LEICA M Edition 60 / M型ライカ60周年を記念した"特別な"デジタルM

距離計とファインダーを一体化したM3が発売されたのは1954年。写真を撮る道具としての完成度の高さは、以降60年にわたってほぼ同じ形を受け継いでいるという事実が示しています。今回のフォトキナではこの「60周年」を記念したモデルが登場しました。LEICA M-Pをベースに、SUMMILUX-M 35mmと組み合わせたセットです。600台限定というこのモデルはAudiとのコラボレーションによるデザインで、一番の特徴は背面液晶モニターを廃したこと。ライカカメラAG社のA・カウフマン氏曰く「余計なことに惑わされずに写真撮影に集中できるデジタルカメラ」とのこと。確かに撮影結果を確認できませんから、フイルムカメラを使っている時のようなスタイルでの撮影になることでしょう。

展示されていたパッケージです。ボディはチタンのような色合いで、35mmのズミルックスとフードも同色。この色合いとレザーのパターンだけでも、オールドライカとは一線を画した現代的な印象を覚えます。

背面にはフイルムライカを思わせる感度設定のダイヤルがつきました。撮影はオートホワイトバランス・DNGオンリーで、設定は感度のみ。カウフマン氏もプレゼンテーションの中で自嘲気味に「HOW CRAZY!」と称していましたが、まさにその通り。この潔い製品をカタチにしてしまうことには、驚きを隠せません。

ライカ好きの方なら、ディテールにデザインの違いを見ることができるでしょう。わかりやすいのは貼り革の高さが上がってることと、アイレットがないこと。カメラストラップでぶら下げるスタイルではなくなるわけですから、専用のホルダーなどが用意されるのでしょうか。手にした感触はずっしりと重みがあり、ステンレス独特の質感を感じます。

ライカ・カメラ社の社主であるアンドレアス・カウフマン氏自らプレスカンファレンスの場で発表したM60。誕生から60年を迎え、これまでに多くのモデルが生まれたM型ライカも主力モデルはフィルムからデジタルへとスイッチしました。またデジタルカメラの登場により我々の撮影スタイルも大きく変わってきましたが、露出とピントを合わせ、フレーミングしてシャッターを切るという一連の所作をもう一度深く考えさせられる何かを感じます。

液晶モニタを廃し、RAW出力のみという潔さは、デジタルカメラの発展により加速した機能追加の連続というものとは一線を画す、まさにライカにしか生み出すことのできないカメラかもしれません。近年、カラーフィルターを廃したM Monochromやフィルムカメラとして露出計を廃して登場したM-Aなどとも繫がっていくこの流れ、注目していきたいですね。




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(2014.09.17)