PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
TAMRON 28-300mm F/3.5-6.3 Di VC PSD Model A010
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
便利ズームと言われた時代は過ぎ去り、今やメインレンズとしても十分満足できる性能を有するモノも出てきた高倍率ズームレンズ。高価な単焦点レンズや大きなズームなど、数多ある交換レンズの中でも昨今さらに存在感を増しつつある印象です。なにより、広角から超望遠までたった一本でカバーしてくれる万能さは、瞬間を切り取る写真にはとても大切な要素。いいな、と感じたその時がシャッターチャンスな訳で、その瞬間にレンズ交換なんてしていたら、いくら高価なレンズであっても記録することすら出来ませんからね。さて、本レンズ。タムロンが長年積み重ねてきた高倍率ズームにおける技術の粋を集めて開発した、とアナウンスしているとおり、確かにこのクラスのレンズとしては驚くべき画質を実現しています。論より証拠。様々なシチュエーションで撮影した作例をたっぷりとご覧いただきましょう。
( Photography & Text : T.Nakanishi )
ズームレンズは逆光に弱い、なんてイメージは忘れた方が良さそうです。濡れた路面の質感をリアルに表現しつつ、ハイライトからシャドーまでしっかり描き分けています。
少しアンダーな露出を与えて濃厚な表現にトライしてみました。暗部がベタっと潰れることもなく、立体感のある描写には好感が持てます。
窓の外からガラス職人の仕事場を撮らせてもらいました。寄りたくても寄れないようなシーンでは、テレ端で300mmというのは非常に便利です。手ブレ補正もバッチリ効くのでシャッターチャンスに集中でき、「今!」という瞬間を切り取れます。
神社にある土俵です。聞くと、こども相撲が行われる場所だとのこと。そう言われて撮っていると、子供達の賑やかな声が聞こえて来るような気がしました。写真って、写っている物以外のその先を想像させる力があると思いますが、それもこれもリアルな画があればこそですね。
ちょっとカフェで一息。最短49cmまで寄れますから、こんな時にも重宝します。日々の記憶を写真に残すって素敵なことです。
こちら、ワイド端での撮影です。開放から十分シャープなレンズですが、少し絞るだけで文句なしの鋭さを見せます。高倍率ズームとは思えない解像感に感心しきりです。
道端に咲いていた小さな花と太陽のコラボレーションです。こんな写真が手持ちでサクっと撮れてしまうわけですから、いい時代になりましたね。
ワイド端から驚くほどシャープで、テレ端開放でも眠いと感じることもなく、さらには逆光撮影においても破綻を見せない、となれば高倍率ズームとして文句なしと言えるのではないでしょうか。描写のキレ味やヌケといった部分をワンランク上のレンズと比べるのはナンセンス。こういったレンズは、気軽に良い写真を日々残していくような使い方が向いているでしょう。便利なズーム域を有し、しっかりとした性能も持ち合わせる高性能レンズ。これ一本でいろんな場所へ旅にでるのもいいなあ、と妄想が膨らみます。
( 2014.12.24 )
フルサイズで10倍を超えるズームレンズとしてはコンパクトに仕上がっています。デジタル時代の高い画質に応えた、タムロンの意欲作です。
高価なレンズです。前玉の保護もお忘れなく。