PHOTO YODOBASHI
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DJI OSMO POCKET 3 / SHOOTING REPORT
普段はスチル中心でも、「ここはムービーで」と思う景色に出会うことはありませんか。メインカメラでスチル+スマートフォンで動画」という体制の方も多いかと思いますが、3つほどお悩みをかかえておられるかもしれません。ひとつは、スマートフォン撮影中は電話、メール、インターネット閲覧などができなくなること。もうひとつは、スマートフォン自体の電池消費が増え、発熱も招き、メモリも圧迫してしまうこと。そして3つ目は、タッチ中心の操作性に不安が残ること(例:録画、停止が逆になる)です。メインがミラーレスであればスチルとムービーのハイブリッド体制が一台で組めますが、それを以てしてもクリアしきれない問題が残ります。手ブレです。
今回ご紹介するカメラはDJIの「OSMO POCKET 3」。ロケ番組で出演者が持っているのを見て、気になっておられるかもしれませんね。最大の魅力は、3軸メカニカルジンバルによる強力なスタビライズ機構。DJIといえばドローンやジンバルを思い浮かべますが、ドローンでは世界の約7割以上のシェアを持つ巨大メーカーで、カメラの安定にひたすら力を注いできたような会社です。今、多くの撮影機器に手ブレ補正が搭載されていますが、確かに静止画には効果があります。しかし動画、とりわけカメラ自体が動きながらの撮影となると、カメラ全体を駆動して安定させる強力なジンバル機構が不可欠です。それを初めから搭載したOSMO POCKET 3は、映像における最大の敵である手ブレを単体で撃退した、最もコンパクトなジンバルカメラです。たったの179g、手のひらサイズの本機は、メインカメラに随行させても負担にならない、今最もパワフルなビデオカメラなのです。
( Photography & Text : TAK )
スタビライゼーション、画質
まずはスタビライゼーション性能と画質をお確かめください。歩きながらここまで安定した映像を、一般的なデジタルカメラやスマートフォン単体で撮ることはまず不可能でしょう。ジンバルの導入も現実的ですが、それなりのサイズになります。OSMO POCKET 3が小型軽量なのは、カメラ部がコンパクトでジンバルの駆動パワーも少なくて済むから。しかも一体型でバランス調整も不要。電源オンで即撮影開始、ジョイスティックとボタンの直感的操作で、思い通りにコントロールできます。被写体への追従性もずば抜けていますよね。AFが高性能なことに加え、カメラ自体が駆動して被写体を追い続けてくれるのですから、次元が違います。画質も1型センサーの採用でカテゴリーでは頭一つ以上は抜けています。階調やノイズ特性など先代から劇的に向上しており、しかもセンサーの大型化にもかかわらず先代同様4K/60fpsをサポート。これをクリアしているスマートフォンも存在しますが、こちらはなんと言っても1型センサーです。
動画中にCreator Comboの話が出てきましたので、単体との中身の違いについてまとめておきます。Creator Comboには、単体に加えて以下のアクセサリーが付属しています(USB Type-C to CのPD規格対応ケーブルは双方に付属)。
- DJI Mic 2 トランスミッター(取付用マグネット、風防含む)(1個)
- OSMO Pocket 3 広角レンズ
- OSMO Pocket 3 バッテリーハンドル
- OSMO ミニ三脚
- OSMO Pocket 3 キャリーバッグ
「DJI Mic 2 トランスミッター」は次のスピンショット動画で取り上げていますので、少しお待ちください。「Osmo Pocket 3 広角レンズ」はいわゆるワイドコンバーターで、20mm相当のレンズ本体前面にマグネットでパチンと取り付けると15mm相当に広角化されます。自撮りの際も、手を伸ばさなくても自分と背景をバランスよく収めることができるので便利です。「Osmo Pocket 3 バッテリーハンドル」は、バッテリーのない「OSMO POCKET 3 ハンドル」(単体に付属)より長身ですが、駆動時間を約62%延ばすことができます。一体感あるデザインの「Osmo ミニ三脚」はカメラの固定に。「OSMO Pocket 3 キャリーバッグ」は、Comboの全アイテムをコンパクトに収納できます。
