PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SAL70300G2 70-300mm F4.5-5.6 G SSM II
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ソニーのAマウント・フルサイズ対応の望遠ズーム、70-300mm F4.5-5.6 G SSM が II型にモデルチェンジしました。人物や風景、スナップにスポーツにと幅広く使え、描写力にも一定の評価を得ていた旧モデル。「Gレンズ」でありながらリーズナブルなことも手伝って、発売から7年の歳月を経ても人気の衰えを見せませんでした。そんな先代からレンズ構成はそっくり受け継いでのリニューアルです。II型となっての主な変更点は「ナノARコーティング」の採用、AFの高速化と精度の向上、動体追尾性能のアップ、防塵防滴への配慮など。"あの"写りはそのままにフレアやゴーストを抑えてさらにクリアな描写となり、それでいて機動性もアップしたのです。これは期待せずにはいられませんよね。
( Photography : Z II / Text : 4beats )
テレ端で人物を引き寄せたい気持ちを抑えつつ、この場所ならではの穏やかな風景の広がりを感じられるようにとズームリングを少しワイド側へ。望遠レンズの圧縮感を活かしながらも、のびのびとした雰囲気に納めることができました。絞り開放でのショットですが、これだけ離れている人物でもしっかりキャッチ。そして遠くの空気の揺らめきまで捉えています。先代の高評価も納得の1枚です。
背景のボケ、そこから浮き立つようにキリリと描かれた人物、そしてさらに手前のボケへと見事な連なりを見せてくれました。焦点距離が中望遠から始まるレンズですから、やはりポートレートにはおあつらえ向きです。焦点距離の割には小ぶりなサイズですので、持ち出す頻度は高くなるでしょう。日常の何気ないワンシーンを残したいときに本レンズをチョイスするのもアリです。
ワイド端といえども70mmですから、ボケを楽しむには十分な焦点距離です。このカットは開放でのショットですが、この距離感ならボケ具合を見ながら絞りを選択する余裕がありますね。ちなみに最短撮影距離は1.2mなのでいろいろと楽しめそうです。
着物や帯の模様を一筋一筋丁寧に再現しており、もはやカメラ側の解像力の限界に挑戦するような繊細な描きっぷりです。コントラストが低い日陰での見事な表現力、カメラとのマッチングの良さもあってのこととはいえ、唸らされます。
重厚感のある描写、たまりませんね。狛犬の存在がリアルに伝わってきます。かなりシャドウ寄りの一枚ですが、潰れそうに暗いところを見てもまだまだゆとりが感じられます。
煤けたレールの上を通過するモノレール。カーブの出口へと差し掛かったところでちょうど光を反射する角度となり、立体感豊かなカットになりました。レンズの動作を制御するLSIの高速化によってAFの速度と精度が向上、その恩恵で動体追尾も従来比で4倍も速くなったとのこと。頼もしい限りです。
飛行機の離発着に夢中のご様子、失礼して後ろから一枚。オレンジ色に染まる光の中でも、バックパックの丈夫なナイロン繊維、綿のTシャツ、そして肌の質感などを丁寧に描き分けています。
そしてこちらが、親子の目線の先にあったもの。流石にこの意地悪な条件ではダイナミックレンジを使い切っても追いつかないくらいの明暗差があります。とはいえ十分すぎる描写だと思うのですが如何でしょう。今回の「ナノARコーティング」への変更はこういったシーンでも効果を発揮しているようです。
解像力の高さ、発色の良さやトーンのなだらかさ、ボケの美しさなど「G」の称号を与えられるだけの実力はダテではありませんね。もともと素性の良いレンズがアップデートされたのですから当然といえば当然なのですが。レンズ構成が変わらないということは先代の性能が高かったことの裏返しでもあり、当時では考えられないほどに解像度が高くなった現在のセンサーにも、十分に通用するだけのポテンシャルが当初から秘められていたことの証でもあります。
カメラとレンズ双方の性能が掛け合わさった結果として写真になるのがデジタルカメラです。本レンズの今回のリニューアルは、レンズ単体としてのみならず、ソニーのαシステムとしてのアップグレードという側面もあるのではないでしょうか。この数年でコーティングやAFのコントロールなど大幅に進歩した技術を旧来の製品に融合させることで、今後リリースされるカメラにも通用する最新のレンズとして生まれ変わったわけですから。今やデジタルカメラの市場を牽引していると言っても過言ではないソニーのαシステム。その中でリニューアルされた70-300mm F4.5-5.6 G SSM II は、今後も長く評価を獲得し続けるレンズとなりそうです。
( 2015.07.06 )
III型にはどんな技術が採用されるのでしょうね。想像を広げながら、まずはII型を使い倒しましょう。
せっかくのGレンズです。「ZEISS」の刻印入り「純正」プロテクターを使うのが良いと思います。