PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
PENTAX 06 TELEPHOTO ZOOM
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ペンタックスQシリーズ向けの望遠ズーム。フルサイズ換算で83-249mm(Q7装着時は69-207mm)相当の画角をカバーし、ズーム全域でF2.8通しという明るさを実現しています。望遠時でもシャッタースピードが稼げるというのは魅力的です。沈胴機構を採用し、大口径ながら全長56mm、外径50mm、重さ約90gという軽量コンパクトぶり。「02 STANDARD ZOOM」の全長より僅か8mm長いだけで、重さは6g軽くなっているというのですから、よくここまでまとまったなと正直驚きました。この他の交換レンズはどれもが極めて小さいものばかり。全種を鞄に入れっぱなしにしていても苦になりませんし、そこに本レンズが加わってもノープロブレムでしょう(笑)。光学系にはEDガラスを2枚に、異常低分散ガラスを1枚使用。えらくコンパクトなサイズなのにズーム中に鏡胴の伸長もありません。またAFでの合焦後、切り替え操作なしでMFにできる「クイックシフト・フォーカス・システム」を採用しており、ピントの追い込みもスムーズ。もうとにかく小回りが利くので、スナップ気分で望遠撮影にのめり込むことができる、ちょっと不思議で楽しいレンズです。件の「02 STANDARD ZOOM(5~15 mm)」とは焦点距離も繋がっているので、この2本さえあれば広角から望遠撮影まで賄えてしまうので、ぜひとも揃えたいところです。
望遠ズームで最も気になるテレ端での撮影。光が十分に回らないシチュエーションでしたが、シャドーエリアもペタンと潰れることなく、じんわりと奥行きを感じさせてくれる描写です。階段のまだらに剥げた塗装。そこから透けてくるコンクリート。統一感の無いパテによる補修痕。あるがままの質感と色合いを、忠実に再現しています。
中間域では、開放F値の明るさを活かしたスナップ撮影もいいでしょう。ゆるやかに波打つレトロガラス越し。豊かな曲面を有するクラシカルな照明を、ピント面ですっきりと写し込んでいます。絞り開放ながらなかなかのものです。
カメラ側のセンサーサイズに制約があるものの、背景との距離差を確保すればそれなりにぼかすこともできます。これならポートレート撮影にも、多いに活用したいところ。
絞り開放ながら、表情豊かな樹皮のディテールまできりっとシャープに描き込んでいます。コントラストもほどよく、シャドーエリアの急激な落ち込みも少なく、リアリティのある撮像です。
標準ズームと揃えれば、充分な画角をカバーできるシステムになります。交換レンズを持ち歩いても、鞄を圧迫することはないでしょう。あと一歩、と現場で悔しい思いをする前に。
望遠ともなるとフードが欲しくなるもの。細かな装備が、写真のクオリティを変えてくれます。