PHOTO YODOBASHI

Mount Adapter FTZ

千本ノックも残すところ、、、申し訳ございません。球切れです。。。今回をもちまして、一旦お休みさせていただくこととなりました。そのお詫びというわけではございませんが、今回はアダプターそのもの、Zマウントシステム用のマウントアダプターの中でも主役の純正品である「FTZ」について、あらためてご紹介いたします。実は前回のレンズ開発者特別インタビューの際、FTZについても色々と興味深いお話を伺うことが出来ました。今回はその内容をもとに話を進めてまいります。(TAK)

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ZシリーズのメインレンズがNIKKOR Zであることは言うまでもありませんが、Fマウントのレンズも使えることがZシリーズ開発時の絶対条件だったとのことです。ニコンの方とお話をする度に出てくる言葉の一つに、「互換性」があります。Fマウントの頃から頑なに守ってきた互換性は新たにZシリーズを出す際も、FTZによって継承されたのです。ちなみに互換性を評価したレンズの数は約360本。ニコンならではのとてつもない数です。AFレンズだけをとっても駆動用のモーターには超音波モーターやステッピングモーターがありますし、絞り制御も電気的に行うものもあれば機械的に行うものもあります。また、手ブレ補正機構(VR)が搭載されたレンズはボディ内VRと連携して機能するようにしなければなりません。こういった違いを全て引き受けるということが、どれだけ途方もないことか。設計の「せ」の字も知らない私でも想像はつきます。

FTZ以前にも、ニコンはデジタルカメラ用のマウントアダプターを作っています。1インチセンサー搭載のニコン1シリーズに、Fマウントを装着する「FT1」ですね。ただしFT1の場合、サイズの大きいマウントを小さい方のマウントに装着するということで、まだ作りやすさはあったわけです。もちろん、だからといって基準を下げたりすることは一切許されなかったと思われますが、Zシリーズの場合は逆のパターンですから難易度が更に上がったのです。結果はご存知のとおり。FTZ経由でFマウントレンズを使ってみても、Dシリーズのカメラで撮っている時と何ら感触は変わりませんし、画質においても最新処理エンジンやボディー内手ブレ補正のおかげで、「こんなに良く写ったかな?」と驚かされることもしばしばです。

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信頼性や作り込みも「さすがニコン」ですね。長いレンズを装着してもまるで一本のレンズのようなソリッドさで、アダプターを挟んでいることを意識するようなガタツキやしなりもありません。マウント自体の工作精度に関しても、これの出来が悪いとピントが合わなくなる可能性もあるのだそうです。特に内焦式のズームレンズになってくると、真ん中は合っても周辺の劣化が激しくなります。とても厳しい基準で精度を担保しなければならなかったとのことです。

三脚座については様々な意見がありますし、特にあの「出っ張り」がレンズによっては干渉するという報告も聞いています(ニコン製のマウントアダプターに限った話ではありませんが)。しかし実はあの中には、モーターや基板が入っているのです。自動絞り連動レバーの動作を、高い精度を保ちながら高速で行うためのデバイスです。基板自体にも高性能なCPUが入っているとのこと。システム自体が異なるZマウントとFマウントでは、言ってみれば使用言語も違うわけです。つまり、この基板はZ語とF語の同時通訳もやってくれているのです。

この「出っ張り」の理由はカタログには明記されていないのですが、「もっと高らかに謳ってもよいのでは?」と思うほどに、大変重要なことなのです。ひょっとしたら、「当たり前のことをやったまで」という理由であえて触れていないのかもしれません。まあ、確かに作る側の気持ちに立ってみると、「こういう物が入っているので、出っ張りは我慢してね」なんて、逆に恥ずかしくて言えなかったのかも、、、あくまで外野の推測の域を出ませんが。

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ニコンの「当たり前」が、撮る喜びを引き継ぐ。

前回のレンズ開発者インタビューでお話を伺った際、こう仰っていたのが印象的でした。

「当たり前」を実現するのがすごく難しいのです。新機能とかをやるよりも、遥かにハードルが高いですね。

長年に渡り、互換性や信頼性を担保してきたニコンならではの、含蓄のある言葉です。自分たちの「これじゃなきゃだめなんだ」を実現してきた結果、ユーザーもそれを当然のこととして求めるようになり、ニコンの製品は進化を続けてきたのだと思います。FTZはそんなニコンが提供する、伝統と中身がぎっしり詰まった最新の「当たり前」。Fマウントでも好きなだけ撮影を楽しんで下さい。ご購入にあたりましては、ボディーとのキットがお得でございます。

( 2019.07.17 )

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