スピンショット、音質、素材性
OSMO POCKETならではの、Z軸が回転するスピンショット。先代でも付属品装着で同じようなことが出来ましたが、本機では単体で簡単にできます。ちょっとした映画ごっこができて楽しいですよ。これを手動でやるとなると大変でしょう。本体内蔵マイクとCreator Comboに付属する「DJI Mic 2 トランスミッター」(1個)を使った音も比較してみました。本体内蔵はステレオ録音が可能な万能型で3つのマイクが内蔵されており、3方向からの臨場感あふれる音声を記録することができる上、指向性も「前方」「前方後方」「全方向」に変更可能です。気軽に高音質をという方は単体で十分でしょう。トランスミッターは1個ではモノラルで(つまり一般的なマイク)、間近で声や楽器を間近で収録するのにも適したワイヤレスマイクです。また、広いダイナミックレンジを持つ32bitフロート録音(レベル設定が実質不要)も可能で、ノイズキャンセリング機能まであります。最大伝送距離が250mもあるので、設置場所も自由自在。被写体の近くに設置することでよりクリアに録音できます。
またこちらの動画では、LUTを当てるなどして画質を調整した例もご紹介しています。本機のカラーモードには「ノーマルカラー」「10-bit D-Log M」「10-bit HLG」の3種類があります。ノーマルカラーでも十分に綺麗なのですが、2種類の10-bitモードではダイナミックレンジをフル活用した素材が撮れるので、画質の調整幅が広がります。D-LogMはコントラストも彩度も自然で後処理も最低限で済むので、一般用途では最も使い勝手が良いように感じました。HLGはテレビ放送向け配信規格の一つで閲覧にはHDR表示対応のデバイスが必要で、D-LogMよりダイナミックレンジが広くパッと見は眠た目の映像になります。いずれも後処理耐性が高いので、好みの雰囲気に画質を調整したい時はご活用ください。とにかくこのジャンルで「10-bit」。目下最強でしょう。
ジンバルカメラならではの、多彩なタイムラプス機能
次に、タイムラプスをご紹介します。本機が他を圧倒している機能は、カメラのジンバル駆動を応用した「ハイパーラプス」と「モーションラプス」です。「ハイパーラプス」はカメラ自体も動きながら行うタイムラプスですが、ジンバルのおかげでブレが全く気にならないレベルにまで抑えられています。またトラッキングと組み合わせれば、片手で持って歩きながらでも指定の被写体を捕捉し続けてくれます。「モーションラプス」は、本体は固定しカメラだけを動かすタイムラプスです。今回は左から右へとパンさせた例を紹介していますが、カメラが向く目標は4箇所まで指定でき、指定した位置を指定の順番で移動してくれます。一定の速度で動いてくれるので、仕上がりはかなりスムーズです。こんな芸まで単体できてしまうなんて、やっぱり無敵ですよね。
こちらはスローモーションです。4Kで120fps(4倍)、FHD(1080p)では240fps(8倍)のスロー撮影が可能。手持ちでもブレていません。あれもこれも本当に「すごい」としか言いようがなく、語彙を失ってきております。
1型センサーなら静止画も見たくなります。綺麗ですが、同等のセンサーを備えたスチル(主体の)カメラと比べると、ちょっと線が太めに見えるかもしれません。公式には公開されていないのですが、こちらの16:9比率の画像の原寸は3840x2160、つまり4Kそのもの、約829万画素となります。ちなみに1:1のスクエアだと3072×3072の約943万画素です。先代の6400万画素に比べると大幅減ですが、このカメラで「静止画オンリー」はないと思いますし、ビデオカメラとしての理想を追求した結果と見るべきでしょう。
面白いのがパノラマ撮影。「180°」と「3x3」の二つのモードがあるのですが、「3x3」で撮影を始めてみると、カメラが順番にユニオンジャックのように9方向を向いて撮影し、合計9枚をスティッチして1枚のほぼ真四角の広がりある写真を生成してくれました。手持ちでやってみましたがお見事!
