PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 500mm F4 DG OS HSM | Sports
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
シグマSportsラインから、SIGMA 500mm F4 DG OS HSM | Sports(フルサイズ用キヤノンEFマウント)が登場しました。メーカーアナウンスではSportsラインのフラッグシップと位置付けられているようで、相当に気合の入ったレンズなのだろうことは容易に想像できます。マグネシウム製ボディとカーボン製フードの組み合わせは高級感を醸し出し、その描写力への期待が嫌が応にも高まります。500mm F4は「ゴーヨン」と呼ばれ、飛びモノ系のカメラマンの間では絶対的地位を得ているレンズであり、その分競争率も、そして描写への要求も高くなってしまうわけです。だからこそ、シグマは持てる技術を惜しみなくつぎ込み、フラッグシップとしてリリースしたのでしょう。レンズメーカーが自信を持って送り出したゴーヨンの世界。たっぷりと堪能してみようではありませんか。
( Photography & Text : T.Nakanishi )
秋の終わりを感じる頃にさっと雪が降りました。遠くの峰は冬山の様相で、里に近づくにつれて秋の色が見えてきます。500mmでファインダーを覗いた世界はちょうど秋と冬の間の光景を見せており、パウダーシュガーをまぶしたかのような、美しい風景に息を飲みます。ここはなんとしても緻密な描写で季節の変化を捉えたいたいシーン。結果はご覧の通りで、撮り手の予想をはるかに超える描写力で応えてくれました。
500mmでF4というスペックは、主題を浮かび上がらせるのに非常に好都合です。雑然とした場所でも、前後を整理でき、際立たせたい被写体の存在感を引き出してくれます。これは、鳥の撮影などでは本当に有利な武器になるわけですが、ボケが美しくなければその魅力は半減です。本レンズのボケ具合、いかがでしょうか。
遠くにある被写体を手繰り寄せるのが望遠レンズ最大の見せ場。標準レンズが50mmですから、このレンズを使うことで、肉眼の遥か先の世界を楽しめるわけです。まさに写真ならではの表現と言えるでしょう。特別な用途だけで使うなんてもったいない。普段から積極的に使って欲しいレンズです。
次の車輌がくるまで1時間ほど。踏切の外側から、ちょうどカーブになった線路を切り取りました。もちろん、車輌を入れた写真もいいのですが、線路だけの表現もイメージが膨らむので素敵ですよね。
落ち葉で埋め尽くされたアスファルトの道路に太陽の光が影を落とし、造形的な美しさを見せていました。デザイン的に捉えた写真を撮るには、望遠レンズはマストアイテムで、シンプルに色と形だけを抽出できるので便利です。
遥か遠くの山肌を狙っています。距離にして30kmほどでしょうか。写真とは不思議なもので、こうしてみると距離感が失われますね。
フラッグシップレンズという謳い文句は、伊達ではない。
ゴーヨンを使うシーンとして思い浮かぶのは、鳥、飛行機、レース、スポーツといったところでしょう。たしかに主戦場となるのはそのジャンルでしょうし、文句無しに戦える力を有しています。一方、今回あらゆる場面で使っていく中で、日常的なシーンに使うのも面白いなあという思いが強くなったのも事実です。圧倒的な凝縮感は、500mmだからこそ得られる世界であり、単焦点ならではの切れ味は、ズームでは得られない快感があります。いつも見ている景色の中で使っていただければ、きっと新しい扉が開くはずです。その重量に関しては、もちろん一般的に見て軽量なレンズとは言えません。しかしながら、ゴーヨンなのです。そう考えれば、決して大きくはありません。約4段分の手ブレ補正OSも大変よく効くので、ちょっと頑張れば手持ち撮影も十分可能でしょう。実際に本レビューの作例で三脚を使ったものはごく一部です。描写力も存在感も特別なレンズではありますが、用途が特殊なレンズではありません。一部のジャンルの人だけ楽しむなんてあまりにもったいない。ぜひ多くの皆さまに、この世界観を楽しんでいただきたいと思います。
( 2016.11.28 )
鏡胴にマクネシウム合金を採用し、軽さ、堅牢性を両立。これまでの長望遠単焦点レンズのイメージよりも、軽快感のある撮影が可能になった500mm F4 DG OS HSM。もちろん、その描写力は折り紙付きのシグマ調です。
USB DOCKがあれば、レンズのファームウェアアップデートのみならず、SportsラインではAFの速度調整やフォーカスリミッターの調整、手ブレ補正の効き具合のモード選択なども行うことができますから、ぜひ併せてお買い求め下さい。
軽量になったとはいえ、超望遠レンズでは三脚を使用した撮影をしたい場面も多いのではないでしょうか。センターボール雲台がセットになったこちらの三脚は、コンパクトに折りたたむことができ携行しやすいのも特徴です。
フィールドでの撮影にも不安なく持ち出せる防塵防滴のレンズですから、撮影者の装備にも雨対策を。ストレッチフリース生地のフォトグローブは装着したままスマートフォンなども操作できる優れモノ。真冬の撮影時にもぜひ。