PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
TAMRON SP 85mm F/1.8 Di VC USD F016
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
フルサイズ対応で85mmといえばポートレート用として使われることも多く、中望遠で大きなボケを生かした画は一度使うとやめられない魅惑のレンズと言えるでしょう。その分、ボケ味には我々使い手の要求も自ずと高くなってしまうわけですが、各社そこはちゃんとお分かりのようで、85mmレンズには銘玉が多いということが、メーカーの努力を物語っています。そんな激戦区にタムロンが新SPシリーズとして SP 85mm F/1.8 Di VC USD(キヤノンEFマウント)を投入しました。85mmに求められる美しいボケの表現と高い解像感の両立を目指したという本レンズ。メーカーのアナウンスでは「人を撮るために誕生した」とまで言い切るその実力のほどはいかがなものでしょうか。ボケが美しいレンズということで、必然的に絞りを開けた写真が多くなりますが、開けてシャープなら絞れば言わずもがな。絞った画はみなさんの想像力に委ねるとして、シャープさとボケの美しさが両立した作例をたっぷり堪能していただければ幸いです。
( Photography & Text : T.Nakanishi )
絞りを開けることで表現したいことが明確になり、写真がより印象的になる場合があるので筆者は開放を多用します。特にボケの美しいレンズを付けている時などはその傾向はさらに強くなり、気がつけば開放ばかり、ということもしばしば。そこで、気がついた時くらいはと少しだけ絞ってみたわけですが、これでも十二分に美しいボケ具合です。
ピント面は当然のごとく薄いのですが、フォーカスしている場所は極めてシャープです。絞っていくに従ってこのシャープな面が前後深くなっていくという、当たり前のようでいて実は中々難しいことを、このレンズは難なくやってのけています。
ここからしばらく開放の画が続きますので、そのボケの美しさをご覧ください。背景となる建物の雰囲気を十分残しながらも、なめらかで美しいボケ具合。主要被写体を浮かび上がらせるにはもってこいのレンズです。
ボケの美しさもさることながら、色乗りも良いレンズと言えるでしょう。もちろん、ボディ側の色表現も関係してはくるのですが、まずはレンズがしっかりと色に反応しないと始まりませんからね。そこはキチッと仕事をしてくれるレンズなので安心です。
神社の境内に入って瞬間的に構えて撮った一枚です。前後からしっかりと分離し、掃除に勤しむ巫女さんの姿を美しく浮かび上がらせてくれました。
ボケが美しいレンズを使っていると絞ることを忘れてしまうのが玉に瑕。でも、美しいのですから仕方ないのです。一日中ボケの世界に浸るってのも悪くないものですよ。
AFの速さと正確性も記さねばならないでしょう。新SPシリーズとなりフォーカス性能がかなりブラッシュアップされてきた印象のタムロンレンズですが、本レンズもその流れのとおり。迷うことなく狙った場所に素早く合焦してくれるので、撮影のテンポもよくなります。
色収差などは非常に高いレベルで補正されており、結果的にクリアで精彩な画を紡いでくれます。
手ブレ補正「VC」の搭載はタムロンレンズとしては当たり前となった印象なのですが、85mm単焦点としては世界初とのこと。このVCがよく効くので、ピントピークの切れ味をあらゆるシーンで味わうことができます。
美しく人を撮るためには、柔らかな中にも芯のある描写が求められるところですが、そのあたりをしっかり見据えて設計されたレンズなのだということが、作例からも感じていただけたのではないでしょうか。タムロンには90mmマクロという焦点距離的に非常に似通ったレンズがあります。その住み分けとでも言いましょうか、明確な性格の違いを感じる仕上がりに、改めてレンズメーカーの底力を感じた次第です。レンズとは焦点距離だけで選ぶのではなく、その描写の味も一つの選択肢になるという好例ではないでしょうか。このレンズが活躍するシーンの幅を広げてくれる技術として、最新コーティング、VC、簡易防滴などを搭載し、まさに全方位死角なしとも言える仕上がりを見せた一本。ポートレート用に限らず、あらゆるシーンで使いこなして欲しいレンズです。
( 2016.04.20 )
「ポートレンズ・レンズ」と言い切ってしまってもいい、美しく人を撮れるレンズがタムロンから発売です。同時に登場しました描写の異なる90mmマクロとどちらを買うべきか、悩ましいですね(笑)。
レンズの能力を妨げない、高品位のプロテクトフィルターをご用意しております。ぜひ一緒にお買い求めください。