PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Tokina FíRIN 20mm F2 FE MF
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
フォトキナ2016でお披露目され話題となっていた、「FíRIN 20mm F2 FE MF」(フルサイズ対応・ソニーEマウント)がいよいよ登場します。シグマ、タムロンに続いて、いよいよトキナーも高級・高画質レンズシリーズを展開するとあって、その画に対する期待は当然ながら高まります。言い換えれば、FíRINシリーズの登場が、トキナーレンズのターニングポイントになるといっても過言ではないと思うのです。その最初の一本が、マニュアルフォーカスでクラシカルなスタイルというのも、レンズ好きには唆られる要素満載。まずはソニーEマウントからの展開とのことですので、今回はソニーα7Rに装着してのテストを行いました。20mmという超広角、マニュアルフォーカス。一般的には条件を選びそうなレンズですが、その使い勝手や描写はいかがなものでしょうか。実際の作例を見ながらご確認ください。
( Photography & Text : T.Nakanishi )
FíRINは、アイルランド語の Fírinne「真実」を由来として名付けられたとのこと。カメラが超高画素時代に突入し、レンズに求められるレベルもとてつもなく高いものになりました。その場の光を可能な限り忠実にセンサーに届ける。レンズの仕事を考えると至極当然のことなのですが、それを言い切れるのも、また勇気がいるものです。楽しみなシリーズが登場しました。
日没間際に新宿の高層ビル街をシューティングしました。このような被写体を撮ると、レンズのキレ味が如実に現れます。ファインダーで覗いていても実感する高画質。撮って、液晶で拡大して悦に入る。なかなか良いではありませんか。
トーン表現もご覧の通りです。強く照らされた窓のディテールをしっかりと描きつつ、画面右側に吊るされた布の模様まで克明に描写。また、画面周囲で画が乱れることもなく、シャープに解像していることにも驚かされます。
開放F2での撮影を中心にテストを行いましたが、周辺減光は幾分あるようです。しかし、筆者的にはこの落ち方は大歓迎。お嫌いな方は、現像時に綺麗に補正できますので、心配はご無用です。
CPUと距離エンコーダを搭載しており、MFアシスト機能が使えますから、撮影時に不便を感じることもありません。フォーカスリングのトルク感も、滑らかでありながらも適度な抵抗があり、非常に使いやすい印象を受けました。
周辺の雰囲気を写しこみながらも、滑らかにボケていく感じがいいですね。20mmならではとでもいいましょうか。望遠系の閉ざされたフレーミングとはまた異なり、余裕のある世界観です。
この赤の表現力、いかがでしょうか。周辺が落ちている分、より印象が強まっているように感じますね。
現代のレンズの基本とトレンドをバランスよく両立したトキナーの意欲作
FíRINシリーズ第1弾となる20mmの世界、いかがでしたでしょうか。筆者の感想としては、いやまあ良く写るなあ、というのが正直なところです。画質にこだわった最新の設計なわけですから、それなりに写るだろうことは予想していました。しかし、その結果は想像以上のもの。「真実」を写しているかどうかは、写真論的な問題も絡んでくるのでここでの明言は避けますが、リアルな描写を持っていることは間違いありません。ピントピークは素晴らしくシャープに描きつつ、ボケも滑らかで美しい。現代レンズの基本をしっかりと踏まえつつ、デザインやコンセプトも今のトレンドを十二分に意識したレンズとして仕上がっています。ミラーレス機を念頭に置いたシリーズとのことで、Eマウント中心のラインナップになることが予想されますが、ソニーユーザーにとっては気になるシリーズとなりそうです。まずは20mmから、トキナーが生み出した新しい世界に触れてみましょう。
( 2017.03.30 )
フルサイズセンサーに対応した大口径の単焦点広角レンズ。贅沢な硝材を採用し、超広角ながらも球面収差、歪曲収差をしっかり補正。のびやかなランドスケープの撮影を楽しみつつ、ボケを生かしたショットにもトライできます。
いいレンズにはいい保護フィルターを。フローティングフレームシステム採用。特殊弾性緩衝材によってフィルターガラスへの負荷がゼロに近くなっており、4K、8Kといった高解像度のカメラにも対応します。