PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SEL24240 FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
35mm判フルサイズ対応のEマウント用レンズに高倍率ズームが加わりました。なんと広角24mmスタートで倍率は10倍。たいてい高倍率ズームといえば28mmスタートというのが相場でしたからね。広角から望遠域までこなせるレンズの登場を待っていた方も多かったことでしょう。重さ約780g。全長約118.5mm(ワイド端)。12群-17枚のレンズ構成ですから、それなりにずっしりとした手応えがあります。フルサイズセンサー対応の純正レンズで、しかもたったコレ1本でほとんどの撮影がこなせてしまうことを考えれば、随分とコンパクトに仕上げてくれたなぁというのが正直なところです。最短撮影距離も0.5-0.8mとかなり寄れるところもいいですね。絞り開放からキリッとした像を結び、ズームレンズの割にはなかなかヌケのよい描写を見せてくれます。ボケは背景の距離などによっては少々硬めにでることもありますが、そのあたりのクセをつかんでしまえば後はシチュエーションを工夫すればよいこと。レンズ交換無しに手元の操作で寄ったり引いたりできるのですから、自らの足で多少動きまわってみてもさほど苦にはならないでしょう。身軽に、集中力を途切れさせることなく撮影に没頭できる環境。これ、かなり大事だったりするのですよね。
( Photography : Z II / Text : KIMURAX )
早速、テレ端240mmで狙ってみました。シャツの春らしい色合いから、洗いざらし感のあるシワまで、見事に再現しています。ガラス越しとはいえ、たいへんリアリティのある描写です。拡大してみると、ガラスのフレームやガラス自体に付着しているホコリ(拭きムラ?)までしっかりと捉えています。こういったディテールの描き込みの積み重ねによって、画全体のリアリティがぐんとアップするのです。
日差しもだいぶ弱々しくなってきた頃、最短撮影距離近くで撮影しました。深紅のガソリンタンク、そこへ映りこむ空による微妙な色味の変化まで、見事な色乗りで表現しています。テレ側の被写界深度の浅さもよくわかりますね。
こちらはワイド端。周辺光量落ちはあるものの、大変シャープでヌケのいい描写です。周辺落ちも言わばレンズの愛すべきクセみたいなものですから、上手く付き合いながら作画に活かしてみてください。もし気になるようであればF8あたりまで絞り込んでみるとよいでしょう。ところで、右側の鉄柱に登っている作業員さんの姿が見えますか?高所恐怖症の筆者は想像しただけでゾゾゾなわけですが。ま、とにかくよく解像していることがわかります。
気持ちのいい立体感ですね。AFにはリニアモーターを使用しているとあって速くて静か。高倍率ズームもなんのそのという感じで、サクサク決まります。手ブレ補正もしっかりアシストしてくれるという至れり尽くせりぶりです。
遠景もいいですね。開放でこのキレです。拡大してみると建物の赤錆までしっかりトレースしているのがわかります。
ズーム全域に渡って開放から十分に使っていける頼もしい描写を見せてくれますが、少し絞るとキレがさらに増してくるという印象です。鉄骨1本1本のラインがすっと通り、高倍率ズームとしては望外の描写といっても過言ではないでしょう。
ズーミングするとどのくらいフレームが変わるかご覧いただきましょう。テレ端240mm(左側)、ワイド端24mm(右側)で、ちなみに一つ前のカットは90mm。手持ち撮影だったものですから、厳密には同じ位置からとはなっていないのですが。感覚的にも10倍の違いはお解りいただけると思います。しかしこれはもう便利に決まっていますよね(笑)。 ※サムネイルをクリックで大きな写真をご覧いただけます
フワフワッとした毛並みから、まるで流木みたいな口ばしまで見事に捉えています。すでに、ボケが少々うるさくなる場合もあるとお伝えしておきましたが、こちらはいかがでしょう?テレ端ですが、背景の選び方や距離感に気をつければ、このくらい背景を柔らかく馴染ませることもできます。
面白いように遠くまで簡単に届くものですから、ついついテレ端の画が増えてしまって恐縮なのですが。高コントラストなシーンでも明暗バランスよく切り取れていますね。
欲張ることは、いいことだ。と思わせてくれる高倍率ズーム。
軽量コンパクトなα7に装着しているとあって存在感はたっぷり。フィルター経72mmですからね(笑)。とはいえ、フルサイズ対応の同スペックのレンズと比べたとしてもさほど変わらないサイズ感です。それでいてズーム全域に渡りここまで良好な描写を見せてくれるのですから、かなり完成度の高い高倍率ズームレンズといえます。MFリングはありますがAF/MFの切り替えスイッチも無いため、即座に切り替えるような使い方には向いていないかも知れませんね。ただ、機動性に優れた高倍率ズームですから、じっくりMFでというよりはAFでテンポよく、というニーズの方が高いのでしょう。身軽な機材で済ませたい旅行にも連れ出しやすく、広角から望遠までという守備範囲の広さに加え、スポーツシーンまでこなせてしまうというのですから頼もしい限り。これだけ欲張っても肝心な写りはしっかり。かなりの優等生ですよね。防塵・防滴に配慮した設計がなされており、シーズンを通して大いに活躍してくれる1本です。
( 2015.03.20 )
高倍率ズームレンズの"よくある写り"をイメージしていた方には、いい意味で裏切られるこの写り、さすがソニーが自身を持って送り出すフルサイズ用レンズというだけありますね。
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