PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY QX1 / SHOOTING REPORT
レンズスタイルカメラという意欲的な製品の面白さはQX10/QX100のレポートでもお伝えした通りですが、なんとAPS-Cセンサーとマウントだけを用意してしまったのがこのQX1。レンズマウントはEマウントということですからNEX/αシリーズの各種レンズを装着して、お望みの画角や描写性能が得られることになります。大きなセンサーに由来するリッチな画質に、広角・望遠・マクロまで自在な画角が選べるとすれば、本製品の可能性はまさに無限大。使い手の想像力を刺激するこのアイテム、はたしてどんな楽しみ方ができるのでしょうか。
( Photography : A.Inden & 4beats / Text : 48 )
軽量コンパクトなボディに、お好みのレンズを装着して
キットレンズとなるE PZ 16-50mm/F3.5-5.6 OSSとの組み合わせは、ご覧のようにコンパクト。一眼レフの感覚からすると、本体を含めても「小さめのレンズ1本」といった感覚です。色々なレンズをつけてみたいボディではありますが、携帯性や機動力を存分に活かすという意味で、素直にこの組み合わせからスタートするのが良いのではないでしょうか。ふつうのカメラとは違って「さてどんな視点から撮ってみようかな」という気にさせるのが、QXシリーズの魅力ですね。
2000万画素のAPS-Cセンサーを搭載して、表現力はぐっと幅が広がりました。このクオリティを得られるのであれば、手にしてみたいと思う方も多いでしょう。解像力はもちろんですが、ボケを期待できるのもある程度のセンサーサイズがあればこそ。求めるなら本気のレンズはいくらでも存在しますし、キットズームもなかなかの描写力です。
なんということもない写真なのですが、日常のふとした光景を収めるには十分以上の写りです。APS-Cセンサー搭載カメラとして最もコンパクトな部類ですし、立ち上がらずとも腕を伸ばして自在な視点が得られるのはQX1ならではの特長。いつものカメラのように使おうとするのではなく、目線を自分自身から分離できるデバイスであると考えてみると、その類まれな可能性が見えてきます。自分の頭、そして目がある場所から、物事を眺める必要がないのです。
キッチンを上から写してみたらどうだろうと思って、ターンオーバーの目玉焼きをつくるプロセスを撮影。キットレンズを含めて軽量なので、ちょっと工夫すれば色々な場所に据え付けることができます。調理の様子を動画で撮影する、なんていう使い方もできますし、昨今賑わいを見せる動画投稿の世界でも見逃せないアイテムではないでしょうか。(蒸気や煙、熱の影響を受けないよう、カメラの設置には十分ご注意ください)
マウントアダプターを介すと、様々なレンズを使えるのもEマウントの魅力です。オールドレンズを組み合わせてみるなんていう遊びにもピッタリですね。上の図はライカMマウント用のアダプタに、LMリングを挟んで、Leitz Summaron 3.5cm f3.5をマウントしたもの。半世紀前のコンパクトなレンズが最新のユニットと組み合わされる様は、妙にワクワクさせられるものです。
現代のレンズに比べるとコントラストは弱く、なんとも言えないやさしい描写が魅力的です。Eマウントにもレンズが揃ってきていますが、マウントアダプタを組み合わせた選択肢の広さは特筆モノで、これを楽しまない手はありません。
こちらはLeitz Telyt 560mm F5.6。長いレンズに装着すると、もはやどこがカメラ本体なのかわからなくなりますね。ファインダー用のスマートフォンをつけて脇をしっかり締め、構えた時の気分はまさにスナイパー。840mm相当の手持ち撮影にチャレンジです。
...さすがに少々無理がありました。お遊びとしてご笑覧ください。
写真撮影の可能性を拓く、革新的なデバイス
写真を撮るという観点だけで言えば、長い歴史を重ねてきたカメラの形状には合理的な理由があり、解はある程度収束してきていると言えます。カメラに搭載されたファインダーを肉眼で覗くスタイルは、身体感覚の延長としての撮影を可能にし、今後も写真撮影の王道であり続けるでしょう。QX1に興味を持つ方の多くは、そういったカメラを既にお持ちではないかと思います。
しかしそれは、私たち自身の "手" で撮影する場合の話。QX1が拓くのは、人類の身体に制限されない撮影の世界です。
どこかに固定してみて、どんな画が撮れるか試してみる。最初はそんな遊び方からはじめてみると良いでしょう。本体を固定するのではなくリモートで動かせるなら可能性はさらに広がりますし、機械が得意な方ならもうそんなアイデアをお持ちかもしれません。様々な産業の現場にも活躍の機会があるでしょうし、風景写真などの世界においても「人の足では辿りつけなかった視点からの撮影」が実現できそうです。用途に合わせたレンズを用意すればいいのですから、必要に応じた撮影ユニットを自分で作り上げることができます。
このような面白い製品を誰もが手にできることに、期待と興奮を覚えずにはいられません。
「まだ見ぬ写真」は、きっとこのようなカメラから生まれるのです。
( 2015.02.06 )
いわばファンネル。組み合わせるレンズによってこなせるミッションも変わります。ニュータイプの貴方なら、どう使いこなしますか?
キットズームは不要、という潔い方にはボディ単体をどうぞ。お手持ちのレンズと組み合わせてください。
ストラップのついた純正キャリングケースもあります。昔のレンズケースを思わせる洒落た仕上がりですね。
電池切れの不安を抱くより、予備のバッテリーを持ち歩きましょう。アクティブに使う方にはぜひ。
急速充電可能なチャージャー。3種のバッテリーに対応しており、ソニー製品ユーザなら便利な逸品です。
十分な容量とハイスピードで、動画撮影にもピッタリ。メーカー純正というのも安心ですね。
色々な場所に設置するのに役立ちました。装着するレンズ次第ですが、ちょっとした三脚があるだけでも撮影の自由度が広がります。
Aマウントレンズをお持ちの方なら、ぜひこのマウントアダプターを。立派なレンズに装着するほど、ニヤニヤしてしまいますよ。