PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA APO 800mm F5.6 EX DG HSM
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
800mmという画角となれば、無限遠あたりの被写体を捉えるにも、陽炎が描写の邪魔をしてしまいそうな域の超望遠です。単焦点である本レンズが気になる方はきっと特定の目的があってのことでしょうが、このあたりの焦点距離となると、選択肢は極端に少なくなります。したがって、ラインナップされているだけでとても有り難い存在。しかもその特異性、スペックからすれば大変コストパフォーマンスの高いリーズナブルなレンズであることは確かです。開放から十二分にシャープな描写を見せ、繊細に像を結ぶといった印象。超重量級のバズーカ砲が紡ぎ出す、細やかな撮像をご覧ください。
( Photography : A.Inden / Text : KIMURAX )
どんなデザインかなと思って引き寄せて見たら、相当年季の入った潔いシンプルなボードでした。表面の凹凸からキズ、ロゴのかすれ具合まで克明に捉えています。これだけ距離があっても曖昧なところがない驚きの撮像です。
800mmともなれば、お目当ての被写体を大迫力で引き寄せるのがあらかたの使い方となるのでしょう。でもここはある種実験の場、前ボケを入れた風景撮影に仕立ててみました。余計なものを整理して見せたいものへと誘導するのがセオリーでしょうが、ごちゃごちゃしたところから垣間見える風景にこそリアルな眼差しを感じてしまいます。自然に馴染むボケ味もいい塩梅で効いているのでしょう。
撮影距離なんて関係なしと言わんばかりの肌再現性。髪の毛、腕のうぶ毛、シャツの質感・・・すぐそばに居るかのような細やかな描写にため息です。
肉眼では存在すらも確認できないエンブレムまでしっかり読み取れます。しかも画面周辺部で。なんでも見えてしまう勢いの800mm。これはもう千里眼の域、とは言いすぎでしょうか?
まさに「担ぐ」という表現が相応しい巨体。撮影に際してはしっかりとした三脚か、じっと支えていられる若手をお忘れなく。
テレコンの威力も凄まじいものに。1.4倍で1100mmオーバーです。
こちらは2倍。1600mmとなれば、何にレンズを向けますか?