PHOTO YODOBASHI

ROLLEIFLEXOLOGY

ROLL 1 : 60歳のローライフレックスを試し撮り

こんにちは。先日、涙が出るほど嬉しい出来事がありました。親戚が使わなくなったローライフレックス3.5E(1956年製、Carl Zeiss Planar 75mm F3.5搭載)を譲ってくれたのです。日頃の行いが良いのか。はたまた今年の運を使い果たしてしまったのか。それともデジタルで撮ることが多い自分への何かのメッセージなのか。いずれにしても、幸運というのはお裾分けするのが一番。ローライフレックスで普段着の京都を中心に撮り歩き、その模様を僭越ながらお届けしようと思うに至りました。題して「Rolleiflexology」(Rolleiflex+logy (話))。よろしくお願いいたします。

ローライフレックスというカメラは、ご覧の通り二つのレンズが縦に並ぶ「二眼レフ」というタイプの機械式中判カメラです。120フィルム(ブローニー)という規格のフィルムを使い、1本で縦横比率1:1、約6×6cmサイズの正方形写真を12枚撮ることができます。2:3や4:3といった比率が多い中、1:1というのは実にシンプルかつ新鮮ですが、最近インスタグラムなどで人気が再燃しているようですね。とにもかくにも、まずは試し撮りです。そういえば120フィルムがどこかにあったような、、、探してみると何と期限が2005年のアスティア100F (RAP F) が1本出て来ました(富士フィルムがかつて生産していたカラーリバーサルフィルム。自然な色再現、柔らかいトーン、優れた粒状性が特徴。2012年販売終了)。これも何かのご縁。怖いもの見たさも手伝って1本目はこれで撮ることにします。とはいえこれだけではあまりにも心許ないので、ヨドバシカメラでプロビア100F (RDPIII) を補充しました。撮影地は京都市内にしてみましょう。地元だということもありますが、「シンプルイズベスト」な日本文化を象徴する京都の街には、真四角のシンプルな構図が合うんじゃないだろうかと思ったのです。とはいっても京都の残暑はまだまだ身の危険を感じるレベル。あくまでプランはゆるめにと、東山区宮川町を起点にして、後は何も決めずにぶらりと歩いてみることにしました。

( 写真 / 文 : TAK )

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME ASTIA 100F, Photo by TAK

宮川町は京都を代表する花街の一つで、祇園のすぐ南にあります。観光スポットの祇園とは違ってひっそりとしていますから、カメラ散策にもオススメですよ。早速、シンプルなファサードとシンプルなバイクの組み合わせを発見。こういうのを撮りたかったのです、真四角で。露出計で光を測り、若干の脳内補正をして、カメラの露出を決定。ウエストレベルファインダーを覗き込み、じっくりとピントを合わせつつフレーミング。そして、静かにシャッターを切る。なんともゆるやかなテンポに癒されます。

真四角がハマる、京都の花街。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME ASTIA 100F, Photo by TAK

こちらの電気メーターカバーにも京都らしさが溢れておりますが、真四角のど真ん中に捉えるとその存在感が自然に伝わってきます。ローライフレックスのファインダーは上から下を覗き込むタイプのものですが、ファインダー像が左右逆なので慣れるまでは水平垂直を出して撮るのに難儀します。もし被写体の前でカメラを振りながら動かない人を見たら、その人はきっとフレーミングの真っ最中。どうか暖かい目で見守ってあげてください。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME ASTIA 100F, Photo by TAK

このツァイスレンズの描写力もいかがでしょう。筆使いや濃淡の再現力、ピントの合ったところのシャープさなど、今の基準で見ても相当なレベルにあると感じますが、60年前当時のインパクトたるや推して知るべしであります。そうそう。フィルムの期限切れによる影響ですが、全くわからないレベルと言ってもよいでしょうか。フィルムってすごいですね。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME ASTIA 100F, Photo by TAK

花街ということで、芸妓さんや舞妓さんを見かけることも多い宮川町。この日も「おはようさんどす」の挨拶が静かな通りのあちこちで響いていました。そんな「はんなり」とした雰囲気に、フィルムカメラならでのゆっくりした撮影ペースが合っているように感じました。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME ASTIA 100F, Photo by TAK

気がつけばお昼時。昔からやってそうな食堂を見つけたので入ってみましたが、このテレビの位置を見た時点で正解だということが分かります。この一枚で期限切れの1本目は終了、とれたて新鮮の2本目を装填します。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

