PHOTO YODOBASHI

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Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/30, F8, ISO 100, Photo by 4beats

Nikon D7200 / SHOOTING REPORT

2010年10月発売のD7000からスタートしたニコンのD"7000番台"。2年前にリリースされたD7100に続くシリーズの3代目となる最新機種、D7200の登場です。ニコンのFマウントのレンズシリーズが装着できるボディで、"DXフォーマット"(APS-Cサイズ)のカメラとしては最上位機種がリニューアルされたのですから、期待は高まるばかり。ルックスやボタン配置、基本的なスペックなど、多くの点で先代を踏襲しているというのは、それだけ先代の評価が高かったことの裏返しと言えます。その上で、画質やAF性能などをブラッシュアップした本機ですから本当に期待できそうです。キットレンズの18-140mm f/3.5-5.6Gを装着して、いろいろな条件で撮影してきました。

( Photography & Text : 4beats )

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/1000, F6.3, ISO 3200, Photo by 4beats

D7200は6000x4000ピクセル、2400万画素という大きな画像データが得られます。ピクセル数だけで見ればD7100と変わらないのですが、画像処理エンジンは「EXPEED 3」から最新の「EXPEED 4」に。その恩恵はホワイトバランスや描写力のアップの他に、高感度耐性の改善にも及んでいます。常用での感度は2段アップしてISO 25600まで向上しているとのこと。まずは水族館という、光量の面ではカメラには優しくないシチュエーションでトライしてきました。ダイバーの女性がトラフザメと一緒に泳ぐというアトラクションでの動きのあるワンシーンを、1/1000秒という速さでしっかりとキャッチ。ISO3200まで感度を上げていますが、大伸ばしさえしなければノイズは気になりません。もはやノイズを気にしながら感度を「上げる」のではなく、シャッタースピードや絞りと同様に被写体にあった感度を自由に「選択する」レベルに到達しているようです。このカットでも少し絞っていますが、シャッタースピードと絞りを選んでから最後にISO感度を合わせるという撮り方が可能になってきたのは、高感度耐性が優れているからこそできる手段と言えます。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/250, F6.3, ISO 6400, Photo by 4beats

明滅するLEDがデコレーションされた階段で。人の目には結構暗く感じるシーンです。この条件下でもオートフォーカスはキビキビと動いていました。D7200では撮像素子だけでなく、AFセンサーでも低照度域の性能が改善されているのです。昨秋リリースされたばかりのD750に搭載されて高い評価を得たAFセンサーモジュールを本機にも用いたことで、51点ある測距点の中央の1点では-3EVの暗さまで測距可能になっています。そして同じく中央の1点は、例えば望遠レンズにテレコンを着けるなどして開放値が暗くなっても、F8まで対応可能。光学ファインダーでもピント合わせが難しい条件でもしっかりサポートしてくれるのですから有り難いですよね。このカットの光量程度なら、まったく問題ないようです。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/15, F6.3, ISO 6400, Photo by 4beats

ISO6400で夜景を。空のグラデーションの中にノイズは感じられますがとりたてて問題視する程ではなく、むしろ十分に実用レベルだと感じます。感度の限界を過ぎると光の点の描写はトゲトゲ、ザラザラしてしまいますが、そんなことにもならず、きちんと夜の町並みを彩る光源として描かれています。本機の高感度耐性の優秀さ、EXPEED 4の頼もしさ、お判り頂けたでしょうか。


Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/1000, F5.6, ISO 100, Photo by 4beats

先ほどは低照度下のAF性能を試しましたが今度は日中に、動きのある被写体で見てみましょう。絞り開放・秒間6コマの連写で、高速で去りゆくボートにどこまで追いつけるかチャレンジです。初めはAFの設定が合っていなかったのか、手前の飛沫にピントを持って行かれてしまいました。51点もの測距点を持つD7200をもってすればきちんと撮れるはずだと、設定を変更しつつシューティング。いくつか試した中にきちんと合焦したカットがありました。測距点の数や追従モードがいくかあり、その組み合わせは少々入り組んでますが、使い込むうちにそれぞれの特性が掴めてくるでしょう。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/640, F5.3, ISO 100, Photo by 4beats

小さなお子さんの走るスピード、もちろんピントは一発で追いつきました。AFのモード切り替えもファインダー内表示で確認できるので、慣れてしまえばとっさの場合でも対応できそうです。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/80, F5.3, ISO 100, Photo by 4beats

コントラストの高いシーンです。揺らいだ水面や柄杓の質感表現も素晴らしいのですが、特に腕の描写に舌を巻きました。エッジに強い光を受けながら、手前に向かってグラデーションが急激に落ち込んでいきます。ややもすれば色浮きやシャドウ部の荒れなどがありそうですが、トーンの乱れは皆無。腕の丸み、肌の質感を見事に表現しています。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/250, F5.0, ISO 100, Photo by 4beats

