PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SAL70200G2 70-200mm F2.8 G SSM II
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ソニーのレンズラインナップの中で外せない1本といってもいい、明るい大口径ズームのナナニッパ。こちらは、解像感ある描写とボケの美しさが好評だった前モデルをベースに、防塵・防滴化をはじめコーティングやAFなどが改良されたII型となります。ナナニッパといえば各メーカーがこぞって力を注いできたズームレンズとあって、先代より描写性能の完成度は高く、その光学系を活かしながら使い勝手をさらに磨き上げた意欲作です。確かに、絞り開放から柔らかなボケ味を伴いながらシャープな像を結び、そこから2段ほど絞り込めば目のさめるような解像感をもたらすあたりは流石。それなりに値も張りますが、レンズのポテンシャルの高さはもちろんのこと、カメラボディ側の各種補正機能などフルに活用できるわけですから、きっと満足のいく画が面白いように撮れるわけで。ファインダーを覗いたそばからわくわくしながら切り取っていけるのは、これまた実に心地よい限りなのです。
( Photography : M.Ito / Text : KIMURAX )
日中から雨続き。夕刻になってようやく小雨がちらつく程になりました。防滴仕様、明るい開放F値。こんなシチュエーションだからこそ連れ出したくなるスペックですよね。早速ですがボケ味チェック。薄いピント面ですが、前後ともに自然な風合いでボケが発生しています。きらめく玉ボケの輪郭は適度に保たれ、徐々に色味が後退していく様もなかなかの趣です。
濡れそぼる傘、傘、傘。光量の少ないシーンですからアンダー気味に、テレ端の圧縮効果を活かして切り取ってみました。背景の柔らかいボケとは対照的に、フォーカスした被写体の解像度は高く、手前で霞む赤い差し色に負けないほどの存在感を示しています。絞り開放から頼もしいシャープな描写。高感度に振った撮影ですがカメラ側の性能を差し引いても、しっとりとした空気感をここまでクリアに描く表現力に感心させられました。
F8まで絞ったカットも押さえたのですが、F5.6ですでに十二分なシャープさ。等倍で見ても満足のいく切れを見せてくれました。少々切り詰め気味の露出ですが、ハイライト部分の描写も品よくまとめています。
どうしてもヘイズがあるため釈然としないビル群ですが、ズームレンズとしてはかなり抜けのよい画をもたらしてくれています。テレ端200mmですから、いろいろとF値をいじって被写界深度の変化を楽しむのもいいでしょう。
絶え間なく動くわけではないのですが、こちらの視線を感じてか落ち着かない様子。気まぐれな動きを繰り返す表情に、AFは小気味よく反応していました。重量感のあるレンズですから鏡胴を支点にして構えるわけですが、カメラボディとのバランスもいい塩梅。手持ちでグイグイ振り回せば苦になるどころか、気分ものって来るのでテンポよく撮影が進むのです。
暖簾の生地の風合いまでもがきちんと感じられます。やわらかい立体感があり、それでいて細部まで丁寧に解像しているあたり納得です。
最後の最後になってしまいましたがワイド端の画を。開放からしっかりとシャープな写りを見せながらも、決して硬くなりすぎない描き込み。そう、バランスがいいのです。ポートレート撮影には打ってつけの描写といえるでしょう。色乗りがよくメリハリもあって、情報量もたっぷりあるなという印象です。さあ、テレ端からスタートしてワイド端までの画をひと通りご覧頂きましたが、全域に渡って良好な描写力を発揮してくれることはお分かりいただけたと思います。ソニーの高性能レンズにのみに与えられる“G”の称号を冠しているのですから当然といえばそうなのでしょうが。各リングとも適度なトルク感を伴いながらも、スムーズに操れるのでフィーリングのよさは格別。AFも静かに素早く駆動し、精度も高いので面白いように狙い撃ちできました。いい道具は、撮るものをその気にさせるものですから、ついつい惚れてしまう。いや、ホント困ったものです懐具合も…。でも、やっぱり欲しいものは欲しい。そうなるものですよね。
気合いの入ったF2.8通しの望遠ズーム。2型となったこちらのレンズはナノARコーティングを採用し、クリアでヌケのよい描写はさらに磨きがかかっています。買うにも気合いのいる価格ですが、相応の満足が待っているはずです。
前玉はかなりのサイズ。フィルターでしっかり守りましょう。純正品はT*コーティングです。