食堂を出る前にもう1枚。壁に芸妓さん舞妓さんの団扇が貼ってあるのは、その店が花街にある証拠。私も「応援」してあげたいのですが、カメラ一つ買うのに手持ちのカメラを売るお財布事情では厳しそうです。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

宮川町を離れ木屋町通りを北上していたのですが、四条河原町付近の雰囲気の良い喫茶店に潜り込んでしまいました。さっきランチ休憩をしたばかりなのですが、あまりにも暑かったもので。京都にはこういった「純喫茶」が多数営業していますので、見つけたら是非入ってみてください。

若者の街、新京極・寺町へ。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

二度目の休憩の後はトラディショナルではない京都を撮ることにします。どこかの女将さんでしょうか。タクシーを待ったはりました。「『待ってはる』じゃないの?」とよく聞かれますが、京都では「てはる」ではなく「たはる」と言うことが多いように思います。場所は河原町蛸薬師付近。道が碁盤の目状に交差する京都市中心街では、交差する通り名を言うことで場所を特定します。つまりここは、河原町通と蛸薬師通のクロスポイント。ニューヨーク市でも「West 37th and Madison」などと言いますが、これと同じシステムですね。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

蛸薬師通をそのまま西に進むとすぐに新京極・寺町エリアに出ます。こちらは若者の街といった様相で、修学旅行生でも賑わうところです。実物を大胆に使った店の装飾にも時代を感じますね。

Rolleiflex 3.5E (Planar 1:3.5/75mm), FUJICHROME PROVIA 100F, Photo by TAK

フィルムの画というのは、デジタル化しても一味違うのですよね。どちらが優れているとかではなく、それぞれ固有の表現力があるように思います。個人的に、デジタルは被写体の表面や輪郭を分析的に描くのが得意だという印象を持っているのですが、フィルムは被写体表面の下の層までも掬い取って描いてくれるような気がします。よう知らんけど(語るだけ語っておいて、最後にその信ぴょう性をボカす京都的表現)。

気がつけば2本目のフィルムも残り1枚。今日はそろそろ終わりにしようかと思っていたところに、このカメラと同世代の素敵なご夫婦が。暑さもピークに達していましたので、このカットで撮影終了とします。2時間ほどで合計24コマを撮った形で、デジタル時代には「たったの24コマ?」なのですが、非常に満ち足りた時間を過ごすことができました。普段はデジタルオンリーな中で久しぶりのフィルム撮影。正直不安もありましたが、カメラも絶好調で撮影もうまくいったのでホッとしていますし、何よりも楽しく癒される。これに尽きます。仕事柄京都の街を撮ることも多い私ですが、ローライフレックスで京都やその周辺をもっともっと撮り込んでみたいと思った次第です。あんな所やこんな所。観光地も観光地でない所も。色々と考えておりますので、次回もまたよろしくお願いいたします。

アクセス

今回は、鴨川の東西にまたがる京都市中心部を歩きました 。アクセスは、阪急電車なら河原町駅、京阪電車なら祇園四条駅が便利です。JR京都駅からは市バスがもっともアクセスが良く、四条河原町(四条通と河原町通の交差点)で降りると良いでしょう。四条河原町に停車する系統は数多くあります。京都駅中央改札口を出たところにあるバス乗り場・総合案内所でご確認ください。500円の一日乗車券もありますので、あちこち回るならこちらの方がお得です。もっとも夏以外の季節なら京都駅からテクテク歩くのもオススメです(十分歩ける距離)。

京都駅中央改札を出ると京都タワー、そしてその奥にはヨドバシカメラマルチメディア京都店が!どうぞご利用ください。


( 2016.09.09 )

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リーズナブルでプロ写真家にも愛される「海鴎」。二眼レフデビューにいかがでしょうか。中国上海製。井上陽水が聴きたくなります。

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こちらは更にリーズナブルなトイカメラ。トイカメラ「風」ではありません。35mmフィルムを使用します。

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こちらは6x6cmおよび6x7cm画面サイズで撮れる、本格的中判レンジファインダーカメラ。絞り優先AEも付いてます。折りたたみ式です。蛇腹です。つまり、欲しいのです。笑

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今となっては貴重な現行ポジフィルム。このフィルムが基準という感覚をお持ちの方も多いのではないでしょうか。現像もヨドバシカメラにおまかせください。1本あたりの現像代、 35mmフィルム(36枚撮り)よりも安くつきますよ。

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軽量コンパクトで読み易いアナログ式の露出計。光との対話を楽しんでください。

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