、使い勝手が悪ければ撮影に集中しづらくなります。XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroの全長が変わらないフォーカスシステムは、ほんの少しの動作が大きく影響するマクロ撮影で最高のサポートになると思います。本レンズを持てばマクロ域で確実に撮影するためにスキルを磨く、もうそんなことは必要なくなるのかもしれません。手に入れた日から最高の描写も手に入る、そんな一本ではないでしょうか。
( 2023.02.28 )
長めのワーキングディスタンスが取れることで、撮れる世界は格段に広がります。
焦点距離を2倍にする高性能なテレコンバーターが使えます。