PHOTO YODOBASHI

逆付けレンズ + Mount Adapter FTZ + Z 6

AFニッコールの中でもFTZ経由ではAFが出来ないものがあります。例えばDタイプ。そう。名玉揃いなんです。でもZで使うにはMFのみでピントを合わせることになりますが、中でも「Ai AF Nikkor 50mm F1.8D」などはフォーカスリングのトルクが軽くMFには慎重さが求められるため、自ずとZでの出番が減っておりました。でもある日ふと思ったのです。

「そうだ 逆付け、しよう。」

ご存知の方には釈迦に説法ですが、専用のアダプターを使ってレンズを逆付けすると本格的なマクロ撮影が出来るのです。「リバースマクロ撮影」などとも呼ばれています。倍率は、50mmを逆付けした時が等倍になります(近接のみ。無限遠も出ません)。こちらの写真は「BR-2A」というリングを使って、Ai AF Nikkor 50mm F1.8Dを逆付けした様子です。FTZとの間にローレットが入った銀色のリングが見えますよね。それがBR-2Aです。片側がフィルターのオスネジになっているので、レンズのフィルター枠を使って逆付け出来るのです。この組み合わせで花の写真を撮ってみましょう。なお、ピントリングでピントを合わせることは出来ません。カメラや被写体を動かしてのフォーカシングとなります。三脚も必須です。(TAK)

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等倍ですから、通常のマクロレンズなどで見慣れた感覚かと思います。とはいえ開放では何の写真か分かりにくくなりますので、F5.6まで絞っています。そうです。絞るという動作自体、絞りリングの付いたレンズならではの芸当なのです。

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こちらはミニカー。F22まで絞っています。

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50mm以外の焦点距離(nとする)を逆付けした場合、倍率は「n/50」倍となります。例えば20mmを逆付けすると2.5倍のマクロ撮影が出来ます。こちらはAI Nikkor 20mm F4をBR-2A経由で逆付けした状態です。

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直径にして5〜6mmの花ですが、2.5倍ともなるとさすがに大きく撮れますね。もうお分かりでしょう。広角ほど倍率が上がるのです。逆に付けるので通常とは逆の現象が起こるのです。近距離では被写体やカメラのブレも大きくなりますので、全てが完全に静止してからレリーズした方がよいでしょう(今回は20秒のセルフタイマーを使用)。

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こちらはMacbookの表面を2.5倍で撮ったものです。加工の様子がつぶさに見て取れますね。F11まで絞ったところが最もシャープでした。

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逆付けの世界にはまだ先があります。レンズを2本使って更に倍率を上げるのです。どういうことになっているのか、ご説明いたします。左側から順に、「FTZ、BR-2A、ステップアップリング、AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D(逆付け)、BR-3(片側がFマウント、片側がメスフィルターネジ)、オスオスリング(両側にフィルターのオスネジがある)、AI Nikkor 20mm F4」という構成です。ボディ側に逆付けしたレンズ(プライマリーレンズとも言います)の先端にさらに別のレンズを逆付けしています。この場合の倍率は、20/60=3倍です。つまり50mmが基本だったのを、60mmレンズを付けることで分母を60にしているのです。

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新聞紙です。この倍率で見ると紙は繊維なのだなと改めて実感します。レンズの設定は、ピントは無限遠、絞りは開放です。ご覧の通り、プライマリーレンズが60mmだと開放でもかなりケラれますし、絞り込むほど覗き穴のような視界になります。

「そもそも、なぜプライマリーレンズを通常通りマウントしていないの?」と思われたかもしれませんね。

それは、プライマリーレンズの焦点距離が短すぎるからです。60mmでは開放からケラれて円形の視界になってしまうのです。焦点距離がもっと長ければ、つまり小さな視界を拡大する力が大きくなれば、ケラレは解消します。手元に52mm近辺のフィルター枠を持つ望遠がなかったもので、、、苦肉の策、少々「外道」かもしれません。裏を返せば、より短いレンズでもケラレを軽減できる技がある。そうご理解いただければ幸いです(笑)。とは言え「王道」も歩んでみたいので、また手頃な望遠レンズが手に入り次第、写真を追加したいと思います。

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革財布の表面です。少し解像感を上げるためにF5.6まで絞っていますが、それでもピントが及ぶ範囲は中央のみです。

これより後は被写体を想像してみてください。末尾に「こたえ」をご用意しております。

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いかがでしたか。レンズを逆付けすることで、等倍を超えるマクロ撮影もローコストで出来てしまうのです。BR-2AやBR-3は、Fシステムが登場した当初から存在するようなプリミティヴなアクセサリーですが、今も作り続けているニコンには感謝しかありません。レンズ2本を使うと周辺画質は落ちてくるのですが、ミクロな世界を十分に感じることが出来ます。ちなみにこの方法ではズームレンズ、特に標準ズームも極めて有効です。ズーミングすることで自在に倍率を変えられる絶対的な強みがあります。この記事をご覧の方はきっと色んなレンズをお持ちのはず。しかもZなら、背面液晶で全てを確認しながら簡単に接写が楽しめますし、ピントの山も見やすいので撮影がスムーズに進みます。そして他にもやり方はたくさんあります。ぜひお試しください。最後に以下、くれぐれもご注意いただきますようお願いいたします。

  1. アダプターやステップアップリングの装着(一方を回すと他方が不用意に緩む可能性がある)
  2. アダプターやステップアップリングの締めすぎ(締めすぎると取り外しが大変)
  3. マウント部やオスネジなど、金属が鋭くむき出しになっている箇所(お怪我のないように)
  4. むき出しになったレンズの後玉(指や被写体が接触する可能性があります。BR-3は保護用フードしても有効)

こたえ
(1)枝豆の鞘、(2)弁当用アルミホイル仕切り、(3)スカーフ、(4)竹炭で作ったお香、(5)NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

( 2019.04.24 )

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