PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
キヤノンEOS Rシステム特集
Chapter 2:とことんRFレンズで撮ってみる
Vol.2 EOS R + Vol.2 EOS R + RF28-70mm F2 L USM
EOS Rシステム特集の「とことんRFレンズで撮ってみる」シリーズ。今回はその第2回目です。使用したレンズはフルサイズ用で開放値F2が全域で使える大口径標準ズームレンズ「RF28-70mm F2 L USM」。本レンズはキヤノンの先進の光学技術とレンズ設計の自由度が上がったことによって実現化できた、まさにRFマウントのアイコン的な存在と感じております。EOS Rシステムの発表があり、そのレンズラインアップを見た時は衝撃を受けました。同時にキヤノンのフルサイズミラーレスシステムへの意気込みを強く感じたのです。実際に「RF28-70mm F2 L USM」が手元に届き、その時感じた衝撃がフラッシュバックしました。やはり只者ではなさそうな風格が漂っています。EOS Rとの組み合わせで、いったいどんな描写を見せてくれるのでしょうか。さっそく撮影してまいりましたのでご覧ください。
( Photography & Text : TA )
scene1: 午前
限られたスペースでの屋内撮影
「限られたスペースで屋内」というシチュエーションで、いろんな画角での写りや使い勝手を見たくて友人のオフィスを訪ねました。建築家である彼女は蔵楽友美さん。たわいのない会話を交わしながらも彼女は仕事の手をとめない。そんなシーンと、彼女の素の雰囲気を何とか写し込めないかとレンズを向けました。動きの少ない手にピントを置き、ふと和らいだ時の素の表情は少しアウトフォーカスに。イメージ通りに再現してくれました。前後ともにスムースなボケが美しく、ピントピークはとてもシャープです。開放での撮影時、画面四隅はわずかに減光が見受けられますが、それでもF値を考えるとかなり少ないと思います。それもEOS Rボディ内の補正機能を利用したり、補正機能OFFの設定でも、一段半絞れば解消します。
状況に合わせ、28mm付近、35mm付近、50mm、70mmと画角を変えながらシャッターを切って行きます。それぞれの焦点距離で撮影していて感じたことは、ピントの置き所をよくよく考えさせらるレンズだということ。上のカットで例えると、カップの縁にピークを持ってくるのか、はたまた水面が陶器とぶつかり合うところに持ってくるのか。何をどう伝えたいのか、撮り手のイマジネーションとトライアンドエラーの積み重ねが問われる感覚。ズームレンズとしての利便性を感じながら、同時にいくつもの単焦点レンズを持ち歩いている感覚です。
scene2: 午後
解像力とボケ
ビルなどの構造物を写すと、一切の雑味なく隅々まで解像する写りにゾクッとさせられます。そもそもの性能が高く、そのうえ各収差も全くといっていいほど見られません。上2枚のカットはワイド端開放F2での撮影です。開放ですよ。本レンズの性能は想像を遥かに超えたもので、道具として使いこなすには自身のアップデートが必要だと思わされました。
常にとても美しいボケを見せてくれます。これだけ解像力のあるレンズですから、前後どちらかのボケが犠牲になるのではと構えていたところがあったのですが杞憂でした。これが次世代を担っていく標準ズームレンズの実力なのかと。
こちらを見て、なにか言いたげな表情をしていますね。花弁の一枚一枚が、静かに、その描写の凄みを伝えてきます。収差を感じさせないクリアな描写ですが、どことなく丸みが感じられる描写です。いろんなシーンで大活躍してくれるレンズだと思います。
scene3: 夕刻〜夜
スナップ
暗くなってくる時間帯のスナップ撮影にも挑戦してみました。暗所でもAFは迷わずビシッと決まりますし、飛んでくる(いく)鳥にも素早く合焦します。ピント面のこの透明感、伝わるでしょうか。
終始手持ちで撮影を行いました。手ブレ補正機能はないのでシャッター速度が低速にならないように設定し、感度はオート任せです。上記のカットは埠頭近辺。ポツンポツンとナトリウムランプの灯りがあるくらいで、東京でも「夜は暗い」と感じる場所です。本レンズは開放値がF2ですので、感度の上昇も緩やか。暗所の撮影でも画質の低下をほとんど感じることなく撮影が行えます。
次世代の本格派標準ズーム
いかがでしたか。開放から全く文句の付けようのない描写で、いわば現代のレンズそのものであり、それも極上の部類。では味わいらしきものを感じないかといえば、そんなことはありません。素直に「いい・・・。」そう呟いてしまう描写でした。さらにこの先、仮にRFマウントでEOS Rの画素数を3倍にしたようなモンスター級のカメラが出てきても、しっかり対応していけるレンズだと感じました。まだ見ぬこの先の未来を予感させる。そんなレンズです。また、フルサイズ用で開放値F2が全域で使える標準ズームレンズは今までに存在すらしなかったわけですから、スペック面のみを鑑みても、それは一つの財産であり価値のあるもの。キヤノンが送り出した強烈な1本と言えるでしょう。
プロフェッショナルユースとしても長年重宝されてきた開放F2.8通しの大口径標準ズームレンズを使っていたりすると、それより明るいF値で撮影したいシーンやシチュエーションに出会った経験はありませんか?となると、F2を有する本レンズの存在はまさに渡りに船。間違いないチョイスです。そして、大口径標準ズームレンズの描き出す世界に憧れを抱いていた方はすぐさま叶えましょう。これ1本でとことん撮りこんでみたい、そんな気にさせてくれるレンズです。
( 2019.05.09 )
F2通しの大口径ズームレンズ。大三元の上をいく新大三元というべき標準ズームレンズです。
純正プロテクトフィルターでしっかり保護しましょう
このサイズのボディなら予備でもう一台持っていてもカメラバッグは余裕ですよね?
RF28-70mm F2 L USMを使用する際、ボディにはバッテリーグリップを装着することをお勧めします。重量のバランスが良くなり縦位置の撮影でもしっかりグリップできます。