持って行けるジンバルカメラ。
スチル派にこそおすすめします。
一にも二にもジンバルの威力に圧倒されました。何を撮ろうがまずはブレないこと。この基本中の基本を、どのカメラよりも教えてくれます。手ブレを意識することなく、いつものように歩いてもスムーズな映像が撮れてしまうのは何物にも変え難い魅力です。他にもクリエイティビティを刺激する多彩な撮影モードはもちろん縦位置撮影や美顔効果(!)に至るまで、ここでは紹介しきれないほどの機能が満載。写真はCreator Combo付属のバッテリーハンドル、ミニ三脚を装着して専用カバーに収納した最強状態です。内部に広角レンズやフィルター1枚もマグネットで格納できる上、トランスミッターもカバーの上部に装着可能。折り畳み傘を細身にしたようなユニークな形状も、手ブレ抑制と携帯性を重視するDJIにとっては当然の帰結。実に理にかなっています。ちょっとした隙間にスポンと差し込めてしまいますし、単体だとさらにコンパクトに。これなら、常に持って行けますよね。「結局スマホが一番」と言われる最大の理由は、必ず持って行くから。OSMO POCKET 3は持って行くハードルが最も低いジンバルカメラです。Creator Comboと単体のどちらを選ぶかは悩みどころですね。両者の価格差は20680円。Comboに付いてくるアイテムを単体で購入した場合の総額は36740円です(いずれも2024年10月時点)。つまりComboを選ぶと16060円(トランスミッター1個分)得します。まずは軽快に撮影したい方は、単体でも十分に楽しめるでしょう。
ひとつご注意いただきたいのが、これは耐衝撃耐候耐水のタフ系カメラではないということ。カテゴリー上は「アクションカメラ」ですが、スポーツなどの激しいアクションや雨天での使用は控えるのがベストでしょう(そちらはOSMO ACTIONシリーズがおすすめ)。あくまで人体の通常の動きによる振動に最適化された、精密なジンバル機構を持つカメラです。ブレには強くても衝撃にはセンシティブなので、ラフな扱いは禁物。ジンバル作動中に直接触れるのもNGです。
最後に、起動と終了が炒飯3杯いけるほどカッコいいのでご覧ください。FHDの映像なども付けましたが、世の中まだまだFHDも主流ですし十分綺麗ですからね。動画もちょっと撮ってみたいけど大袈裟なものは要らないし、スマートフォンは連絡や閲覧や支払い用にキープしておきたい方。今までも気になるものはあったけれど、踏み切れないでいた方。これは「Go」サインですよ。スマートフォン用のグリップが存在する理由は、保持しやすく映像が安定するから。OSMO POCKET 3には初めからグリップ、それどころかジンバルまで搭載しています。価格も中身を考えればむしろバーゲンでしょう。こんなカメラ他に、、、あるとしたら先代のPocket 2くらいです。唯一無二のOSMO POCKET 3で、ブレから開放された悦びを勝ち取ってください。
( 2024.10.03 )
ジンバルカメラの魅力をシンプルに味わいたい方はこちらをどうぞ。
ワイヤレスマイクやバッテリーグリップなどが入ったお得なセットです。
Creator Comboをお求めで、もう1個トランスミッターが必要な方。レシーバー付きはいかがですか。
単体をお求めの方。一気にトランスミッター2個体制になって下剋上を果たしませんか。レシーバーはもちろん、充電器まで付いてきます。
シャッター速度を遅くして動き物を流れるように写す時などに必須です。
人物撮影などでは歓迎されない「写りすぎ」を抑えてくれます。
コールドシューやアクションカメラポートに取り付け可能な優れもの。
512GBまでのmicroSDXCカードが使えます。
いざという時のための心強い保証プラン。有効期間は1年間です。
こちらは2年プラン。更にお得です。