PHOTO YODOBASHI

ROLLEIFLEXOLOGY

ROLL 2 : 里の秋を拾う。

満開の桜が散り始めている京都なのに、去年の紅葉?お待たせいたしましたというより、既に季節を先取りといった感すらありますが、老舗の醤油のもろみのようにじっくり寝かせたということでご理解を、、、無理ですね。公開が遅れ誠に申しわけございません。忘れた頃に届いた船便(帆船)のような感覚で楽しんでいただければ、、、幸いです。

四季を通じて名所を中心に人で埋め尽くされそうな勢いの京都ですが、特に秋と春は尋常ではありません。撮影時にも人が入らないフレーミングにするとかえって不自然になり、実写レビューなどではあえて人を入れた風景を撮ったりもしますが、それでも限界があります。そしてそんなときは無性に人のいない風景を見たくなるのです。今回は特に目的地は決めず、京都府やその周辺の山里へと車を走らせてみました。

( 写真 / 文 : TAK )

1日目:周山街道を北上。名田庄へ。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

京都市内から周山街道(R162)を北上します。途中の高雄山神護寺もものすごい人でした。パスします。(笑)更に30分ほど走ると、道に沿って流れる川の向こうに小さな神社が見えひときわ綺麗な紅葉が。地図上では熊野神社と出ています。ちょっと寄ってみましょう。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

たまたま神社の方がいらして話すことができたのですが、若者が都会に出て行って維持するのも大変だけれど、帰ってきても活躍する舞台がないんじゃ仕方がないとのこと。ローライフレックスを見てブローニーが懐かしいとも仰っていました。人の少ないところに行くとその土地の方と話すことも多いのですが、逆に人の多いところでは誰とも話さなかったりします。不思議なものです。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

元の道を再び北上する途中、道端で燃えるような紅葉を見つけ再び停車。同じ理由で他の車も集まってきて「同士」との話も弾みます。こんな色、作れと言われても作れません。ありがたくフィルムに焼き付けるのみです。縦横関係なしの真四角フォーマットはフレーミングも一発で決まりますし、印象を印象のまま撮るのに向いている気がします。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

続いて向かったのは、京都府南丹市に隣接する福井県大飯郡おおい町名田庄という山村。道の駅名田庄に車を停め裏手に向かいましたが、これまた秋真っ盛りでした。そして60年前のレンズの逆光耐性に脱帽です。この辺りで採れる里芋や牛蒡が美味しいので必ず買って帰ります。京都の野菜もとても美味しいのですが、名田庄のはまた味が違うのです。おそらく分水嶺的に日本海側に流れていく水で育っているからかもしれません。よう知らんけど。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

スマホを見ると3G回線になったり圏外になったり。でもこれでいいんだよな、便利になりすぎるのもね、、、と思ったのも束の間、スマホを落としてしまっているではありませんか!来たルートを引き返そうとしても地面は落ち葉だらけ。しかもマナーモードに設定してある上、カバーはオレンジ色ときています。10分ほど探しますが見つかりません。そこで一旦覚えているポイントまで引き返して、往路を意識して歩いてみたらすぐに見つかりました。なるほど、一度来たルートなら何となく覚えているのですね。このカットは探している最中のものですが、そんな時に限っていい風が。当然撮るわけですが、その時だけは冷静でしたから写真ってすごいなと思いますね。もちろんスマホもすごいです。やっぱり便利が一番と喜びに包まれたのが午後3時ごろ。山里では既に日が隠れ始めましたので、今日はこれで退散するとしましょう。

2日目:若狭街道を北上。阿弥陀寺、明王院へ。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

翌日は若狭街道(R367)を北上し、大原のあたりで一旦街道を外れて西へ向かい、京都市左京区大原古知平町にある阿弥陀寺にやってきました。雨でしたが時折陽射しも降り注いで来ます。こういう被写体もこれまた真四角の世界に合うのですよね。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

