PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
HD PENTAX-DA 16-85mmF3.5-5.6ED DC WR
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
35mm判フルサイズ換算で24.5~130mm相当の画角となるズームレンズです。ズーム倍率約5.3倍でワイド側テレ側ともに標準ズームとしては一段と幅が広く、超ワイド域からもう一歩というところの130mm相当までカバー。これ一本で日常スナップから風景写真までなんでも撮れてしまいそうな、非常に使い勝手のいいレンズです。 F値はワイド端F3.5からテレ側でF5.6と大きなボケ味を楽しむレンズではありませんが、PENTAX独自のHDコーティングによるコントラストのあるクリアな描写で、PENTAXボディの高い解像力を活かすバランスのいい魅力的な標準ズームレンズだと感じました。それでは作例をご覧ください。
( Photography & Text : T.Takahashi )
ワイド端での撮影。35mm判フルサイズ換算24mm相当となると、パースペクティブの表現も一段と伸びやかです。白い壁に映る柔らかい木の影や、空に伸びる木々も周辺までしっかりと解像しており、コントラストは高く暗部のディテールも崩れることなく描かれています。
歴史を感じさせる門です。奥に見える白い壁や木の葉のボケに対し、緑青に覆われた銅の質感や、木目一本一本まで見事な立体感があります。ズームレンズでここまで良く写してくれるのはPENTAXボディの高い解像力もあってのことですが、すばらしい写りです。
テレ側、開放での撮影です。枝の立体感や円形絞りがもたらすボケがきれいに調和していますね。高倍率ズームですが最短撮影距離は35cmと短く、ご覧のように背景をぼかすことも出来ます。積極的に活用したいものです。
暗い竹林でしたが感度を上げず開放気味で撮影しました。隅々まで高い解像度で暗部にも階調があり、竹の葉一枚一枚まで描かれています。非常に立体感も感じられますね。
颯爽と坂を駆け上がる人力車に思わずレンズを向けました。テレ側でのAFスピードも十分で、バランス良く捉えることが出来ました。130mm相当の画角は、街中スナップで切り取る視線に近く、写真としても成立しやすい画角だと感じます。
金色にタングステン光の赤い発色がいいですね。花の描かれているディテールまでしっかり表現されています。
寄れるレンズはテーブルフォトも楽しくなりますね。タングステン光と外光のミックス光を見たままの色合いで再現してくれました。
絞り込んだことにより、拡大して見ても波のディテールまで緻密な描写が得られました。倍率の高いズームレンズでありながらテレ側の描写も非常に解像感があります。
日の落ちた街並みをISO3200の高感度で撮影。僅かに残る空の光をしっかりボディに伝え、美しいブルートーンで写し出してくれました。おかげで夕暮れスナップも気持ちよくこなせました。高感度でも変わることなく階調を感じます。
交換レンズが程よくラインナップされているPENTAXのKマウントにおいて、本レンズは非常にバランスのいい高倍率標準ズームです。F値こそ抑え気味ですが、超広角域から望遠域までどの焦点距離においても高い解像力を持っています。色味の再現も派手すぎず見たままの色合いを再現し、質感の表現も見事です。HDコーティングはコントラストも高めながらつぶれることなくクリアな描写を可能としています。日常のスナップから遠景撮影まで万能な一本ではないでしょうか。また悪天候など撮影が厳しい条件下ではどうしてもレンズ交換は躊躇われます。そんな時でも超ワイドから望遠まで捉えることの出来る当レンズは頼もしい存在となるでしょう。もちろん防滴仕様でもあり、同じく防滴構造のPENTAXボディとの組合せでは過酷な環境下での信頼性も高まります。24mmから130mm相当のズーム域に独自の高性能HDコーティングなど、キットレンズなどからのステップアップに魅力的なレンズです。
( 2015.07.13 )
大抵の写真は撮れてしまうスグレモノ。望遠や超広角をお持ちなら、標準域は本レンズ一本に任せてしまうのもテですね。
16-85mmの前玉は傷や汚れに強いSPコーティングが施されていますが、それでも念のため保護しておきたいですよね。