PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Kenko Mirror Lens 800mm F8 DX
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
長く、重たくなりがちな超望遠レンズ。その光学系に鏡を用いることで、大幅なサイズダウンと色収差の抑制という二種類の利点を同時に獲得しているのがミラーレンズです。ソニーのAマウントでは、ミノルタ時代から受け継がれた500mm F8 Reflexが有名でした。ミラーレンズでありながらAFを可能にするという、常識を覆した唯一の存在だっただけに生産完了を惜しむ声が多く聞かれました。その代わりというわけではありませんが、Kenkoからリリースされている400mm、500mm、800mmから、本レビューでは最長となる800mmをご紹介します。汎用のTマウントから、変換アダプタを用いることでAマウント・Eマウントどちらにも対応可能です。なお、α77とNEX-5N(どちらもAPS−Cサイズのセンサーを搭載)で撮影を行っていますが、レンズ自体は35mm判フルサイズ対応。α99やα7等の機種でもご利用いただけます。
( Photography : K & M.Ito / Text : 4beats )
解像感はカリカリとまではいかないのですが、それでもよく写ると思いませんか。ピントピークは帽子に巻かれた水色のリボンに。きちんと繊維が見て取れます。逆に少しでもピントが外れると、とたんに柔らかな優しい描写になります。
大胆にボケを利用するのは超望遠レンズの使い方の一つです。800mmの焦点距離ともなると、ボケ具合もかなりのものになります。
マニュアルフォーカスですので、置きピンでの撮影も多くなりそうです。超望遠レンズですから、いつもよりシビアにピントを決定してシャッターを。その分、バッチリ決まったときの気持ち良さは一入です。
被写体と距離によっては二線ボケになるのはミラーレンズの性質の一つ。気になる場合もあるかもしれませんが、避けるばかりでなく積極的に作画に取り入れるのもアリではないでしょうか。
ミラーレンズでの撮影で一番の特徴となるのが、リング状のボケです。光源など点状の被写体をアウトフォーカスにするとこのようになります。この独特のボケをうまく画作りに活かすことは、ミラーレンズを扱う上でのキモとなります。
いかがでしょう、ミラーレンズは。超望遠の極めて狭い画角と、独特なボケ。この二つだけでも撮影がずいぶんと楽しくなりそうです。ミラーレンズの大きなメリットとして、可搬性も取り回しも非常に良いことが挙げられます。同じ焦点距離の"通常の"レンズと比較するとサイズも重さも半分より大きく下回っているのです。持ち歩いてカメラに装着してフレーミングをするという一連の流れが、超望遠レンズとは思えないほど軽快なものになります。逆に、デメリットとしては絞りが固定になることと、マニュアルフォーカスになることでしょうか。とはいえ、開放値はF8ですから高速側のシャッターが不足することは滅多にないでしょうし、光が足りなければ感度アップで対応できます。ピント合わせも拡大表示などを併用して精密に合わせることが可能。高感度に強く、高精細なモニターやEVFを搭載しているソニーのデジタルカメラであれば何ら臆することはありません。そしてソニーでは多くのボディに採用されている手ブレ補正機構が、場合によっては手助けをしてくれることもあるでしょう。デジタルカメラの時代だからこそ、ソニーのボディだからこそ、ミラーレンズを堪能できそうですよね。本当に軽快な800mm。今まで超望遠域に興味がなかった方でさえ、夢中になる可能性大です。
( 2015.12.16 )
ずんぐりとしたルックスですが、800mm F8の口径としては決して太いわけではありません。こんなに軽快な超望遠、他にありません。
専用フードは別売りとなっております。
こちらはEマウント用アダプター。マウントアダプターを介して、様々なマウントでお愉しみいただけます。お手頃な価格ですから、お持ちのマウント用を全部揃えてしまいましょう。
Aマウント用の変換アダプターです。