PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SEL2470Z Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
フルサイズ対応Eマウントのレンズが揃いはじめています。なかでもCarl Zeissブランドを冠した標準ズームレンズとなる本レンズは、α7/α7Rを活用する主力レンズとして期待されていた1本でしょう。開放値をF4通しに抑えることで、α7/α7Rのボディに装着しても違和感のないコンパクトなサイズと絶妙な重量バランスを実現。ボディの高感度性能を考えれば十分な明るさがあり、従来の35mm判フルサイズシステムと比較して極めて軽快に取り回しができる、ハイエンドな標準ズームレンズのパッケージができあがります。風景からスナップ、ポートレートまで、さまざまなシーンを楽しめそうな一本です。
( Photography : Z II / Text : 48 & 4Beats )
まずはテレ端・開放の描写から。手前から奥まで大変なだらかにボケています。画面右下のファーが煩雑になることなく柔らかくボケているさまなどは見事ですね。開放値F4でも何ら引け目を感じません。そして帽子の繊維が見てとれるくらいにピント面はしっかりとシャープな描写。Zeissの実力ここにあり、といったところでしょうか。
こちらもテレ端ですが、1.5段ほど絞っています。触ると脆く崩れてしまいそうな雪の表面の質感や、立ちこめた靄の様子などその場の雰囲気をとてもよく再現しています。
さらに絞ってF8です。遠景までしっかりと解像していますね。周辺部に多少甘さが見られるようですが、中央付近ではα7Rの実力を損なうことのない描写力。一本一本の木の立体感も見事なものです。
さて、ワイド側も見てみましょう。やはり変わらずに見事な解像力ですね。そしてハイライトからシャドウまでの階調の豊かさも素晴らしく、ボディが持つダイナミックレンジの広さを存分に活かしてくれます。
自分の足で前後に移動しにくいようなこういったシーンではズームはとても重宝します。限れらた中で適度な距離感と画角を探し出すのも撮影中の楽しいひとときですよね。
最短撮影距離は40cm。このカットではそこまで寄っていませんが、ズームリングをテレ側に回すことでボケやすく・切り取りやすくなり、テーブルフォトなどでもズームレンズのメリットを享受できます。テレ端での近接のためか若干柔らかな描写に。そのあたりは上手く使い分けることで、一本のレンズを幾重にも楽しめそうです。
軽快に持ち出せるちょっと贅沢なズームレンズ
センサーが繊細である分、α7Rではレンズの特徴も如実に表れます。ダイナミックレンジの広さや中央付近での見事な解像力からは、レンズとボディのマッチングの良さが感じられ、ボディ性能に負けない実力の持ち主といった印象です。開放をF4に抑えたのは大きさなどのバランスを考えてのことと思いますが、無理な明るさを求めていないことが画質にもよい結果をもたらしていると感じます。ワイド端でのわずかな樽型の歪曲や、テレ側・絞り開放での甘さが見え隠れすることもありますが、それさえも味わいとして捉えられる写りで、総じて開放から積極的に使っていきたいと思わされる、撮ることの楽しさを感じさせてくれるレンズです。日常の大抵のシーンを収めることができる画角を持ち、描写力に不安のないこのようなレンズをボディにつけたなら、あとは被写体を求めて動きまわることが第一です。余分なことを考えずに写真に集中できるのが、標準ズームレンズの一番の魅力ですよね。防塵・防滴性能を有していることもこのレンズのアドバンテージの一つ。レンズ交換をしたくないシーンでもズームレンズなので大凡のシーンに対応できます。
大口径標準ズームレンズは一般的にF2.8通しということもあり、このレンズでは絞りにして1段分の違いがありますが、実用的には違和感を感じることはありませんでした。実際「もうちょっとボケが欲しい」と思う場面ではF2.8でも物足りないことも多いので、そうなれば単焦点レンズの出番です。例えば本レンズを基本としながら、コンパクトで明るい単焦点レンズを1本バッグに忍ばせておく。α7/α7Rのシステムであればこそ可能な、軽快な撮影セットができあがります。
35mm判フルサイズのセンサーを搭載しながら、携帯性を高めたα7の世界。その真価は本レンズで存分に味わえます。
( 2014.01.26 )
フルサイズEマウントの標準ズームとして、最上位のレンズです。あとは懐とご相談を。
雨や埃、傷から前玉を守ってくれる頼もしい存在。ご一緒にぜひ。