PHOTO YODOBASHI
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SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
シグマの「18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary」は、ペンタックスKマウントに装着することで35mm判換算広角28mmから望遠307mm相当の画角をカバーし、マクロ撮影までこなせる高倍率ズームレンズです。メーカー曰く「シグマが考える新しい標準ズーム」。つまりこれまでの24-70mmや24-105mmといった「広角から中望遠」くらいまでの画角も良いけれど、これからは「広角から、ちゃんとした望遠」までのレンズを標準ズームと考えてもよいのでは?ということなのでしょう。「そうは言っても、冷静に考えればマクロ付きの高倍率ズーム、そんなに欲張ってホントにちゃんと写るの?」と疑いの眼差しを向けたくもなりますよね。作例をご覧ください。良い意味で裏切られます。
( Photography : Z II / Text : 4beats )
砂の粒、一つ一つをしっかりと解像しています。絞りはほぼ開放ですから実力の高さがお判りいただけるでしょう。またベンチの座面が反射する、微妙な空のグラデーションの捉え方も見事ですね。
雨上がりの路面はさまざまな演出をしてくれていますが、露出補正一つで仕上がりが大きく変わるシチュエーションでもあります。ここではアンダーに振ってみました。暗く影が複雑に絡み合う中にトーンがきちんと残っており、ボディ側のダイナミックレンジにしっかりと対応できていることがわかります。
中望遠域でのカットです。複雑な被写体を前後にボケとして配置しました。なだらかに柔らかくボケており、アウトフォーカスも安心して作画に活かせることがわかります。
自転車で颯爽と走り去る少年は、気付いたときにはそれなりの距離に。テレ端300mm相当までズームしてもアップにはできませんでしたが、それでも一般的な標準ズームではとても追いつかないシーンが、このレンズ一本で対応できるということに大きな意義を感じました。
決して光量に恵まれたシチュエーションではないのですが、一つ一つのモノがしっかりと立体感をもって描写されています。手前にある車のツヤツヤした描写もイイですよね。こういった直線を含む被写体では歪曲収差が見受けられますが、現像時に補正すればこのように良好な結果となりますので気にすることはないでしょう。
マクロ機能も装備、最短撮影距離は39cm、最大倍率は1:3。レンズ先端からは約15cmの距離まで被写体に寄れますから、グイグイといろんなモノに迫ってみましょう。
もちろんテーブルフォトだってOKです。これだけしっかりとした描写力があれば「あのときの、あの美味しさ」も確実に思い出せそうです。
いかがでしょうか「新しい標準ズーム」は。28mm相当の画角からスタートし、レンズ交換することなく300mm相当まで引き寄せることができるとなれば、機動力は相当なもの。しかもこれだけしっかりした描写力が備わっているのです。もはや"レンズ交換式ボディ"の意義さえ揺るがしかねません。どうやら我々の頭に刻み込まれた「標準ズーム」の定義を上書きする必要がありそうですね。発色の良さと豊富なトーンはペンタックスのボディとの親和性の高さを感じさせてくれました。さらには300mm相当までの画角を得られるとは思えないほどのコンパクトさ、軽量さもボディとマッチしてくれます。ボディにつけっぱなしにできる高倍率"標準ズーム"、この一本で可能性は無限に広がりそうです。
( 2015.11.17 )
開放からしっかり解像、絞ればより鮮鋭度は高く。11倍ものズーム倍率ながらこの描写力があれば、一本でどこへでも出かけられます。
保護フィルターもシグマ製でどうぞ。Cのエンブレムはありませんが。