PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY α7 II / SHOOTING REPORT
ソニーが元気です。フルサイズ対応Eマウントボディのα7が、発売から1年を経過してα7 IIへとアップグレード。目玉はボディ内に光学式5軸手ブレ補正機構を搭載したことで、EマウントレンズだけでなくAマウントレンズも含めた数多くのレンズでその恩恵を受けることができます。装着したレンズの焦点距離を設定することができますから、電気的接点を持たないレンズ、例えばマウントアダプタを介して使うオールドレンズなどにも活用できるということ。この一点だけでも、レンズグルメ垂涎のボディになることは間違いありませんね。ボディの形状にも様々なアップデートが見受けられますから、ひとつひとつ確認していきましょう。
( Photography : Z II / Text : 48 )
使い勝手を向上させる、細かなインターフェイスの変更
ボディに大きな機構を取り入れたこともあり、ボディサイズは従来モデルより少し大きくなりました。目に見えてわかるのはグリップが前面に伸びたこと。厚みも少し増していますが、元々がコンパクトなボディだったということなので十分にスマートなボディだと思います。グリップのトップにシャッターボタンが、前面にダイヤルが移動されていますが、これは写真を撮り慣れている方にはうれしい変更でしょう。レンズマウントやファインダー部もセンター寄りになり、Aマウントボディのような、すなわち "一眼レフ的な" コンセンサスに近づきました。本気で写真を撮影しようとする人が手にするのなら、やはりこのような形が正解になるのだと思います。
上から見ると、両モデルの違いがよくわかると思います。左がα7 II、右がα7です。グリップ部は単純に出っ張ったというよりは形状が変わっていますね。背面側、ちょうど親指があたる部分の突起も少し大きくなり、ホールディング性は明確に向上しています。シャッターボタンの移動によってカスタムボタンがひとつ増えると共に、細かなパーツがブラックで統一されました。
背面を見比べても、基本的なボタンは踏襲されていることがわかりますね。背面上部、ズームのマークが描かれた箇所のダイヤル形状にも変化があるのがお分かりになりますでしょうか。前面のダイヤルを含め、より実用的・実践的な方向に進化していると感じます。
ボディ形状や手ぶれ補正機構の搭載他、細かな変更はありますが、写りはα7シリーズそのものと言った印象です。濃厚ながら決して作りすぎていない発色や豊かなトーンを見て「やっぱりいいよなあ、α7シリーズの画は」なんて、思わずニンマリしてしまいました。
もちろん解像感や立体感も相変わらず。光の乏しい中でもこれだけしっかりと一枚一枚の葉を分離しているのですから、感心するばかりです。
雨粒をまとった小さな赤い実、緑の葉。冬へと向かっていく日々の気温の変化まで刻み込まれているようです。
逆光耐性の強さも相変わらず。もちろんZEISSレンズの良さも手伝ってのこととは思いますが。影になっている幹や枝の中にも階調がちゃんと残っているのは、見ての通り。撮って出しのJPEGを後処理で無理矢理持ち上げてみてもイヤなトーンにならないばかりか、しっかりと解像していることが判り、ホントは16bitくらいで出力されているのではないかと疑いたくなるほどに階調が豊かです。
暖かい場所を見つけてはゴロン。昼寝の邪魔をするなとばかりに片目で睨まれてしまいました。この距離からでも毛並みが判るのはやはりSonnarの135mmというレンズの力もあってのこと。ラインナップに多くのZEISSレンズがあるのはソニーのカメラの強みですよね。トップクラスのボディとレンズの組み合わせで、撮影のテンションも上がりっぱなしです。
Sonnar T* 135mm F1.8 ZAとの組み合わせ、やっぱりイイですね。衣擦れの音まで想像できそうなくらいに、帽子や上着、ズボンなどの質感がよくわかります。特に黒い上着のなかの起伏を表現する「少しずつちがう黒」の描き分けが見事です。