手持ち、低速シャッターで一番大切なのは呼吸。場所が場所だけに余計にそう思います。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

こちらのすぐ近くには石廟があり、開山された弾誓上人の即身仏が収められている石棺があります。ここでも「撮影禁止」のサインは見つからなかったのですが、もちろん撮影はしません。ただただ手を合わせました。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

ずいぶんと晴れて来ましたので、若狭街道に戻り更に北上し、滋賀県大津市葛川坊村町の明王院へ向かいました。今回一番撮れて嬉しかったのはこの光景かもしれません。って人が入ってますがこういう絵なら大歓迎。介護サービスでしょうか。お世話される側、お世話する側、それぞれの想いを想像します。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

行き当たりばったりではありましたが、2日間紅葉を満喫することができました。画面を紅葉で埋め尽くせばどこで撮っても同じような紅葉が撮れるかもしれません。しかし、人だらけのところと、自分一人しかいないところとでは、被写体との向き合い方が違ってきます。そして、「ここまでやって来た」という感慨が無ければ見つけることのできない光景があります。町を離れちょっぴり心細さを覚えつつ、風の音、鳥の声、落ち葉の乾いた音を聞いて心和ませる。そんな中でシャッターをレリーズするのは格別でしたし、液晶のない銀塩ですからその場で何度も結果を見ることもなく感傷にどっぷりと浸れます。期待した絵と現像結果とのギャップに落胆するのも茶飯事ですが、それもまた一興なのでございます。

アクセス

1日目:名田庄(道の駅)

:京都市内から国道162号線・周山街道を福井方面へ。道の駅名田庄まで所要時間約1時間40分。
JRとバス:JR敦賀駅または、舞鶴駅からJR小浜線へ乗り換え小浜駅下車、あいあいバス名田庄線で名田庄方面へ。道の駅へは「流星館」下車。所要時間 約1時間10分。なお、あいあいバス名田庄線は本数が限られています。時刻表をご確認の上、余裕を持った旅程を計画されることをお勧めします。

2日目:古知平阿弥陀寺

:京都市内から国道367号線・若狭街道を大原方面へ。大原バス停を越えてすぐ斜め左方向へ国道を外れて入り、2kmほど道なりに進む。阿弥陀寺まで所要時間約30分。
バス:京都市地下鉄烏丸線国際会館駅から19番大原、小出石行き京都バス(赤いバスです)に乗り古知平寺前バス停で下車(乗車時間約25分)。更に徒歩で20分。

2日目:明王院

:京都市内から国道367号線・若狭街道を大原、福井方面へ。道なりに30kmほど走る。所要時間約50分。
バス:JR堅田駅(滋賀県)から江若交通バスで堅田葛川線で平、坊村、細川行きに乗り、坊村で下車(乗車時間約45分)。徒歩3分。なお、江若交通バスの堅田葛川線は1日2本しか出ていません。時刻表をご確認の上、余裕を持った旅程を計画されることをお勧めします。


( 2017.04.20 )

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メインストリートからちょっとそれた旧街道や里に趣を見出す白洲正子氏による紀行エッセイ。『お能には橋掛り、歌舞伎にも花道があるように、とかく人生は結果より、そこへ行きつくまでの道中の方に魅力があるようだ。』(p.10) 写真にも通じる極意が随所に散りばめられた名著です。

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こんなにカッコいい写真用グローブがあったでしょうか。装着したままでも細かいカメラ操作ができる上にタッチスクリーン対応。それでいて普段使いもできるスタイリッシュな本革仕立て。写真も出で立ちもドレスアップすること間違いなしです。

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真四角写真ではありませんが、気軽に二眼レフスタイルが楽しめるうえに、何といってもその場で写真がプリントされて出てくる。これは代え難い魅力ですよね。

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このフィルムを作り続けている富士フィルムには感謝!社名が社名ですしね(笑)。買い置きはいくつあっても良いでしょう。

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