情報収集に余念のないオジ様。帽子や上着の質感表現も上々です。テレ端・開放では少々甘さを感じますが、キットのレンズの性能もなかなかのものです。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/640, F5.6, ISO 100, Photo by 4beats

登校前のうつむいた少女、学校に行きたくないというわけではなさそうなのでご安心を。何やら熱心に足下を観察していた模様。逆光のシーンですが、着ている服や手提げ袋の色や質感がしっかりと残っています。高画素ながらダイナミックレンジの広さもしっかりと兼ね備えているので、シーンを選ばずレンズを向けられそうです。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/250, F5.6, ISO 100, Photo by 4beats

空を背景に、早くに咲いていた桜を。発色もなかなか良く、派手すぎず地味にもならず、目で見たとおりの淡いピンクと空の青さといった印象です。記憶色というのは実際とは違ったりするものですから、その場で撮影したカットを背面液晶で表示しながら現物と比較してみたのですが、本当に見たままを再現しているようで嬉しくなってしまいました。この辺りのチューニングもなかなか良く練られているようです。ちなみにピクチャーコントロールは「スタンダード」に設定してあります。


Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/60, F8, ISO 100, Photo by 4beats

先ほどの夜景とは違う方向を、日が沈む前に抑えた別カットです。APS-Cのセンサーサイズで2400万画素といえば、画素の密度はかなりのもの。線が入り組んだような被写体を捉えるとエッジがガサガサと乱れてきたりしそうですが、D7200は違います。遠くに小さく写ったビルまでしっかり解像しているのですから感心するばかり、立体感も見事なものです。センサーがローパスフィルターレス仕様というのは、こういった場面では特に威力を発揮しますね。

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/1250, F5.6, ISO 400, Photo by 4beats

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/160, F8, ISO 400, Photo by 4beats

Nikon D7200, AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR, 1/5000, F8, ISO 100, Photo by 4beats


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小さなフラッグシップ、ライバルはフルサイズ機。

D7100からのブラッシュアップ具合はいかがでしょうか。AF性能は実際に体験して頂くのが一番判りやすいところではあるのですが、低照度下での撮影も含め画質面での良さは十分お伝えできたかと思います。D7100から受け継いだ本機の特長の一つとして「ローパスフィルターレスの高画素センサー」を搭載していることが挙げられます。ニコンではフルサイズ機のD800Eでローパスフィルターをキャンセルする構造を採用。そして先代のD7100でローパスフィルターレスのセンサーを初めて採用し、D810、そして本機へとフォーマットを跨いで受け継がれてきました。その流れがあってなのでしょう。「ローパスフィルターレス」のハンドリングは完成の域にあるような印象を受けました。ディテールの再現力は抜群に素晴らしく、そこに立体感も伴い、トーンや発色なども後処理を必要としないJPG画像が出力されるのです。高密度に配置されたセンサーのデメリットなど微塵も感じさせない実力の高さが感じられます。

AF性能や高感度耐性などを主にご覧頂きましたが、変更点は他にもあります。無線LAN機能を搭載し、且つNFCにも対応。外部とのやりとりが容易になりました。動画の機能では微速度撮影機能の搭載や、露出をスムージング制御した微速度動画が生成できるようになっています。タイムラプス撮影などでも効果を期待できそうです。そして意外だったのが先代よりもファインダーがとても見やすくなっていること。D7100のファインダーでも特に不満があったわけではないのですが、D7200ではヌケが良くなり、黄色みが取れ、被写体の立体感をより捉えやすくなっています。メインミラーに施された多層コートの賜物でしょうか。ルックス面での違いはほとんどありませんが、内蔵ストロボのカバーの"プレスライン"に加えられた変更によって、これまで以上にシャープな印象になっています。

さて、魅力たっぷりのD7200ですがAPS-Cサイズのボディでこれだけ写るのであれば、フルサイズ機との天秤にかけられても遜色はありません。そして撮影に何を求めるかによっても変わってきますが、システム全体がコンパクトで圧倒的にハンドリングが良い上に、確実に次元の上がった画が得られるD7200は間違いのない選択肢となります。先代からはルックスもほぼ変わらず、機種名の数字が順当に進んだだけの小さな変化しか無いように見えますが、その実、ここぞというときの機動力や出力される画は大きく進化しているのです。躊躇う理由はどこにもありません。誰が手にしても応えてくれるハイエンドカメラですから。

( 2015.03.18 )

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本レビューでも使用したズームレンズとのキット。小型軽量で機動力を活かせます。

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より遠くまで。望遠域までしっかりと写したい方はこちらを。

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バッテリーの駆動時間は延びてはいるのですが、一応。予備は2個くらいあっても良いかと。

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バッテリーチャージャーも複数あると、便利なんですよね。

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