何重にもガラスが透過と反射を繰り返す、その向こう側まで感じ取れるくらいにリッチなトーン。空の色を受けたガラスが、平面的になることなくたくさんの青いトーンでが描かれています。
階調が豊かだからこそ、こういった少し柔らかな空間もきちんと捉えることができるのです。皿やカトラリーに映り込んでいる緑がかった光は、優しい雰囲気のお店をそのままに捉えています。
さて、α7 IIの最大の目玉である「5軸ボディ内手ブレ補正機構」を試さないわけにはいきません。敢えて感度を上げず、手持ちで暗い店内の撮影にトライ。コツが要るのか、打率10割とはいきませんでしたが、このカットは1/8秒でブレずに撮れました。最大4.5段分の補正効果があるとのことで、感度を上げたくないときには大変有り難い機能ですし、何よりレンズを選ばないというのが嬉しいですよね。
太陽の強い光から、破綻することなくグラデーションが連なり空を描ききっている様は本当に素晴らしいですね。JPEG撮って出しのままでこれだけの画が出せるのですから、RAWから現像で追い込むことも少なくなりそうです。
写真をたくさん撮る方にこそおすすめしたい、進化を遂げた α7 II
手ブレ補正機構の搭載が大きな目玉である本機ですが、使っていると細かなアップデートがじわじわと効いてくるという感覚で、着実な進化を感じ取ることができました。握った瞬間には剛性が増したことが、グリップ形状の変化からはホールディングがより安定したことが判ります。指先の感触でダイヤルの判別が可能になっていたり、表面の塗装や細かなデザインの違いから、これまで以上に細部にまで配慮が行き届いていることにも気付くと思います。シャッター音は少し静かになり、ショックも和らいでいる印象です。またシャッターボタンの位置というのは1つ1つのカットに影響するわけですから、このあたりがより自然なフィーリングで使えるというのは大きなポイントと言えます。一眼レフをメインに使ってきた方にこそ「そろそろ"α7"に手を出してみようか」と考えさせるボディになっているのではないでしょうか。Eマウントはマウントアダプターを介して様々なレンズを装着できますから、銀塩カメラのレンズ資産をお持ちの方にも魅力的な世界。人によって、このカメラが欲しい理由は異なるかもしれません。
純正のレンズやカールツァイスブランドのレンズなども揃ってきて、いよいよ本格的なシステムとなってきたα7シリーズ。FEレンズの開発ロードマップを見ても、今後の展開にワクワクしてしまいます。そろそろ「決断」の時なのではないでしょうか。
( 2014.12.07 )
今やフルサイズセンサーの世界を堪能するための、最良の選択肢のひとつになりました。貴方の消費が、日本の経済を支えます。
縦位置グリップをつけると途端にフラッグシップの風格が漂うから不思議ですね。バッテリーパックを2個装着して、残量の少ない方から使用するという芸の細かさは流石の一言。一度試していただきたいオプションです。
α7をはじめるなら、ぜひセットでお買い求めください。FEマウントを代表する名玉。これを使わない手はありません。
もちろん標準ズームもお忘れなく。こちらはF4通しの少しコンパクトなZEISSレンズです。
今回の作例撮影で使用した135mmはこちら。Aマウント用フルサイズ対応の単焦点レンズです。Aマウントの良いレンズも、ぜひ使ってみてください。
Aマウントレンズを使うにはこのアダプターを。モーター内蔵でAFもキビキビ動作します。
バッテリーの予備があれば、旅行などでも安心。消費が激しいわけではありませんが、ついシャッターを切りたくなるボディですので、ぜひお一つご準備を。
バッテリーチャージャーはやはり便利ですよね。ご自宅に、仕事場に、鞄の中に。本体には付属しませんので、まずはおひとつどうぞ。
高精度なフルサイズ対応ヘリコイド付きマウントアダプター。最短0.7または1mのライカレンズで接写が可能になります。
純正の液晶保護シートはセミハードタイプ。指紋が付きにくく、自動輝度設定機能にも対応。