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Voigtlander Heliar Vintage Line 50mm F3.5 VM + SHOTEN LM-NZ + Z 6

銘レンズの構成を変えずに現代の光学技術で実現するという粋な試みは、いわゆる新生フォクトレンダーのお家芸ですよね。車でも「昔の大きさとデザインでいいから、中身だけ変えてくれ」という話はよく聞きますが、「昔の名前でやってます」を実現にこぎつけるのは相当に大変だと思います。なのに衝動買いを誘発する、なんとも奇跡的かつキケンなお値段です。このレンズ、なんと鏡胴にレンズ構成図が記されています。3群5枚。貼り合わせを前後2組に用いた、いわゆる改良型トリプレットですが、このヘリアタイプが初登場したのは19世紀に遡ります。左側に写っている雑誌は「寫眞月報」(昭和11年12月号)ですが、やはり高級レンズであったことが分かります(スコパーは4枚構成)。元々がレンジファインダー用でマウンテンエルマーのようなルックスですが、Zにつけると中々マニアックな出で立ちになります。そして、それを面白がるのがカメラ人類の嗜みかと存じます。

写りについては、現代的なレンズよろしく解像力も高い上にヌケも発色も抜群です。自然なボケにも好感が持てますし、あらゆる条件で安心して使える高性能レンズです。でもやはり、どこか懐かしい雰囲気も漂うのですね。2枚目に特にそういう雰囲気を感じるのですが、何気ない光景でも「ん?」と心に引っかかるような描写で、なにもかもが最新!という設計には無い味があります。何もかもがスッキリすると、その光景は案外記憶に残らないのかもしれませんが、このレンズの画作りは脳裏に刻まれるのです。そしてその妙味を、Zがこれまた良い塩梅に仕上げてくれるのですね。このセンサーと画像処理エンジン、本当に良い仕事をしてくれるものだとつくづく思います。(TAK)

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( 2019.05.08 )

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ライカMマウント用レンズを、Nikon Zボディに取り付けるマウントアダプター