PHOTO YODOBASHI
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SIGMA 12-24mm F4 DG HSM | Art
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
シグマの3つのプロダクトライン、Contemporary、Art、Sportsという分類に関しては、もう説明する必要もないほど認知されたことでしょう。明確なビジョンを持って新たな製品を開発し、リリースし続けるというのは、そうたやすいことではありません。しかしシグマの攻勢は続きます。超広角ズーム、12-24mmが3代目となって、Artラインに位置づけられました。その名も、SIGMA 12-24mm F4 DG HSM | Art (キヤノンEFマウント用)。この「A」のエンブレムがデザインされているというだけで、陳腐な解説など不要ですよね。ゼロディストーションを正々堂々と謳えるメーカーなど、これまであったでしょうか。周辺画質、歪曲収差といった、超広角ズームでは避けて通れなかったといっても過言ではない問題に、クラス最大のΦ80mm非球面レンズを投入するなど、持てる技術を惜しみなく採用することで、シグマは真っ向から向き合いました。しかもF4通しという、嬉しいスペックまで実現。とにかくご覧いただきましょう。シグマレンズらしい鋭い切れ味と、その驚くべき描写力を。
( Photography & Text : T.Nakanishi )
初雪が降り、濡れた砂利道を夕日が照らしていました。耐逆光性能をテストする絶好のチャンスです。いかがでしょう、この切れ味。コントラストの低下などは皆無と言っていいでしょう。濡れた小石の質感や、雪の冷たさをダイレクトに伝えてくれるのはもちろんですが、それと同時に、太陽周りの空の表情まで見事に表現しています。
超広角の面白さは、肉眼とはちょっと異なる世界が見えることです。ただ広い風景を撮るだけなんて勿体ない。ファインダーを覗きながら、あれこれやってみると、急にハッとする瞬間に出会えるはずです。ここでは、太陽の輝きもアクセントとして利用しています。
とにかくトーンの描き方が秀逸です。ボディ側の性能とも関係するところではありますが、まずはレンズがしっかりと光を拾わなければ、センサーには届きません。その点で、このレンズの見事なまでの階調表現には舌を巻きます。
開放から驚愕の切れ味を持つレンズですから、絞りはあくまで被写界深度の調整と考えた方が良いでしょう。深いピントが欲しい時はしっかり絞る。すると、全面に切れ味が広がります。(画像のクリックで等倍画像をご覧いただけます)
テレ端24mmを使えば、最短撮影距離が24cmとなり、相当寄れるようになります。テーブルフォトなどでも用途が広がりますね。
レンガの質感、青空のヌケ、いかがでしょうか。前玉の形状からフィルターは装着できないスタイルとなっていますが、むしろこのレンズに余計なフィルターは不要でしょう。純粋に光をレンズに届けたい。そう思わせてくれる一本なのです。
開放F4通しのスペックですから、室内でもわずかな感度アップで十分対応可能です。建築撮影などで使用されることも想定されますが、期待以上の仕事をしてくれるでしょう。
マウント部への防塵防滴構造や、円形絞りの採用など、お勧めしなければならないポイントはたくさんあるのですが、作例をご覧いただければ、きっと言葉以上の魅力を感じていただけますよね。なぜ「Art」なのかは、その画が全てを物語ってくれています。今回はキヤノンEFマウント用でのテストでしたが、上がってきた画はすっかりシグマ調。独特の深いトーンと鋭い切れ味は、もはやシグマの代名詞となったようです。そして、そのデザインにも風格を感じるのは、筆者だけではないでしょう。ボディに装着した際もバランスが良いので、手によく馴染みます。新しい世界を模索されている方や、超広角の楽しさを味わってみたい方に、是非ともお勧めしたい一本。「A」のエンブレムがお待ちしています。
( 2016.11.08 )
12mmスタートという驚くべきスペックの超広角ズームレンズが登場しました。しかもArtライン。「ゼロ・ディストーション」が生み出す驚異的な描写力をぜひご体験ください。
三脚に据えて水平垂直をきっちり出すには、大型の水準器がたいへん便利です。雲台内蔵型もありますが、まずはここからどうぞ。安心のマンフロット製です。